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2023年7月 3日 (月)

7月8日から 南山城聖地  ―奈良と京都を結ぶ祈りの至宝―展

奈良国立博物館では、7月8日から、浄瑠璃寺の阿弥陀仏修復を記念して、南山城聖地 
―奈良と京都を結ぶ祈りの至宝―展が開かれます。

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京都府の最南部、奈良市に隣接する地域は旧国名の山やま城しろの国くににちなんで、いま「南みなみ山やま城しろ」と呼ばれています。なだらかな山間を木津川が流れる風光明媚な地であり、仏教の伝来後、7世紀にはこの地域でも寺院の建立がはじまりました。

 

 南山城が歴史の表舞台に登場するのは、聖しょう武む天皇の恭く仁に京きょう造営によってであり、木津川への架橋や寺院の建立などに行ぎょう基きの活躍がありました。平城京から長岡京・平安京への遷せん都と以降も南山城は新旧両都をつなぐ回廊的な役割を果たす地域として、重要性を増すことになります。東大寺や興福寺といった奈良の大寺との深い関わりのなかで寺院があいついで建立され、また木津川流域の山々は俗世を離れた聖地として山さん岳がく修しゅ験げんの拠点とされました。

 

 鎌倉時代には、はじめ興福寺に学んだ解げ脱だつ上しょう人にん貞じょう慶けいが笠かさ置ぎ寺てらから海かい住じゅう山せん寺じへと拠点を移し、釈しゃ迦か如にょ来らいや弥み勒ろく菩ぼ薩さつ、観かん音のん菩薩に対する信仰を深めるとともに、南都の戒かい律りつ復ふっ興こうに努めたことが特筆されます。さらに江戸時代には、各地で念ねん仏ぶつを広めた袋たい中ちゅう上しょう人にんが晩年に瓶みかの原はら(木津川市加茂町)を拠点とするなど、南山城は各時代を通じて文字どおり日本仏教の聖地でありつづけました。  

 

 本展は、5か年に及ぶ保存修理が完成した浄瑠璃寺九体阿弥陀像のうち2軀くを修理後初公開するとともに、その優美な姿を寺外で拝することのできるまたとない機会となります。さらに南山城とその周辺地域の寺社に伝わる仏像や神像を中心に、絵画や典籍・古文書、考古遺品などを一堂に展観することで、この地に花開いた仏教文化の全貌に迫ります。多彩な作品を通して南山城のゆたかな歴史と文化を再認識していただくとともに、緑深いこの地域にいまもなお受け継がれる聖地の息づかいをご堪能ください。

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