春日若宮おん祭
春日若宮おん祭が近づいてきました。
奈良まほろばソムリエの会で交代で書いている、「かるたで知るなら」ですが、今回わたしは、春日若宮おん祭のことを書きました。
12月2日付、毎日新聞奈良版のカラー版です。
実際の紙面は以下の通り、白黒で、横山季由先生が選者をされているやまと歌壇、いつも知り合いが短歌をよく投稿されているお隣です。
かるたで知るならは、来年春まで続きます。(画像はクリックすると拡大します)
〈若宮おん祭生きた日本の芸能史〉
奈良の人々にとって、春日若宮おん祭は年末の大きな楽しみです。春日大社若宮神社のこの祭礼は、平安時代の保延2年(1136)に関白、藤原忠通が五穀豊穣と国民安寧を祈願して始めたとされます。連綿として続いており、国の重要無形民俗文化財に指定されています。
若宮神社の祭神、若宮様は正式には天押雲根命で、春日大社本殿の第三殿の天児屋根命と第四殿の比売神の間に生まれたとされます。本殿の南に若宮神社本殿があります。
大和士がこもって精進潔斎をしたという大宿所が餅飯殿センター街の中にあります。毎年12月15日には御湯立の儀など神事が行われます。
続いて17日未明に、若宮様が多数の神職に守られ、若宮神社から御旅所に移られ、遷幸の儀と暁祭が行われます。正午ごろから呼び物の御渡式。最後の大名行列は大変な人気です。
一の鳥居を東に入ってすぐの所で「松の下式」があり、その後、御旅所で神楽、東遊、田楽、細男、猿楽、和舞、舞楽などの神事芸能が奉納されます。大陸から伝えられたという舞楽、古くから日本に伝えられた細男など、おん祭でのみ演じられる芸能もあり、まさに生きた芸能史です。
若宮様はその日のうちに、再び若宮神社に帰られる還幸の儀が行われます。翌18日には後宴能が行われ、おん祭はフィナーレとなります。
2021年はコロナ禍のため、おん祭は神事を中心に関係者のみで行われます。若宮神社本殿は現在ご造替中で22年秋に完成します。
(奈良まほろばソムリエの会理事 松森重博)
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