鹿谷勲先生著『茶粥・茶飯・奈良茶碗』
旧知の鹿谷勲先生の著書である『茶粥・茶飯・奈良茶碗』が2月に発刊されました。淡交社発行。2200円+税。
まず最初に、奈良は茶がゆで有名ですが、歴史的にそして県内各地の作り方を実にくわしく調べられています。
わたしも子どもの頃に、奈良の国中である北葛城郡広陵町の母の実家で毎朝食べていた茶がゆを思い出しながら読みました。早朝からかまどでおばあさんが炊いているのをよくそばで見ていました。そしておじさんたちが、残ったご飯を茶がゆにいれたり、はったい粉をかけたり、キリコ(かき餅をサイコロ状に切ったものをいったもの)などをかけて食べているのを見ていましたし、まねをして食べました。
茶がゆが西日本に広まっていったことなどを本は明らかにしています。そしていろいろな作り方や歴史を県内各地でのくわしい取材を通じて明らかにしています。
奈良茶がゆは江戸にも、奈良茶、奈良茶飯などという形で広まりました。
そしてまた戻って上方にも広まったりしたようですし、江戸から全国にも広まったようです。
また東大寺の修二会(お水取り)の行のあと夜遅く、「ゴボ「」といわれる茶がゆを食べられるということですが、作る途中でゴボとゲチャ(茶がゆを作る途中でひきあげた米)の仕分けから、茶がゆと奈良茶飯について考察をくわえておられます。
そして奈良茶碗という器を調べられています。わたしも、蓋付き茶碗のことを奈良茶碗と言っていたことを思い出しました。有田皿山などを調べられています。淀川から伏見のあたりの「くらわんか船」についても書かれています。
全編を通じて茶粥・茶飯・奈良茶碗について実にくわしく調べられていて興味深く読みました。
そしてほうじ茶で、茶粥をつくって久しぶりに食べてみました。
ずいぶん前に、茶がゆは胃がんの原因になるとか言われていましたが、近頃は言われなくなりました。奈良県で胃がんの原因は茶がゆそではなかったからだと思います。
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