富雄丸山古墳について
1月末あたりから、富雄丸山古墳が話題です。奈良新聞です。
全長2メートル37センチの蛇行剣の記事です。
盾型の銅鏡も初めての出土ということで話題です。ともに国宝級とのことです。
以下は毎日新聞6日の夕刊。旧知の花澤茂人記者の記事です。(画像はクリックすると拡大します)
毎日新聞デジタル有料版より。
「盾形の銅鏡(長さ64センチ、最大幅31センチ)と、長大な蛇行剣(長さ237センチ)。空前の出土品が大きな話題となった奈良市の富雄丸山(とみおまるやま)古墳(4世紀後半)は、いまだ謎多き古墳だ。史跡指定を目指す奈良市埋蔵文化財調査センターの2022年度の発掘調査では、古墳の性格に迫る発見が相次いだ。
富雄丸山古墳は直径109メートルで国内最大の円墳。時期の近い奈良市北西部の佐紀古墳群や、大阪府の百舌鳥(もず)・古市(ふるいち)古墳群から離れた場所に独立して営まれ、被葬者も分かっていない。
銅鏡と蛇行剣は22年12月、墳丘の北東方向にせり出した「造り出し」の埋葬施設から見つかった。銅鏡は鏡面が丁寧に磨かれ、裏面には神獣を表した「鼉龍(だりゅう)」の文やのこぎりの歯のように三角形が並ぶ鋸歯(きょし)文などが精緻に表現され、市教委などは「鼉龍文盾形銅鏡」と名付けた。
蛇行剣はその大きさに当初は数本の剣がつながっている可能性も指摘されたが、奈良県立橿原考古学研究所によるX線調査で、くねくねと6カ所で屈曲する1本の剣であることが確かめられた。
いずれも国産とみられ、古墳時代前期の金属工芸技術の水準が想像以上に高かったことを示すとして専門家らも驚きを隠さない。
ただ同時代の大型前方後円墳はほとんどが歴代天皇の墓などとして宮内庁が「陵墓」として管理し、学術的な調査ができていない。同センターの村瀬陸学芸員は「実態が分からないため、今後はこうした遺物がもしかしたらあるかもしれないと想像していく必要がある」と指摘する。
古墳南東側で見つかった遺構。中央に置かれているのが湧水施設形埴輪=奈良市の富雄丸山古墳で2023年1月25日午前10時40分、花澤茂人撮影拡大
古墳南東側で見つかった遺構。中央に置かれているのが湧水施設形埴輪=奈良市の富雄丸山古墳で2023年1月25日午前10時40分、花澤茂人撮影
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造り出しは前方後円墳のくびれ部分にも見られ、祭祀(さいし)などの場だったと考えられているが、今回は木棺を粘土で覆った「粘土槨(かく)」という埋葬施設が見つかった。コウヤマキの丸太をくりぬいた木棺が約4メートル残存しており、銅鏡と蛇行剣はその外側に置かれていた。村瀬さんは「造り出しという空間の性格を考える上でも重要な発見」と話す。木棺内部は盗掘されておらず、今後の調査でさらなる遺物など被葬者像に迫る発見が期待される。
さらに古墳の南東側では、造り出しに似たテラス状の高まりが見つかり、水の祭祀の施設を表現した最古級の「湧水(ゆうすい)施設形埴輪(はにわ)」やミニチュアの高坏(たかつき)が出土した。造り出しから時計回りにちょうど90度の位置に当たり、村瀬さんは「こちらにも何らかの祭祀の場が広がっていた可能性がある」と指摘する。周辺では、墳丘の平らな面をぐるりと巡っていた円筒埴輪の列が円周より外側で見つかっており、張り出した特殊な空間の存在をうかがわせるという。
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隣接する小さな古墳でも新発見があった。富雄丸山古墳の北東側の隣接地には、富雄丸山2号墳、3号墳と呼ばれる古墳がある。これまでの県教委の調査では2号墳で6世紀後半の横穴式石室が確認されたが、詳しい実態は不明だった。今回同センターが改めて調査したところ、両古墳を区画するような施設がなく、3号墳に埋葬施設がないことが確認された。
このことから、2号墳を後円部、3号墳を前方部とする1基の前方後円墳(全長約40メートル)の可能性があると結論づけた。村瀬さんは「周辺に他の古墳はなく、富雄丸山古墳が作られて約200年後になって意識的にすぐ目の前に築造されたとみられる。当時この地域を治めていた勢力を考える際にも重要だ」と語った。
1月28、29両日の現地公開には延べ約4500人が訪れ、世の関心の高さを示した。さらなる大発見につながるか、今後の調査からも目が離せない。【花澤茂人】
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奈良市の動画です⇒https://www.youtube.com/watch?v=hXjqFie7-Ss
また、この間の記事を奈良まほろばソムリエの会の鉄田さんが以下のブログでまとめてくれていますので紹介します。
https://blog.goo.ne.jp/tetsuda_n/e/605775f7fb185574e6a5788104ec9f33
(追記)2月11日の朝日新聞記事をもらいました。
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