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この度、墨と書道用具メーカー「呉竹」の創業者一族で、筆ペンというベストセラー製品を世界で初めて世に送り出した、綿谷正之氏による著書『墨と生きる』を発刊しました。
本書では著者の波乱万丈の人生が、
「呉竹」の仕事を通して綴られています。
綿谷様の味のある語り口を活かしました。
墨の歴史、文化もわかりやすく伝えています。
今後、啓林堂書店様など奈良の書店、全国の書店(お取り寄せ)、Amazonなどで販売致します。
宜しくお願い申し上げます。
(「はじめに」より)
天平時代より1300年の歴史をもつ墨は、奈良の伝統産業です。
室町時代に興福寺で「油煙墨(ゆえんぼく)」という製法が誕生し、以降「南都油煙」と呼ばれ墨づくりが栄えました。奈良町(元興寺旧境内地)を中心に、商売を始める人が興り、興福寺の手を離れて墨屋を始めたのが松井道珍(どうちん)でした。屋号を古梅園(こばいえん)といい、今は奈良市椿井町(つばいちょう)に店を構えます。その後、奈良の墨づくりは民間にわたり、奈良の産業として発展していきました。
私、綿谷正之は墨と書道用具メーカー「呉竹」の創業者一族に生まれました。
「呉竹」の前身となる「綿谷商会」は明治三十五年(1902)十月に創業。戦後、GHQによる「道」とつく教育の禁止という憂き目に遭い、経営の危機が訪れますが、昭和三十二年に書道教育が復活。「授業のうち二十分も墨磨(す)りの時間になってしまっては、教える時間が二十五分しかない、何とかならないか」という先生の要望があり書道用の墨液を開発。さらに、取引先の意見から「筆(ふで)+ペン」という着想を経て筆ペンを日本ではじめてつくり、書道業界に大きな革命を起こしました。
呉竹は、奈良の伝統としての墨文化に「墨液」と「筆ペン」という革新をもたらしました。
本書は、呉竹の歴史にはじまり、日本で初めて筆ペンを開発した呉竹の知られざる開発秘話など、私が墨とともに歩んできた人生を記録した物語です。
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昨年から出版されるとうかがっていた、呉竹の綿谷さんの『墨と生きる』がこのほど出版され、送られてきました。ありがとうございます。早速読み終えました。
京阪奈情報教育出版から発刊されました。900円+税。小西通りの啓林堂書店でも販売されています。
綿谷さんの大学を出てからの40数年、〈株)呉竹社長を経て会長を終えられ、さらに白藤学園理事長を務められたた半生を書かれています。
幼少から跡取り息子と言われて育ったのがいやだったこと、考古学、さらに関西学院大学では法学部を4年、さらに大学で登山活動を続けるためもあって、商学部にあと2年行かれて卒業されました。その後、綿谷さん一族の呉竹精昇堂に入社、総務、営業、企画開発などで活躍されました。
伝統産業の墨にとどまらず、筆ペンの開発販売、カラー筆ペン、海外への販売、海外ブランド名のZIGの筆記用具、絵手紙の筆記用具、またもともとの伝統墨にも力を発揮されます。
読んでいてとくに、筆ペンの開発と販売、テレビ宣伝も使った販売、大手との闘いなど圧巻です。
まず営業先の現場での声を聞くことが大切であることを実践され、それを会社に報告して社内会議をして商品を開発され商品化され販売されていきます。
一方バブル崩壊のこと、会社をさらに大きくするために大宮町から南京終町に会社を移転されたり、人員整理のご苦労も書かれています。
まさに「墨と生きる」半生です。最後によく講演される「墨の話」もまとめられています。墨、すす、にかわ、硯、紙・・・など。
綿谷正之さんは6才年上の大先輩、奈良青年会議所のころ、ふたりとも30代のころに出会いました。以来40年お世話になっています。
綿谷さんが奈良青年会議所理事長になられたとき「和して同ぜず」と言われたことも思い出しました。
その後、長年、奈良市異業種交流塾(これも綿谷さんの命名)でもご一緒でした。毎月、上野誠先生、岡本彰夫先生、西山厚先生らその後もお世話になっている先生を講師にお呼びして勉強しました。毎月の勉強会で出会うたびに、綿谷さんはこんなことがあったとか、こんな商品を作り出したとか(ZICという海外ブランド名もその頃聞きました)よく言っておられたり、筆記用具を頂いたり、得意の絵で丹念に万葉花を描かれた絵はがきをいただいたこともありました。奈良市異業種交流塾では九州や長野などの国内や海外にご一緒に旅行に出かけたりもしました。また奈良ロータリークラブでもご一緒でした。奥様やお嬢様、ご子息も存じています。
本を読んで、綿谷さんは常に斬新な素晴らしいご意見をお持ちだったことを思いだしました。
そして綿谷さんの考えは、この本のなかに余すところなく書かれています。
またキャッチフレーズ、スローガン、標語などをわかりやすい言葉で作られるのが実にうまいと思います。
「つくろう良品、きずこう信頼、めざそう品質の呉竹」
「あせったらいかん、あわてたらいかん、あきらめたらいかん」という座右の銘でしょうか。
この本は、墨の話だけでなく、素晴らしい経営者の生き方であり、素晴らしい経営書だと思いました。
綿谷さんありがとうございました。おからだご自愛頂き、ますますのご活躍をお願いします。
そしてこの本を多くの人に読んで頂きたいと思います。
また講演をしていただいたり、みんなと一緒に綿谷さんを囲んでの会を開きたいものです。
綿谷さんのつぎの一冊も楽しみにしたいと思います。
呉竹のホームページ→https://www.kuretake.co.jp/
京阪奈情報教育出版のホームページ→http://www.narahon.com/
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