1月に半藤一利さんが亡くなられました。ときどき読んでいた半藤さんの本を、もういちど読み始めています。『昭和史1926年から1945年』を読み終えたところです。
ちょうど保阪正康さんの「半藤史観」過ち反省する良心を守る、という記事を読みましたのでアップします。
いわく、半藤史観とは、「三角すい」にたとえるとわかりやすい。
見える三つの三角形は、
事実の探究・・・実証主義的に史実を確認すること
平易な文体・・・誰にでもわかるように語ること
市民の視点・・・戦争で犠牲になった人の目の位置を決して崩さない
そして見えない底辺には、半藤さんの戦争体験がある。
▽史実を確認するのは人間と人間との真剣勝負である
▽半藤さんのふたつの言葉を紹介されています。
ひとつは、日本人の賢明さの証を示すことだ、反省する良心を守ることだ
もうひとつは、二度と戦争をしないと誓ったこの国は戦後守っている、そのための昭和史研究なのだ。
(以下クリックすると拡大します。記事は奈良新聞より拝借)
西暦と元号の早見表を作ってみました。
ダウンロード - e8a5bfe69aa6e383bbe58583e58fb7.xlsx
今年は、聖徳太子1400年御遠忌の年です。4月3日から5日、法隆寺では大講堂前にて大法要が予定されているとのことです。
月刊「ならら」1月号でも特集されています。
また川嶌一穂さんは12月の「美ビット見て歩き」にも紹介されていました。
最近、厩戸王(うまやとのみこ)は実在したが、「聖徳太子」の存在は虚構だと言われ、教科書からその名が消えるらしい。その昔「聖徳太子=十七条憲法、冠位十二階…」と習った者としては、「えーッ」と驚くばかりだが、本当はどうなのだろう。
古代史で困った時は快刀乱麻の東野治之さんに聞いてみよう、という訳で『聖徳太子―本当の姿を求めて』(岩波ジュニア新書・2017年)を手に取った。
氏は「十七条憲法は太子が作ったと見ていい。が、政治的な実権はあくまで蘇我馬子にあり、太子は中国や朝鮮の書物を調べたり、制度を立案したりする立場だっただろう。仏教への理解は非常に深く、法隆寺に長く伝わり現在御物となっている「法華義疏(ほっけぎしょ)は、太子の著作であり、さらに自筆の原稿と見るのが妥当だ」と語る。法隆寺金堂釈迦三尊像銘文や「法華義疏」解読の道筋は、ミステリーを読んでいるかのようにわくわくした。
長らく積ん読で読んでいなかった、東野治之著の「聖徳太子」を引っ張り出して読みました。
『聖徳太子 ほんとうの姿を求めて』という岩波ジュニア新書です。880円+税。
裏表紙には以下のように書かれています。
誰もが知っているのに、謎だらけの存在。聖徳太子。偉人か、ただの皇子か。「聖徳太子」か「厩戸王」か・・・。彼をめぐる議論は絶えません。いったいなぜそんな議論になるのでしょう。問題の根っこを知るには、歴史資料に触れてみるのが一番。仏像、繍帳、お経、遺跡などをめぐり、ほんとうの太子を探す旅に出かけましょう。
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先日の大立山祭の講演でもおすすめの本に上げられていました。
◆聖徳太子の遺産 ~遣隋使から遣唐使まで~
講師:奈良女子大学 准教授 河上 麻由子先生
このほど旧知の大槻旭彦さんが「奈良 高畑界隈―その歴史と伝承-」を刊行されました。
大槻さんは地元奈良のお生まれ、わたしの学校の先輩です。小西商店街の中通りで長らく喫茶アカダマをされていました。多くの奈良を愛する内外の学者や著名人も訪れる喫茶店でした。
いまは「ことのまのあかり」に貸されています。
大槻さんは、奈良まほろばソムリエ(奈良検定の最上級者)の資格を真っ先に取得されたり、奈良大学文学部で再度勉強されたり研究されたりしておられます。大学の卒業論文は春日大社のことだったように伺っています。奈良大学の卒業論文に続く労作と拝察しました。
「奈良 高畑界隈ーその歴史と伝承-」を 早速拝読させていただきました。
高畑界隈の歴史を深く掘り下げられており、今まで、ぼやかされた表現であったり、そこまで追究されていなかったことを、克明な研究を重ねられていると思いました。私自身グレーであったり、わからなかったところに解明の光があてられたように思います。飛鳥の頃から奈良時代、そして平安、中世、江戸時代、明治以降と少しいろいろなことがつながったような気がします。また大乗院が当初から現在地にあったのではなくもっと北にあったこと。県の公会堂あたりに野田と書かれた地図を以前見たことがありましたが春日の社家の北でしたか最初は高畑ではなく北にあったことなどはじめて知りました。元興寺や紀寺のお話も興味深いものでした。七御門なども。
清水通の頭塔は何度も訪れていますがやはり下には石室があることもはじめて知りました。また奈良教育大学にある古墳も訪ねましたが、吉備真備ゆかりだったことも話の中でつながりました。
赤乳神社に白乳神社も名前だけは知っていましたがおおよその場所もわかりました。清水通がかつて柳生街道の入り口で商いで賑やかであったことなどもなるほどと思いました。
第二部の梅木春和さんらの伝承、高畑の古老の話を記録しておくことも大切だと思いました。
大槻さんは「先々代の鏡神社宮司の梅木さんが収集された数々の伝承を知って、背景を調べて行く中で、今、これを本として記録を残さねばいけないと、使命感を抱くに至り、思い切ってこの度出版に踏み切りましたが、それでも、正直、専門家でもない私が、厚かましくこのような本を出して良いか逡巡する気持ちがあったのですが・・・」と語られていますが、大槻さんなくしてこういう伝承は伝えられなかったと思います。
大槻さんは、春日大社のこともくわしく書かれています。高畑界隈には春日大社のつながりのある人がいまもたくさん住んでおられます。
多くの方ともわたしも子どもの頃からお付き合いがあることも感じました。奈良の濃い人のつながりだと思いました。大槻さんもたくさんの人とつながりがあることをこのたびあらためて思ったとおっしゃっています。
ともあれ、研究、執筆、出版たいへんな労作だと思いました。ありがとうございました。多くの方に読んで頂きたいと思います。
もくじ
■第一部 高畑の変遷
一 新薬師寺から高畑へ
二 元興寺と奈良町
三 紀 寺
四 興福寺と高畑町
五 春日の社家と中臣氏
六 鹿島の中臣氏
七 藤原氏と大中臣氏
八 高畑の社家町の形成
九 明治以降の高畑
■第二部 高畑に残る伝承とその背景
一 破 石
二 吉 備 塚
三 清 明 塚
四 鏡 神 社
五 頭 塔
六 吉備真備・玄昉・阿倍仲麻呂・広嗣と高畑
七 不空院・イガミ御霊さん・井上内親王
八 赤穂神社・氷上夫人・比賣塚・十市皇女
九 俊 寛・俊寛田・藤間家
十 閼伽井庵・隔夜堂(隔夜寺)
十一平 景 清
十二 一之井・修験道・高円山
十三 柳堂地蔵・下高畑町
■おわりに
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■A5サイズ 120ページ。販売価格 1,500円(内税)
著者紹介より。
大槻旭彦(おおつきてるひこ)さん
1945年 奈良市生まれ。
1967年 同志社大学経済学部卒、考古学研究会所属。
2013年 奈良大学文学部文化財歴史学科卒。
奈良市で祖父の創業した昭和4年創業のアカダマ薬局を受け継ぎ、1973年から父の後を継ぎコーヒー店アカダマを40年経営。
元南都楽所楽師、前奈良県かるた協会会長、奈良まほろばソムリエ。
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なお本は以下で購入できます。初版がすでになくなりつつあり、目下増刷中かもしれません。
通販のURLです http://nara-furukoto.shop-pro.jp/?pid=157046346
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(追記)
第2刷ができあがり、小西通りの啓林堂・奈良店の奈良コーナーに並べられました。光栄にも私の歌集「大和まほろば」も一緒です。
友人の紹介で、よく売れて手に入れにくくなっているという、黒木登志夫さんの「新型コロナの科学」を啓林堂・奈良店でうまく手に入れることが出来ました。
コロナの乏しい知識の者でも、比較的わかりやすく書かれていました。新書版にしては300ページを越す内容の豊富な本です。
中公新書、940円+税
素人ではわからないところは飛ばして読みました。
30カ国以上の分析から見えてきたのは、「新型コロナをコントロールできない国は、経済のダメージも大きいという」という事実である。
今後の新形コロナの進展に関しては、著者のブログ「コロナウィルスarXiv」が『山中伸弥による新形コロナ情報発信』に転載されているので参考にして欲しいとのことです。→https://www.covid19-yamanaka.com/cont2/main.html
目次です。画像をクリックすると拡大します。
奈良まほろばソムリエの会の副理事長である、雑賀耕三郎さんからメール頂きましたので紹介します。
「『Discover Japan』の2月号(2021)で、僕の講演を取り上げていただきました。本日、発行です。
「奈良と相撲を話して」と、清澄の里「粟」の三浦雅之社長から依頼されました。奈良町センターで講演、それをライターがまとめてくれて『Discover Japan』に掲載されるという仕掛けです。ちなみに、先月号は大安寺の河野良文貫主でした。
記事はA4の大判の見開きです。」
記事の全文は雑賀耕三郎さんのブログをどうぞ→奈良・桜井の歴史と社会
奈良市出身、東京在住の井上理津子さんの近著です。紹介を受けて、奈良の啓林堂に置いていないだろうから取り寄せを頼もうかと行きました。すると店員さん曰く、たしかあったと、即座に書棚に案内してくれました。2冊入荷していました。1冊を早速買い求めました。筑摩書房。1500円+税。
『絶滅危惧』とは最初厳しいタイトルだと思ったのですが、著者の愛情を込めたタイトルらしく、読み始めるとなかなか面白い本です。
目次です。
(クリックすると拡大します)
断片的にメモを記します。
東京近辺の個人商店をたずねてのレポートです。
佃煮の店、精肉店、魚や、豆腐店、青果店、魚屋、洋品店、靴店、ジーンズショップ、自転車店、時計眼鏡店、
書店、書店、文房具店、玩具店、駄菓子屋、花屋、質店、銭湯。
それぞれ生活感のある町のお店です。
それぞれ長く続けている。
時代と共に変化していく店。
一途に最初からのやり方を貫いている店。
代々継いでいる店。
寝るのも惜しんで働いている人も多い。
30年間無休とか聞くとびっくりします。
仕事についてから長い年月の人が多い。80才台、90才台で現役の人もいる。
それぞれの人が商売が根っから好きなのだなあ、地域の人のためになることがいきがいなのだなあ、と読んでいて思います。
それが大事なのだなあと思います。
東京は、大正時代以降、関東大震災、第2次世界大戦による空襲、戦時統制、物資統制、高度成長、バブル、地上げの頃、バブル崩壊、売れなくなる、新しい工夫・・・、町自体の変化など節目節目を感じさせます。
この本は東京あたりですが、日本の町の歴史だと思います。生活の歴史だと思います。
店と商品にとにかく愛着をもっている人が多い。
それらの店に1度ならず通い、著者の井上さんは、4時間も5時間も時間をかけて話を聞いている。
そして文にしています。
魚の仕入れには早朝から豊洲市場に一緒について行っている。
聞くだけでなく、買い物をしたり、修理してもらったり、お風呂に入って体験したり。
しっかり経営者の気持ちをくみ取って取材されています。
忘れがちな商売の原点を考えさせてくれる一冊です。
若い人にも読んでもらいたいと思います。
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(追記)
著者の井上理津子さんからの紹介です。
そしてそして週刊新潮の今週号に『絶滅危惧個人商店』が。過分。恐縮です。デイリーライフ・ルポって、とても素敵な言い方。これから使わせてもらお。
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