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2024年2月29日 (木)

県、大立山祭り、天平祭り 中止へ

28日付の奈良新聞で、大立山まつり」「天平祭」県が廃止決定、運営費の拠出停止

と大きな見出しでつたえられています。

 

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奈良県が本年度限りでの廃止を決めた奈良ちとせ祝ぐ寿ぐまつり(大立山まつり)=1月27日、奈良市の平城宮跡歴史公園


 奈良県は、奈良市の平城宮跡で毎年、開いてきた「奈良ちとせ祝(ほ)ぐ寿(ほ)ぐまつり(大立山まつり)」と「平城京天平祭(夏・秋)」の廃止を決めた。新年度予算編成に伴い、既存事業を見直し、運営費の拠出を停止する。大立山まつりは荒井正吾前知事の肝いり事業で、また一つ“荒井色”の政策が姿を消すこととなる。廃止の方針を受け、同実行委員会の石川重元実行委員長は「体を張って自分にしかできないことをやってきた。結論を出す前に議論をしたかった」と残念がった。

 大立山まつりは2016年に始まった冬の誘客イベント。県内の伝統行事の披露と温かい料理の提供により、市町村の魅力を発信する催しで、主に平城宮跡を会場に開かれてきた。9回目となった今年1月のまつりは2日間で約1万6千人が訪れた。

 まつりは市町村や民間事業者らでつくる実行委員会が主催。県は運営費を支出してきたが「冬のオフシーズンの誘客など一定の目的を達成した」として、運営費5200万円の拠出中止を決めた。同まつりのため約8000万円をかけて制作した四天王像の大立山4体はよりどころを失うこととなる。

 

 18年度に荒井前知事から実行委員長を引き継いだ海龍王寺の石川住職は、コンセプトが分かりづらく、批判されることの多かった同催しを「歴史への感謝」を表す場にしようと再構築。いにしえの宮中の正月行事「御斎会(ごさいえ)」を再現するなど、平城宮跡で開く意義付けをしてきた。

 石川委員長は「埋もれてしまっているコンテンツを磨き直し、奈良の存在価値を高めようとやってきた。小さなことを積み重ねていくのが観光ではないか」と県の一方的な判断に疑問を投げかけつつ、「これまでの知見をもとに、今後も平城宮跡の活用と奈良の観光力向上に貢献していきたい」と話した。

 また春、夏、秋の年3回、奈良市と共同で開いている平城京天平祭のうち、県が担当する夏、秋分の運営費1億3500万円の拠出も中止する。同祭は2010年の平城遷都1300年を引き継ぐイベントとして始まり、昨夏は3日間で過去最高の5万6千人の来場があった。しかし、県の担当者は「一過性ではなく、平城宮跡東側、南側も含めた全体の整備方針の中で観光強化策を抜本的に見直す」と廃止理由を説明した。

 

 平城宮跡の主要イベント廃止を決めた山下真知事は新年度予算発表の記者会見で、「新年度に立ち上げる観光戦略本部に平城宮跡歴史公園活性化部会を設け、徹底的に議論する。行政が税金を投入してイベントをしなくても、人が自然に集まってくるような、そういう人を引きつけることのできるコンテンツは何なのかを検討していきたい」と話した。

 

 

 

2024年2月28日 (水)

今村翔吾さん、本の未来語る

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毎日新聞に注目すべき記事が載っていました。 有料ページより。

「毎日21世紀フォーラムで講演する直木賞作家の今村翔吾さん
 異業種交流組織「毎日21世紀フォーラム」の第229回例会が31日、大阪市北区の帝国ホテル大阪で開かれた。毎日新聞朝刊に「乱読御免」を連載中の直木賞作家、今村翔吾さんが約170人を前に「本の未来を考える」と題して講演した。

 今村さんは「このままでは10年以内に紙の活字、本の文化は壊滅する恐れがある」と指摘。大阪府箕面市と佐賀市で書店の経営に乗り出しており、「業界以外でも若者に本の素晴らしさに触れる機会を残したい人は多い。人生を変えるような一冊に出合ってもらえるよう頑張るので助けてほしい」と語りかけた。

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くわしくは、毎日新聞27日付朝刊をご覧下さい。

町の本屋が全国的に減る傾向にあります。

奈良でも、東向北商店街の老舗、豊住書店、JR奈良駅のなかの本屋さんは閉店しました。また畝傍高校まえの本屋さん、あるいは元そごう、イトーヨーカドーのあとのミナーラの本屋さんも近日閉店とのことです。

 

2024年2月27日 (火)

3月3日 古都奈良きものウォーク

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チラシをもらいました。たぶん初めての催しと思います。

「12時半にJR奈良駅前広場に集合し、13時から猿沢池までの約1kmを歩く。振り袖や留め袖などの現代着物から天平衣装まで、様々な和服姿の男女が参加。市民や観光客の飛び入りも洋装、和装問わず歓迎。」とのことです。

2024年2月26日 (月)

「キトラ古墳・高松塚古墳を解説(日輪・月輪#1)」【対談】松原純 × 来村多加史

奈良観光コンシェルジュであり、奈良まほろばソムリエの会の広報グループで活躍される松原純さんの来村先生の対談です。

 

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「キトラ古墳・高松塚古墳を解説(日輪・月輪#1)」【対談】松原純 × 来村多加史

前回まで天文図について詳しく解説して頂いておりましたが、今回は天文図の下に描かれている「日輪(太陽)・月輪(月)」についての動画です。
日輪には金箔、月輪には銀箔が貼られていました。しかし、それらは盗掘によって削り取られ、僅かな痕跡からしかそのデザインを読み取ることができません。
中国「唐」の類例と比較しながら、どのような絵柄だったかを説明して頂いていますので、この機会に興味を持っていただければ幸いです。

 

0:00 オープニング
1:12 日輪・月輪の位置
4:27 日輪・月輪の描き方
14:29 エンディング

 

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2024年2月25日 (日)

正倉院展短歌コンクール

毎年、正倉院展のころ募集されている、正倉院展短歌コンクールと俳句コンクールの発表がこのほど、読売新聞に載っていました。

(画像はクリックすると拡大します)

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一般の部の最優秀は奈良市の方。 旧知の奈良大学副学長です。

 

主なき書斎の棚に七十五冊目の図録加えし霜月   島本太香子   

 

おめでとうございます。 主(あるじ)とはお母様のことでしょうか。

 

そしてジュニアの部です。

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ただ残念なことは、正倉院展短歌・俳句コンクールは今回で終了とのことです。

上野誠先生と永田紅さんの評です。

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2024年2月24日 (土)

依水園~吉城園~氷室神社、そして奈良国立博物館へ

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先日、ロータリークラブの2650地区社会奉仕委員会の皆さんとご一緒に奈良を楽しんでいただきました。

まず依水園を見学したあと、吉城園を歩いて通り抜けて(氷室神社の配慮により、扉があり通り抜けできるようになっています)、氷室神社を参拝したあと、奈良国立博物館を見学しました。

ちょうどお水取り展がひらかれています。韃靼の行法の僧侶を等身大の人形で再現されていました。

そしてなら仏像館を見学しました。

お水取り展は3月17日までひらかれています。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

写真をいただきました。氷室神社にて、大宮宮司とご一緒に記念撮影。

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2024年2月23日 (金)

円空展へ

所用で天王寺へ行きましたので、あべのハルカス美術館で開かれている、円空展へ行ってきました。4月7日まで。

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撮影OKのところで写真を撮ることができました。

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背中の方からも一枚。

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岐阜、愛知、三重が円空のゆかりの作品が多いようですが、奈良の天川村の栃尾観音堂、法隆寺あるいは松尾寺からの円空仏もありました。

円空は和歌もたくさん残しているということでした。

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會津八一の研究家であり、仏師でもあり円空のこともよく語っていた、四日市の服部素空氏のことを思い起こすことでした。

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美術手帖の円空展の紹介です。https://bijutsutecho.com/magazine/news/report/28407

 

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2024年2月22日 (木)

あるくん奈良まちなかバル

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3月1日(金)2日(土)と近づいてきました。

チケットも2月中はお得に買うことが出来ます。

くわしくはホームページをご覧ください。

 

https://www.naracity-bar.info/

2024年2月21日 (水)

富雄丸山古墳

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ならどっとFM、たまゆらより

発掘で一躍有名になった富雄丸山古墳。友松洋之子さんの案内です。

https://www.youtube.com/watch?v=wx6L-i8TFcs

2024年2月20日 (火)

海龍王寺へ

海龍王寺にお参りしました。

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本堂では十一面観音立像も拝観できました。

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會津八一の歌碑

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石川重元住職ともお話うかがうことができました。

龍の年だけの特別な御朱印をいただきました。

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2024年2月19日 (月)

3月10日 保山耕一さん上映会 情報

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保山耕一さんの3月上映会の情報が届きました。

「3月上映会のゲストプレーヤーは真砂秀朗さんです。
私が最初にNHKのフィラー番組を制作したのが映像詩三部作でした。
「映像詩、祈りの桜」
「映像詩、春日大社」
「映像詩、飛鳥」
60分番組の「映像詩、飛鳥」で全曲を提供下さったのが真砂秀朗さんなのです。真砂さんの音楽に触れた時、直感でこれは飛鳥の音だと、日本の原風景から流れて来る音楽そのものだと確信しました。
「映像詩、飛鳥」の中では音楽を短くすることなくフルサイズで使用しています。楽曲には映像詩と通ずる起承転結のリズムがありました。
NHKの深夜放送の中でも「映像詩、飛鳥」の放送回数が最も多いのは、視聴者からの反応が良いのが理由です。
いつかはリアルで共演してみたいと思い続けてきました。
そして、遂にその夢が実現するのです。
2月上映会が「動」ならば、3月上映会は「静」を目指しています。
演出としては静かな方が難しいですが、お客様によき時間を過ごしていただくとの思いは同じです。
「映像詩、飛鳥」の空気感で会場を癒しの空間にしたいと考えています。
第一部ラジオ公開収録は、基本に戻って知の巨人・岡本彰夫先生からの学びの時間、岡本彰夫塾を開講します。
フィナーレは大垣知哉氏の「故郷」
ゲストプレーヤーはアルトサックスの在間一輝氏がご出演。
奥が深く静寂の中にもぬくもりのある、3月上映会をお楽しみに!」

(追加情報)

 

「映像と音楽で巡る奈良」3月公演開催決定。
3月10日(日)午後2時開演
奈良公園バスターミナルレクチャーホール
ウェブ受付は2月18日(日)午後9時受付開始
https://event.nara.jp/sp/mar
大人3000円、学生500円
3名様以上のお申し込み、お問い合わせはメールにて承ります。
hozan4kmovie@gmail.com
第一部
ならどっとFM「岡本彰夫の奈良、奥の奥」公開収録
司会:中川直子
第二部
「映像作家保山耕一作品上映会」
ゲスト
真砂秀朗(ネイティブフルート奏者)
ピアノ:稲垣雅紀
上本京子(朗読家)
松森重博(歌人)
歌:大垣知哉
アルトサックス:在間一輝
ピアノ:すみかおり
ギター:牧野由希子
バイオリン:秦進一

2024年2月18日 (日)

依水園へ

2月17日、普通ならとても寒い時期ですが、とても暖かい日になりました。

ロータリークラブ2650地区(福井・滋賀・京都・奈良)社会奉仕委員会の皆さまが奈良に各地から集まられ、午後のひとときをご一緒に楽しむことが出来ました。

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まず最初は、O委員長のリクエストで奈良公園の依水園へ。明治期につくられた後園です。春日山、若草山、そして東大寺の南大門が借景になっています。庭もよく手入れされていておすすめです。

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梅も咲き誇っていました。

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そして、母屋にはひな人形も展示されていました。

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稚雛雛

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ひなまつりの展示は3月3日まで。

このあと、春の花を味わう𠮷城園を歩いて通り抜け、氷室神社を参拝、そしてお水取り展がひらかれている奈良国立博物館を楽しみました。

 

 

2024年2月17日 (土)

3月2日 喜光寺では行基會大祭

 

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喜光寺からのお知らせです。

「毎年3月2日は行基会大祭を勤修致します
今年も例年通りのお写経会、法要、おぜんざいのご接待、
柴燈大護摩供養が執り行われます
そして奉納演奏はジャズ!
いつものお方も、初めてのお方も、行基さんのお参りをお待ちしております」

2024年2月16日 (金)

桜本坊より

クラウドファンディング 吉野山櫻本坊「想いを力に」大講堂雨漏り修繕工事プロジェクトに、少し協力していたら、御礼状と御朱印をいただきました。

記念にアップします。

観世音 「聖観世音菩薩」慈愛に満ちる

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ご住職直筆

「役行者母公」家内円満

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吉野山櫻本坊のホームページです。

https://sakuramotobou.or.jp/

2024年2月15日 (木)

ソムリエの風42号 WEB版 発行される

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奈良まほろばソムリエの会の「ソムリエの風42号」
が発行されました。
わたしも広報グループのひとりとして担当しています。
公開された会報誌ですので、紹介します。

 

============
奈良まほろばソムリエ通信
============

 

このたび、ソムリエの風42号が出来上がりました。紙版はなくWEB版です。
以下のページをご覧下さい。よろしくおねがいします。

 

https://stomo.jp/kaze/webkaze42/

 

============
特定非営利活動法人
奈良まほろばソムリエの会
info@stomo.jp
〒630-8217
奈良県奈良市橋本町3-1
きらっ都・奈良(BONCHI)
============

2024年2月14日 (水)

「椿井市場」 朝日新聞より

先日、朝日新聞に椿井市場が大きく載っていた、と友人のH君から送ってくれましたので紹介します。

椿井市場は、近鉄奈良駅から小西通りを通り、しばらく南に歩き、椿井町の墨の古梅園の隣にあります。

あるいは、もちいどのセンター街中程を西へ行き椿井小学校を南に曲がるとすぐにあります。

かなりレトロな昭和の市場です。

知り合いも何人か、洋品店であり、酒屋など営業していました。

記事を読んで久しぶりに、いまも元気な中華料理屋の大廣を訪ねました。

朝日新聞の記事のことを村上さんご夫妻に聞くと、お客さんから載っていたと何人も言って貰いました。

中には東京のお客さんから連絡がありましたとのこと。

ちょうど朝日新聞社から掲載の新聞が届いた、初めて今見た、商売していて良かったなあと思うとおっしゃっていました。

「さびれている けど さびしくない」うまいこと書かはるなあ、と。

私は久しぶりに、半チャンラーメンを美味しく頂きました。かなりのボリュームですが食べることが出来ました。

(以下はH君から頂いた朝日新聞です)

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2024年2月13日 (火)

美ビット見て歩き ※124

奈良新聞で毎月楽しみにしている川嶌一穂さんの美ビット見て歩き2月8日付は、本の紹介です。

渡辺京二『逝きし世の面影』平凡社ライブラリーです。

日本のかつて(あるいは今も)を多くの著書から引用して紹介しているようです。

600ページの大作です。

部分的になるかもしれませんが、手に入れましたので、早速わたしも読みたいと思います。

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(画像はクリックすると拡大します)

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美ビット見て歩き 私の美術ノート *124 川嶌一穂

 

渡辺京二著『逝きし世の面影』

 

写真 平凡社ライブラリー『逝きし世の面影』表紙

 

 『苦海浄土』の作者・石牟礼道子(1927―2018)を見出し、その公私の活動を支え、水俣病患者支援活動をともにした、編集者としての渡辺京二(1930―2022)を知ったのはいつだったか、はっきりと覚えていない。
『逝きし世の面影』の他には、『父母(ちちはは)の記:私的昭和の面影』を読んだくらいで、渡辺さんの熱烈なファンという訳でもなかった。
 それでも本作品が1999年に和辻哲郎文化賞を受賞したことは知っていて、旅先の大型書店でその文庫本を見つけて購入した。600ページもある、製本が心配になるくらいの分厚い文庫本だ。20年近く前でさえ2000円もした。

 一読、虜になった。と言っても、終わりまで通読したのは今回が初めてで、時々手にとっては1章の半分くらいを読んで、また本棚に戻すという読み方をしてきた。所々に難しい文明論が挟まれているが、そこは読んだり、飛ばしたりした。

 渡辺京二はおびただしい数の、主に幕末から明治初期にかけて日本を訪れた外国人の日記や見聞記を渉猟し、それを「陽気な人びと」「簡素とゆたかさ」「労働と身体」「裸体と性」「子どもの楽園」「風景とコスモス」「信仰と祭」など10余りのテーマに分けて、たくさん引用し、それを分析する。

 巻末の文献リストによれば、英語文献が20、翻訳文献は130に上る。わたしなら、これを読むだけで10年以上かかるだろう。翻訳されていなかった英語文献のいくつかは、本書の元版が出た後、翻訳が出たと、著者の「平凡社ライブラリー版あとがき」にある。この一冊の本の及ぼした影響がいかに大きかったかが分かるだろう。

 上高地に碑のある、日本に「近代登山」を伝えたウェストンは、大正時代にこう書いた。「明日の日本が、外面的な物質的進歩と革新の分野において、今日の日本よりはるかに富んだ、おそらくある点ではよりよい国になるのは確かなことだろう。しかし、昨日の日本がそうであったように、昔のように素朴で絵のように美しい国になることはけっしてあるまい」。
 その後の日本の歴史は、ある意味ウェストンの予想した通りに推移した。が、日本が昔のように「素朴で絵のように美しい国」でなくなった、という点については、わたしはちょっと留保したいという気がしている。

 初代駐日英国公使オールコックをはじめ、欧米人訪日者が日本を描写するのに愛用したのは「子どもの楽園」という表現である。「世界中で日本ほど、子供が親切に取り扱われ、そして子供のために深い注意が払われる国はない」など、多数の記録が引用されている(本書第十章)。
 
それで思い出したことがある。今から30年ほど前、わたしは奈良市のAET(英語指導助手)のコーディネータを5年間務めた。初めて日本の土を踏んだ異国の若者と近しく付き合って、彼らの本音を聞くことができる貴重な経験だった。第4代AETのジュリー(米・ネブラスカ州出身)も、「日本の子どもは、きれいな服を着せられて、可愛がられているね」と言う。思ってもみない指摘をされて、驚いた。まさに渡辺京二が指摘するように、「ある文化に特有なコードは、その文化に属する人間によっては意識されにくく、従って記録されにくい」(19ページ)。

 これは幕末・明治初期に限らず、さらに時代を遡って、かのイエズス会宣教師のフロイスも言っている。「われわれの間では普通鞭で打って息子を懲罰する。日本では…ただ言葉によって譴責するだけである」(393ページ)。

 ここでまた20年ほど前、勤務校の語学研修で、イギリス南部の地方都市・フォークストンに学生を連れて行ったとき、その語学学校の先生に聞いた話を思い出す。日本で言えば団塊の世代に属する、イタリア出身の男性だった。確かエニシダの枝と聞いたように記憶するが、学校の先生も父親もそのムチを持っていて、「これは父親に打たれた」と言って、まだ手首に残るかすかな傷あとを見せてくれた。今はあちらでもどうか分からないが、躾にムチとは、いくら何でも日本では聞いたことがない。

 若くて元気だった頃、休みになるのを待ちかねて海外旅行によく出かけた。飛行機とホテルだけ予約していくという一人旅で、『地球の歩き方』をしっかりと読み込んで行った。「この辺は、危険なので行かないように」。「この通りは、昼間は大丈夫だが夜は立ち入らないように」。ふむふむ、そうか。しかし、しばらくして、ふと気が付いた。日本が一番安全じゃないか!

 私はその頃から、自分の生まれた日本という国に対する見方が少しずつ変わったように思う。それまでは、職場の外国人講師や、欧米大好きな友人の日本批判を心から共有していたのが、ほんとにそうかな、と一拍置けるようになった。

 渡辺京二は、もう失われてしまった江戸時代の文明、言いかえれば「庶民の豊かさ」を復元する材料として、幕末・明治初期の欧米人による日本見聞記を用いたと言う。が、先ほども書いたように、それはまだ「死に絶えた」わけではないと私は思う。
 軒先きやベランダに置かれた植木鉢、花の季節になればそわそわする気分、行楽客や盆暮れの人出のニュース、その残滓は枚挙に暇ない。

 どこから読んでも、どこで閉じても面白い本だ。えーそうなんだ、と驚くこともあれば、そう言えば昔は電車の中でも子どもに乳を飲ませる女の人がいたなぁ、とか野良犬が街中をウロウロしてたなぁ、と懐かしく思い出すこともいっぱい出て来る。ぜひ一度手に取ってご覧下さい。
 1月はお休みを頂いたので、これが今年の第1回目です。本年もどうぞよろしくお願いします。

 

=次回は令和6年3月8日付(第2金曜日掲載)=
  ・・・・・・・・・・・・・・・
かわしま・かずほ
元大阪芸術大学短期大学部教授。

メモ 渡辺京二『逝きし世の面影』(平凡社ライブラリー・2005年)。表紙の絵は「街をゆくムスメ」エドウィン・アーノルド『ジャポニカ』(ロンドン・1891年)。

 

2024年2月12日 (月)

保山耕一さんの2月上映会へ

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2月11日、保山耕一さん上映会がありました。

先日の1月27日の若草山の山焼き、しばらく見られなくなる興福寺五重塔、そして十六夜(いざよい)月がそろうというとても貴重な映像が大きな画面で映し出されました。

https://www.youtube.com/watch?v=vDQqN22-Q08

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保山さんとのコラボの短歌も映し出されました。ありがとうございます。

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花火あがり若草山の燃えゆきて
五重塔の十六夜(いざよい)の月  松森重博

 

この日のスナップ。

きょうの興福寺五重塔。

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工事用の基礎が作られていました。

上映会で、辻執事長のお話しがありました。ことしの秋から冬くらいには高さ60メートルの素屋根に包まれるとのことでした。

上映会の前説は、奈良県の竹田次長。明日香の太鼓の倭(やまと)での体験の映像とお話しがありました。このあと、倭の皆さん9人の力強い太鼓の演奏がありました。春から、ヨーロッパ演奏旅行。3月末に上牧町のペガサスホールで演奏会を行うとのことでした。

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休憩時間に、若草山の燃えたあとの風景を撮りました。ことしはよく燃えました。

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10年ほど前、保山さんがカメラマンとして一番輝いていたころ、パリでTBSの「the世界遺産」を一緒に作った、松本有加さんとの上映会でのトーク。当時の保山さんの素晴らしい仕事ぶりがよくわかりました。

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2月上映会の模様は、ライブもありましたし、しばらくYOUTUBEで見ることが出来るそうです。

(投げ銭をお忘れなく)

https://www.youtube.com/live/SEmA1B5FX08?si=A5lRKXOnY0cIVlWu

 

来月の保山さんの上映会は、3月10日(日)とのことです。どうぞ予定に入れておいてください。楽しみにしたいと思います。

 

2024年2月11日 (日)

11日、保山さんの上映会 ライブ中継されます

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YouTubeでライブ配信します!との情報です。


https://www.youtube.com/live/SEmA1B5FX08?si=A5lRKXOnY0cIVlWu

2月11日(日)
13時30分:配信開始
14時:和太鼓倭
14時30分:「岡本彰夫の奈良、奥の奥」公開収録
15時45分:映像作家保山耕一作品上映会
17時15分:終了

 

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映像と音楽で巡る 奈良
------------------------------------------------------------------------------
■活動支援のカンパ、投げ銭は下記までお願いし申し上げます。
===============
三井住友銀行
小阪支店
普通 5231131
ホザン コウイチ
===============
皆様からの投げ銭でのご支援をどうかお願い致します。

 

■内容
日程:2024年2月11日(日)
開場:13:30  開演:14:00  終演:17:00(予定) 
会場:奈良公園バスターミナル2階 レクチャーホール

第一部:ならどっとFM「岡本彰夫の奈良、奥の奥」公開収録

【出演者】

 

ゲスト:松田大児(画家)、辻明俊(興福寺執事長)

 

司会 :中川直子

 

第二部:映像作家保山耕一作品上映会

【出演者】

朗読:上本京子
歌人:松森重博
歌:大垣知哉
ピアノ:すみかおり
ギター:牧野由希子
バイオリン:秦進一
歌:檜垣里枝子

2024年2月10日 (土)

おむすび 番旬

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もちいどのセンター街の奥の方。藤田芸香亭とフクヤさんの間に、おむすびのお店がオープンしています。

好評のようです。

地域ニュースにくわしくレポートされています。⇒https://nara.goguynet.jp/2023/12/23/banshun/

2024年2月 9日 (金)

入江泰吉記念奈良市写真美術館では

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高畑町の入江泰吉記念奈良市写真美術館では3月17日まで入江泰吉、梅、桃、桜、展覧会が開かれています。

同時に第5回入江泰吉記念写真賞の受賞作品展が開かれています。

HPです⇒ https://naracmp.jp/

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早速行ってきました。

桃や桜を入江さんの写真で一足早く拝見できました。

入江さんの写真は生き生きしていますね。

ぜひご覧戴きたいと思います。

 

また受賞作はそれぞれに良いと思いました。

大ベテランのよく見かける方も今回入選されていました。

 

亡くなられた奥田勝紀さんも、入選されていたことを思い出しました。

若草山焼きを麓から撮影された写真でした。奈良市民だよりの表紙を飾られたこともありました。

作品は永遠だと思います。

以下の鹿鳴人のつぶやきに残しています。

http://narabito.cocolog-nifty.com/blog/2020/03/post-a2dfd8.html

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奥田勝紀さん入選作品「若草山焼き」

 

2024年2月 8日 (木)

大和郡山 盆梅展と大和民俗公園

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大和郡山の盆梅展が開かれています。

第21回を迎えます。場所は郡山城跡、

追手門、追手門櫓、多聞櫓です。

盆梅展の案内ページです⇒https://www.city.yamatokoriyama.lg.jp/soshiki/chiikishinkoka/event/2/1649.html

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大和郡山市の矢田町の大和民俗公園のロウバイも甘い香りと読売新聞2月6日付は伝えています。合わせて観覧もおすすめです。

 

2024年2月 7日 (水)

ビルマ難民画家の絵画展

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2月11日ー12日、ビルマ(ミャンマー)難民画家の絵画展が、ギャラリーまつもりで開かれます。

10時~17時まで。入場無料です。

2024年2月 6日 (火)

3月1-2日 奈良まちなかバル チケット販売開始です。

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3月1-2日に、奈良市中心市街地の、あるくん奈良まちなかバルです。

いよいよ5日からチケット販売開始されました。

くわしくこちらをご覧下さい ⇒ https://www.naracity-bar.info/

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2024年2月 5日 (月)

来村先生と松原さんの対談 壁画 4

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https://www.youtube.com/watch?v=AY1mKi0X6cc

 

 

今回は、来村 多加史(きたむら たかし)先生との対談「キトラ古墳・高松塚古墳」の壁画編の第4話です。
前回の高松塚古墳の四角い天文図に続きまして、中国の天文図の類例と比較して解説して頂いております。これを機会に、国宝壁画の「天文図」はどのようなものなのか?それは何を意味しているのか?などを知って頂けたら幸いです。

 

0:00 オープニング
0:33 高松塚古墳の天文図と蓋の関係
2:54 他に類例はあるのか?
9:04 天文が出発の合図?
14:43 日本的なアレンジ?
15:29 壁画を描いたのは?
17:01 まとめ

 

【来村先生の経歴】
来村先生は兵庫県明石市のご出身で、幼い頃から考古学に興味を持っておられました。
高松塚古墳を発掘された関西大学「網干 善教(あぼし よしのり)先生」に憧れ、関西大学に入学して網干先生に師事。
関西大学大学院博士課程終了後、中国陵墓研究により博士号を取得されました。
現在は阪南大学の教授として学生に「観光学」を指導。
他にもテレビ出演や書籍の出版、また観光ガイドとして「クラブツーリズム」の講師など多方面で活躍されております。

 

「来村 多加史先生 Wikipedia」
https://ja.wikipedia.org/wiki/来村多加史

 

「阪南大学 講師紹介ページ」
https://www.hannan-u.ac.jp/doctor/tou...

 

「来村多加史講師同行ツアー」
https://tour.club-t.com/tour/relation...

 

「来村先生の著書(Amazon)」
https://www.amazon.co.jp/s?k=来村多加史&ad...

 

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2024年2月 4日 (日)

『行基生誕1355年記念シンポジウム』~行基さん講演会・地域連携セミナー~ 第2部

2023年11月12日に開催された『行基さん記念シンポジウム』の第2部が、youtubeで公開されましたので、紹介します。

https://www.youtube.com/watch?v=BQSLljTqLu0

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「歴史遺産で繋がる自治体連絡調整会議」の主催により、「行基生誕1355年記念シンポジウム~行基さん講演会・地域連携セミナー~」を開催いたしました。
同シンポジウムでは、行基の功績やその生涯等について有識者からご講演いただき、また、行基にゆかりのある自治体関係者から、各地域における歴史遺産を活用した地域の活性化、地域連携等について議論いただきました。

とのことです。

 

2024年2月 3日 (土)

2月10日からお水取りの展覧会 ふたつ

2月になると、東大寺の修二会(しゅにえ)の雰囲気が漂う奈良の町です。

2月10日から、お水取りのふたつの展覧会が開かれます。

奈良国立博物館では3月17日まで、特別陳列「お水取り」です。

HPは https://www.narahaku.go.jp/exhibition/special/feature_exhibition/202402_omizutori/

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そして東大寺南大門の近くの、東大寺ミュージアムでは

特集展示「二月堂ー修二会を支える法会空間-」が3月18日までひらかれます。HPです⇒https://www.todaiji.or.jp/information/museum/

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2024年2月 2日 (金)

国産の甕(かめ)のお嫁入り

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奈良に帰って器まつもりに勤務して49年、そして店は明治4年創業で153年になります。

先日、お客様が、当方の店で国産の久松(キュウマツ)の甕(カメ)を見つけられました。あちこち探し回っていたけれど、ようやく見つけられたとのことです。
というのは、もう数年経つのですが、国産の有名な久松の甕の窯元は、倒産したのでほぼ国産の甕は流通していません。

国産で長年作ってこられて定評があったのですが、中国のメーカーにデザインも真似られて安く作られ(人件費と為替レートの関係でと思われますが)日本の量販店で安く販売されたので、とうとう企業努力もかなわず、倒産されたのです。

したがって、ほぼ国産の甕は日本でいまや流通していないと思われます。

お客様にはたいへん喜んでいただき、当店の在庫を9個すべて買っていただきました。やはり国産の甕は、ラッキョ漬けにしても梅干しにしても醤油造りにしても、味が全然違うそうです。

10升(1斗、18リットル)など。台車3台に載っています。ご自宅へ配達前のお嫁入り前に、記念に写真を撮りました。

以下は以前に撮ってもらった器まつもり店頭風景。看板類は、書道家 長岡光邨氏に書いていただいたもので作成したものです。近頃、長岡文雄(光邨)先生に注目が寄せられており、うれしいことです。

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2024年2月 1日 (木)

2月8日から なら瑠璃絵

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2月8日から14日まで、なら瑠璃絵2024です。

公式サイトです⇒https://rurie.jp/

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