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2022年5月24日 (火)

小谷 稔先生の愛した明日香を歌で巡るツァー 

かねて行きたいと思っていた、短歌をかたわらに明日香を訪ねて、という奈良まほろばソムリエの会のガイドグループ、藤田道夫さんの企画・ご案内で「小谷 稔先生の愛した明日香を歌で巡るツァー」 にいってきました。

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2022年5月22日、この日は好天で少し汗ばむ初夏の一日になりました。

行った先をスナップ写真にて。そしてあちこちで、その地で詠まれたであろう短歌を朗読してくれました。(小谷先生は2018年まで歌人としてご活躍でしたので、現代歌人とすべきですが、便宜的に近代歌人とされています)

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●近代歌人 小谷稔先生

・出土せる敷石の列はまぎれなく八角形墳ぞ白く整然と
     
・人あまた使ひ大工事好みし女帝にわが親しまず    
    
・棺置く白石二つは母と子か灯りの照らす石槨の奥  
     
・牽牛子塚に寄り添ふ墓の出土して再び来たり越の冬丘 
    
・大津皇子の母の古墳か閃緑岩の床曝されて冬日に青し  
 
・大津皇子の齢は母を越えたりやあはれは尽きず母子ともども 

・「皇孫大田皇女を陵の前の墓に」書紀のそのままわが眼の前に   

・この古墳に母恋ふる幼きまぼろしの二人を置きて峡に下らむ  

 

 

飛鳥坐神社

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●万葉歌碑

・大君は 神にしませば 赤駒の 腹這う田居を 都と成しつ 
大伴御行 犬養孝氏の揮毫
意味)大君は神でいらっしゃるので、赤駒が腹這う田を立派な都になさった

・齋串立て 神酒すゑ奉る 神(は)主部(ふりべ)の うずめの玉蔭 みればともしも
                     作者不詳 書家鈴木葩光氏の揮毫
意味)齋串を立て御神酒を捧げまつる神官たちの髪飾りのかずらは、見るからにゆかしい

●近代歌人

・ほすすきの夕ぐもひくき明日香のやわがふる里はひをともしけり   釈迢空

・御田植の神事終りて杉の下に静かに牛の面脱ぐところ      小谷稔 

 

犬養孝記念館前

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●万葉歌碑
・山吹の 立ちよそひたる 山清水 汲みに行かめど 道の知らなく

                     高市皇子 犬養孝氏の揮毫
意味)山吹が咲いている山の清水を汲みにいきたいが、そこに行く道が分らない

 

もと薬屋旅館

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●近代歌人

・わがために二日の業を休み来し友と寝る明日香の家に      島木赤彦

・旅ごころ静になりぬ片ゐなか明日香の岡に友と宿りて      中村憲吉

・大柘榴木の実のあひに赤き花のこり寂びしこの庭みおぼえのあり  中村憲吉

・ひとつ蚊帳にねむりしことも現なる飛鳥の里の朝あけにけり   斎藤茂吉

 

飛鳥京跡 エビノコ郭

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井戸跡

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●万葉歌碑

・采女の 袖吹きかへす 明日香風 京を遠み いたづらに吹く

                    志貴皇子 平山郁夫氏の揮毫
意味)采女の袖を吹き返した明日香風は、都が遠くなったので、ただ空しく吹いている

●近代歌人

・山のつつむは岡本宮のあとどころ木立は岡寺の甍をかくす     土屋文明

・かぎりなく大和を思ふ小さなるこの明日香をぞかぎりなく思ふ   土屋文明

・天なるや月日も古りぬ飛ぶ鳥の明日香の岡に立ちて思ふも     島木赤彦

 

 

酒船石遺跡

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●近代歌人

・斉明紀の「狂心の渠(みぞ)」にかかはるか出土して白き亀形の石    小谷稔

・酒船石に亀形石に刻む溝の謎はともあれ水を崇めし       小谷稔

・渠を造り運ばしめしと書紀に記す布留の石ぞこれ黄なる積み石  小谷稔

・斉明紀の石の工事の跡見れば赤兄思う欺かれし有馬皇子を思う  小谷稔

・ひばり鳴き山鳩が鳴き遠き代の霞(かすみ)はなびく酒槽(さけふね)石(いし)に居れば    落合京太郎

・何時来ても酒槽石の丘の上より見はるかすなり大原の棚田     上村孫作

 

天理の布留から斉明天皇期に運ばれた黄色い石

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亀形石造物

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稲淵宮殿跡 すぐ近くにもと祝戸荘。

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南淵請安の墓

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●近代歌人

・川を護る策ともなりけむ南淵山の木を伐らしめず天武記五年    小谷稔

・南淵山の裏は親しき峡(かい)の村請安の墓を守り蛍を護る     小谷稔

・置き忘れし眼鏡探して引き返す林の中に独り言ひて        小谷稔

・み食向かふ南淵山の高きまで耕して田植の水はみなぎる      土屋文明

・中大兄も鎌足も南淵へかよひけむ山かいみちを友と月夜に     中村憲吉

・遣唐使なべては大和へ帰化の人請安先生その一人にて       雁部貞夫

 

石舞台展望台より

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●万葉歌碑


・御食向かふ南淵山の巌(いわお)には降りしはだれか消え残りたる 

柿本人麻呂 辰巳利文氏の揮毫
意味)南淵山の巌には、降った薄雪が消え残っている

●近代歌人


・玄室のうち広らなり説き示す若き学者の声ひびきとほる      佐佐木信綱

・陰謀の都ありきと言ふなかれ石棺おほらかに丘を築けり      倉林美千子

・飛鳥をいゆきめぐりていづこにても二上山の見ゆる親しさ     落合京太郎
 (万葉集 うつそみの人なる我や明日よりは二上山を弟(いろせ)とあが見む  大伯皇女)

 

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最後に、明日香村埋蔵文化財資料室へ

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無事予定通り終了。案内の藤田道夫さん、ご参加の奈良女子大附属中学高校のOB、OG、そしてはるばる舞鶴からTさん、ありがとうございました。

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(追記)

それから8年前の
2014年4月の小谷先生と明日香吟行は2回にわたって以下に書いていました。なつかしい写真も載っています。

 http://narabito.cocolog-nifty.com/blog/2014/05/post-7667.html

 http://narabito.cocolog-nifty.com/blog/2014/05/post-8395.html

 

 

 

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