もと社家
(5月1日撮影)
クラウドファウンティングなどで寄付を募り、高畑町の旧社家の改修がすすんでいます。
朝日新聞は以下のように伝えています。
「代々神職だった藤間家の子孫で、同住宅の保全に取り組む一般社団法人・高畑トラスト代表理事の佐久間信悟さん(39)、母親で副代表の公美子さん(74)が中心となり、2017年から改修を進めている。
明治初めに神職の世襲が廃止されたことで、春日大社も大半の神職が職を失った。佐久間さんの曽祖父までが神職だったという。同住宅には最近まで祖母が1人で住んでいたが、維持管理がたいへんなため、佐久間さんが引き継いだ。
美術大出身の佐久間さんは、アートを通じた文化の発信地にするアイデアを思いつき、高畑トラストを設立。東京理科大、京都大、奈良大の研究者に建築物などの調査・研究をしてもらっている。佐久間さんは「古い部分はなるべくそのまま残す。歴史を守りながら、新しい歴史をつくるという思いです」と話す。
所蔵品の一般公開のほか、絵画や映像、デジタルアートなどのイベントを同住宅で催しながら資金を集め、改修も進めた。
「社家町」の景観を今に伝える土塀は劣化が進み、一部が崩落していたほか、道路に面した部分が庭にある御神木の根っこに押されて湾曲していた。「道路側に倒れるかもしれず、緊急を要する状態でした」
土塀は主に道路に面した約20メートルの修復に取りかかり、昨年10月からクラウドファンディングで寄付を募った。12月までの約2カ月間で、目標の300万円を上回る約350万円が集まり、公的補助や自己資金と合わせて計935万円の修復費用をまかなった。
修復工事では、土塀の上部に様々な時代の瓦が使われていたことが判明。中には奈良時代の作とみられる布目瓦もあった。こうした、交換された古い瓦の保存や活用も今後の課題だ。また、土塀の内側には、築造当時に職人が素手で土を塗ったとみられる指の跡が多数見つかり、訪れた人たちに見てもらえるようそのまま残した。
今後、主屋はアート展示室や、作家が何日も滞在しながら創作できるスタジオに活用する計画だ。佐久間さんは年内にも、大和郡山市から妻と同住宅に移り住むことにしている。「近くにある志賀直哉旧居のように、アーティストたちが集うサロンみたいな場所にしたい」と夢を語った。(伊藤誠)
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