復興・陸前高田 ゼロからのまちづくり
2022年に発行された「復興・陸前高田 ゼロからのまちづくり」という本です。
この本の執筆陣である、流通科学大学 商学部 マーケティング教授の長坂泰之先生、陸前高田ほんまる株式会社の取締役 阿部 勝さん、そして取締役の永山 悟さんが私ども、奈良もちいどのセンター街にお越しになられたのを機会に本も手に入れて読み始めました。
本を紹介していただいたときの鹿鳴人のつぶやきです。2022年4月
http://narabito.cocolog-nifty.com/blog/2022/04/post-aefa71.html
2015年に三陸海岸を訪問したときの、鹿鳴人のつぶやきです。
http://narabito.cocolog-nifty.com/blog/2015/08/post-041c.html
以下は長坂先生による解説です。
「共著『復興 陸前高田:ゼロからのまちづくり』が日本建築学会著作賞を受賞しました。
2023年4月19日に発表になりました。
受賞理由は、前代未聞の災害と復興事業の全体像を、関係者の記憶がまだ新しいうちに当事者の記録としてまとめられたことの意義は大きく、将来の復興事業においても必ず参照すべき一冊となることであろう。(詳細は後述)
関係させていただきましたすべての皆様に深く感謝申し上げます。
日本建築学会 2023年各賞受賞者
https://www.aij.or.jp/2023/2023prize.html
受賞理由
https://www.aij.or.jp/images/prize/2023/pdf/4_award_005.pdf
共著『復興 陸前高田:ゼロからのまちづくり』鹿島出版会,2022.4
https://www.amazon.co.jp/dp/4306073610
本書は、東日本大震災で甚大な被害を受けた岩手県陸前高田市の復興事業に関する詳細
なドキュメントである。
2011 年 3 月 11 日にこの地を襲った大津波は浸水高最大 17.6m にも達するもので、死者1,559 人、行方不明者 202 人という大きな犠牲をもたらした。浸水面積は約 13km2 にも及び、名勝高田松原のみならず、中心市街地も跡形もなく潰滅した。本書は、このように震災によって一旦「ゼロ」に戻されてしまった陸前高田市がいかにして復興とまちづくりを達成しえたのかを、事業に携わった当事者の立場から記述したものである。
復興事業は、2011 年 12 月の計画決定から 9 年間という限られた時間内で、高台の住宅地造成と既存市街地の全面的な嵩上げを行うという、前例のないスピードと規模を要求されるものであった。その実現を支えたのは、「チームたかた」と称される、陸前高田市役所、地元商工会とその支援団体、清水 JV、UR 都市機構、都市計画コンサルタント、学識経験者ら、ソフト面とハード面を担うさまざまなセクターの連合体である。
本書の執筆にはこの「チームたかた」から編著者 4 名を含む総勢 17 名(ほか座談会での発言者 8 名)が参画しており、土地区画整理事業と中心市街地の商業復興を中心に、それぞれの立場から事業に対してどのような問題意識をもって取り組み、どのように課題を解決したが詳述される。
大規模事業に関わった多数の当事者による記録は、ともすると自画自讃の事業誌に陥りやすいものである。
本書に関しても地元の住民あるいは外部の視点からの事業の率直な評価や、より広い文脈の中での位置づけなどがなされても良かったように思われる。
しかし
本書での執筆者の全体的なスタンスとしては自讃というよりは事業の経験を通した今後の課題の提示が意識されており、それは異なるセクターの意見をクロスさせることを企図した「座談会」にも通底している。
このように、前代未聞の災害と復興事業の全体像を、関係者の記憶がまだ新しいうちに当事者の記録としてまとめられたことの意義は大きく、将来の復興事業(このような悲惨な大災害が再来しないことを願いたいが)においても必ず参照すべき一冊となることであろう。
よって、ここに日本建築学会著作賞を贈るものである。」
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