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2021年12月11日 (土)

美ビットと見て歩き 101

毎月、奈良新聞で楽しみにしている川嶌一穂さんの美ビット見て歩き、いよいよ101回。新しいスタートです。

青森の三内丸山遺跡と是川縄文館です。

青森に行ったとき看板に三内丸山遺跡と大きく書かれていたのが印象に残っていますが、この7月に北海道・北東北の縄文遺跡群が世界文化遺産になったとのことです。

川嶌さんの美ビット見て歩きを読んで、縄文時代がだんだん身近になってきました。

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(画像をクリックすると拡大します)

美ビット見て歩き 私の美術ノート *101 川嶌一穂

 

青森市・三内丸山遺跡と八戸市・是川縄文館

 

写真 三内丸山遺跡内の大型掘立柱建物(著者撮影)

 

 3年前の夏、東京国立博物館で開かれた「縄文展」(本欄第65回)を見て以来すっかり縄文にはまってしまった私は、ずっと東北の縄文遺跡に行きたいと思っていた。宣言が解除されて、いいツアーを見つけたので喜んで参加した。
 東北新幹線新青森駅で下車すると、「北海道・北東北の縄文遺跡群」がこの7月に「世界文化遺産」に登録されたことを祝う看板があちこちに掲げられていた。駅からほぼ真南に2.5キロメートルほど行った所に三内丸山遺跡がある。

 私は「さんだい」と読み誤まっていたが、「さんない」と読むのが正しい。遺跡エリアに入ると、パーっと視界が開けた。低い丘陵に復元された建物が点在し、道路がゆるやかな曲線を描いている。この道路のカーブは縄文時代そのままだと聞いて、腰折れ歌が口を突いて出て来た。

この道を縄文人も歩いてた胡桃をいっぱいポシェットに入れて

 遺跡から出土した、5ミリメートル幅の樹皮を「2本越え2本潜り」の網代編みで編んだ小さな籠バッグの中にクルミの殻が残っていた。縄文中期と言うから四千年から五千年前のものだが、今でも十分通用する素敵なデザインだ。

 広大な敷地の周辺に栗、胡桃、栃など実のなる木が植えてあるが、遺跡から出土した栗はDNA鑑定の結果、栽培されたものであることが分かった。これはもう「狩猟採集」ではない。稲作でこそないが、「農耕」と言うべきではないだろうか。

 写真は、復元された建物遺跡の中でも圧倒的な存在感を示す高さ約15メートルの大型掘立柱建物。すぐ近くに「大型掘立柱建物跡」がある。すべて4,2メートル間隔の、直径・深さとも約2メートルの柱穴が6本発掘された現場を保存・展示する覆屋である。柱穴はそれぞれ内側に2度傾いていたことと、穴に直径約1メートルの栗の木の柱が残っていたことを基礎として再現したものが写真の大型掘立柱建物だ。国内ではもう直径1メートルの栗の木が手に入らないので、ロシアから輸入したという。
床とも天井ともつかない平面が3面作られているが、これは想像による復元である。

素人は考えるーこの高さへの強い意志には既視感がある。信州は諏訪大社の御柱である。現在の御柱祭と同じく、柱を建てる行為そのものに宗教的な意味があり、ここもおそらく柱のまま建っていたのではないか。
諏訪地方を中心にして信州には夥しい数の縄文遺跡がある。鏃(やじり)に加工された信州産の黒曜石が三内丸山遺跡で発見されている。諏訪周辺に残る御柱信仰が、歴史的にどこまで遡れるかは不明だが、古層文化の跡を留めていることは確かだろう。だとすれば、三内丸山と諏訪の縄文人が交易し、巨木を御神木として崇める文化を共有していた、などとどこまでも素人の妄想は広がるのである!
 木々の黄葉が青空に映えて美しい。いま遺跡は海から4キロメートル近く離れているが、縄文時代はここが海岸線だった。落ち葉を踏んで歩いていると、リスが一匹林から飛び出した。

 バスの車窓から、整然と植えられた可愛いニンニクの芽や、落ち穂をついばむコハクチョウの群れを見ながら、次の目的地である是川縄文館に向かう。
 百年前、資産家の是川兄弟が敷地内で土器を発見した。農閑期の農民の手間仕事として発掘を続け、後に出土品約五千点を八戸市に寄贈した。その間、兄弟は研究者が、出土品を持ち帰って研究したいと言うと、「先祖からの贈り物だから、研究するならここへ来てくれ」と言って断ったという。中央の権威付けを有り難がるのが人の常だが、何たる見識か。
 出土品を引き継いで、十年前に「八戸市埋蔵文化財センター是川縄文館」として開館した当館には、国宝土偶5点のうちの1点「合掌土偶」が保管・展示されている。その他の展示品の質の高さと数の多さにも驚かされた。約600点の展示資料の8割が重要文化財に指定されている。ちゃんと残っている土器や太刀に塗られた漆の色が印象的だ。

 縄文研究はまだ始まったばかり。機会があれば、ぜひ現地に足を運んではいかがだろう。日本の古代観が変わること請け合いだ。

=新年1月はお休みを頂き、次回は2月11日付(第2金曜日掲載)=
  ・・・・・・・・・・・・・・・
かわしま・かずほ
元大阪芸術大学短期大学部教授。

 

メモ
 特別史跡三内丸山遺跡 問い合わせは三内丸山遺跡センターへ。青森県青森市三内字丸山305。電話017(766)8282。青森空港からJRバスで約35分。JR新青森駅から徒歩30分か、バスねぶたん号に15分乗車。https://sannaimaruyama.pref.aomori.jp/

 是川縄文館 青森県八戸市大字是川字横山1。電話0178(38)9511。JR八戸駅から土日祝日のみ南部バスで22分。https://www.korekawa-jomon.jp/

 

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