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2022年5月15日 (日)

美ビット見て歩き105 再訪、三陸鉄道全線走破!!

毎月楽しみにしている、奈良新聞連載の川嶌一穂さんの「美ビット見て歩き」、今月は三陸鉄道全線走破!!です。

先日、衛星放送の「飲み鉄」で、三陸鉄道の旅を見たばかりです。また長坂先生らの「復興・陸前高田ゼロからのまちづくり」を読んだばかりです。

川嶌さんは東京出発の1泊2日の旅で、以前も行かれた三陸鉄道、今回は全線の旅をレポートされています。

まだ行ったことはありませんので、行ってみて初めてわかることも多いのだと思いながら読ませていただきました。

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以前おみやげにいただいた宮古、久慈の行き先プレートのある三陸鉄道のキーホールダー。

ボタンを押すとヘッドランプが光るというすぐれもの。

奈良新聞、5月13日より。(画像はクリックすると拡大します)

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美ビット見て歩き 私の美術ノート *105 川嶌一穂

 

三陸鉄道再訪

 

写真 「さあ、出発!」盛駅で三陸鉄道南リアス線列車に乗車

 

 まあ、出発までこんなにヤキモキした旅も珍しい。今年の3月上旬、「4月17日出発 三陸鉄道全線走破!2日間」というツアーに申し込んだ。1日目は東京駅から一ノ関駅(岩手県)まで東北新幹線に乗り、バスで移動。三陸鉄道始発駅・盛(さかり)駅(岩手県大船渡市)から乗車して北上する。2時間半走って、その日は宮古駅で下車。翌日、再び宮古駅から乗車して、2時間近く走る。終点の久慈駅で下車し、バスで盛岡駅まで移動。新幹線に乗って東京まで帰るという「乗り鉄」御用達の旅程だ。

そこに、震度6強を観測した3月16日夜の福島県沖地震である。東北新幹線は車両脱線を含め、高架橋や架線設備の損傷が1千箇所にも及び、福島―仙台間は4月中旬ごろに運転再開の見通し、と発表された。これは駄目だ、と諦めていたところ、出発の1週間前に旅行会社から「14日に新幹線全線運転再開との発表があったので催行決定。ただしダイヤ未確定につき、乗車便は確定次第電話連絡」という通知が来た。

 やれやれ一安心、と思っていたら、出発の3日前に電話があった。「新幹線の乗車便は決まったが、減速・減便のため、予定していた<奇跡の一本松>と宮古の魚菜市場見学は無し。三陸鉄道も貸切りではなく自由席になるが、参加されますか?」それでは東北新幹線と三陸鉄道にただ乗るだけという強行軍になる、と一瞬ひるんだが、天気はよさそうだし、えいやっ、とばかりに参加を決めた。

 当時この欄でもご紹介したように、私がはじめて三陸鉄道に乗ったのは8年前の平成26年。明らかに、その前年に大ヒットしたNHK連続テレビ小説「あまちゃん」に誘われた旅だった。岩手県の三陸海岸沿いを縦貫する三陸鉄道が、みずからも甚大な被害を受けながら、震災発生後わずか5日後に一部区間で運転を再開したことを、私もあのドラマがきっかけとなって知った。

平成26年、大震災後3年にして三陸鉄道は全線運転再開する。さらに平成31年、別々だった北リアス線と南リアス線を埋める宮古―釜石間がJR東日本から移管されて、全長163kmという日本一長い第三セクター鉄道路線となった。
しかしその後も三陸は災害に見舞われ続ける。令和元年には台風19号の豪雨被害で、一時は全線の7割が運休に追い込まれた。ようやく全線が復旧したのが、令和2年3月。まさにその時、コロナ禍が追い討ちをかけるように襲いかかった。

 実際、今回乗ってみて、8年前に比べてどことなく寂しい感じがした。貸切りではなく自由席への乗車に変更になったので、定員40人の車両でツアー参加者30人全員が座れるかどうか心配していたが、その心配は杞憂に終わった。常に一般乗客が10人以内だったのだ。
 前回は三陸鉄道の一部区間に乗車しただけなので単純に比較はできないが、周辺に人の気配のない駅が多くなったと感じた。安全な高台に住居を移して駅から遠くなり、鉄道を利用しにくくなったこと。復興道路が完成したので、自動車に乗る人が増えたこと。コロナ禍で観光客が来ないなど、理由は一つではないだろう。

 しかし8年前は、目にも鮮やかな大漁旗を、駅や沿線で振る人がたくさんいた。今考えればボランティアでやって下さっていたのだろう。今回の旅では、2日目にホテルを出発する時に、従業員がお一人で旗を振って見送って下さっただけ。無理もない。立ち上がっても、立ち上がっても、さらなる災害が襲うというこの11年だったのだから。

 「鉄道が廃止されて栄えた街はない」。大震災被災時の三陸鉄道社長・望月さんの持論である。地方の交通インフラを地方に任せていていいものだろうか。効率だけを考えて人は生きていけるのだろうか。災害が頻発する日本に生きる素人の素朴な疑問だ。都会が地方を支えているのではない。水、食料、エネルギーその他大切なものについては、そのほとんどを地方が支えている。

 4月のはじめに桜が散ってしまい、すでにツツジの咲く季節となった東京から出発した今回、思いがけず桜をもう一度見ることができた。銀色の和毛に包まれて芽吹きはじめた雑木林の中に咲く山桜やコブシの花。薄絹を広げたような棚づくりの桃や梨の花。夢のような車窓の春の風景がまだ眼裏に残っている。

 帰りに寄った道の駅で買ったメカブは翌日ぽん酢で、ウルイという山菜はさっと茹でて酢味噌で食べた。二つともぬめっとした春の美味。食後は、三陸鉄道の駅で買った、パッケージに黒い鹿のキャラクターが描かれた「黒字化をめざす三鉄クロジカせんべい」!
 宮藤官九郎さん、そろそろ「あまちゃん」続編をお願いします。

 

=次回は6月10日付(第2金曜日掲載)=
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かわしま・かずほ
元大阪芸術大学短期大学部教授。

 

メモ
三陸鉄道株式会社旅客営業部 岩手県宮古市宮町1丁目1−80 宮古駅内。電話0193(62)7000。
https://www.sanrikutetsudou.com/

「黒字化をめざす三鉄クロジカせんべい」等の三鉄オリジナル商品が返礼品として送られて来るふるさと納税については、HPをご覧下さい。

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以前の美ビット見て歩き、当ブログに載っています。

8年前の三陸鉄道に乗られたときの美ビット見て歩き⇒http://narabito.cocolog-nifty.com/blog/2014/04/post-ee31.html

『東日本大震災の記録と津波の災害史』⇒http://narabito.cocolog-nifty.com/blog/2015/03/post-e8ec.html

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