
このほど旧知の大槻旭彦さんが「奈良 高畑界隈―その歴史と伝承-」を刊行されました。
大槻さんは地元奈良のお生まれ、わたしの学校の先輩です。小西商店街の中通りで長らく喫茶アカダマをされていました。多くの奈良を愛する内外の学者や著名人も訪れる喫茶店でした。
いまは「ことのまのあかり」に貸されています。
大槻さんは、奈良まほろばソムリエ(奈良検定の最上級者)の資格を真っ先に取得されたり、奈良大学文学部で再度勉強されたり研究されたりしておられます。大学の卒業論文は春日大社のことだったように伺っています。奈良大学の卒業論文に続く労作と拝察しました。
「奈良 高畑界隈ーその歴史と伝承-」を 早速拝読させていただきました。
高畑界隈の歴史を深く掘り下げられており、今まで、ぼやかされた表現であったり、そこまで追究されていなかったことを、克明な研究を重ねられていると思いました。私自身グレーであったり、わからなかったところに解明の光があてられたように思います。飛鳥の頃から奈良時代、そして平安、中世、江戸時代、明治以降と少しいろいろなことがつながったような気がします。また大乗院が当初から現在地にあったのではなくもっと北にあったこと。県の公会堂あたりに野田と書かれた地図を以前見たことがありましたが春日の社家の北でしたか最初は高畑ではなく北にあったことなどはじめて知りました。元興寺や紀寺のお話も興味深いものでした。七御門なども。
清水通の頭塔は何度も訪れていますがやはり下には石室があることもはじめて知りました。また奈良教育大学にある古墳も訪ねましたが、吉備真備ゆかりだったことも話の中でつながりました。
赤乳神社に白乳神社も名前だけは知っていましたがおおよその場所もわかりました。清水通がかつて柳生街道の入り口で商いで賑やかであったことなどもなるほどと思いました。
第二部の梅木春和さんらの伝承、高畑の古老の話を記録しておくことも大切だと思いました。
大槻さんは「先々代の鏡神社宮司の梅木さんが収集された数々の伝承を知って、背景を調べて行く中で、今、これを本として記録を残さねばいけないと、使命感を抱くに至り、思い切ってこの度出版に踏み切りましたが、それでも、正直、専門家でもない私が、厚かましくこのような本を出して良いか逡巡する気持ちがあったのですが・・・」と語られていますが、大槻さんなくしてこういう伝承は伝えられなかったと思います。
大槻さんは、春日大社のこともくわしく書かれています。高畑界隈には春日大社のつながりのある人がいまもたくさん住んでおられます。
多くの方ともわたしも子どもの頃からお付き合いがあることも感じました。奈良の濃い人のつながりだと思いました。大槻さんもたくさんの人とつながりがあることをこのたびあらためて思ったとおっしゃっています。
ともあれ、研究、執筆、出版たいへんな労作だと思いました。ありがとうございました。多くの方に読んで頂きたいと思います。
もくじ
■第一部 高畑の変遷
一 新薬師寺から高畑へ
二 元興寺と奈良町
三 紀 寺
四 興福寺と高畑町
五 春日の社家と中臣氏
六 鹿島の中臣氏
七 藤原氏と大中臣氏
八 高畑の社家町の形成
九 明治以降の高畑
■第二部 高畑に残る伝承とその背景
一 破 石
二 吉 備 塚
三 清 明 塚
四 鏡 神 社
五 頭 塔
六 吉備真備・玄昉・阿倍仲麻呂・広嗣と高畑
七 不空院・イガミ御霊さん・井上内親王
八 赤穂神社・氷上夫人・比賣塚・十市皇女
九 俊 寛・俊寛田・藤間家
十 閼伽井庵・隔夜堂(隔夜寺)
十一平 景 清
十二 一之井・修験道・高円山
十三 柳堂地蔵・下高畑町
■おわりに
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■A5サイズ 120ページ。販売価格 1,500円(内税)
著者紹介より。
大槻旭彦(おおつきてるひこ)さん
1945年 奈良市生まれ。
1967年 同志社大学経済学部卒、考古学研究会所属。
2013年 奈良大学文学部文化財歴史学科卒。
奈良市で祖父の創業した昭和4年創業のアカダマ薬局を受け継ぎ、1973年から父の後を継ぎコーヒー店アカダマを40年経営。
元南都楽所楽師、前奈良県かるた協会会長、奈良まほろばソムリエ。
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なお本は以下で購入できます。初版がすでになくなりつつあり、目下増刷中かもしれません。
通販のURLです http://nara-furukoto.shop-pro.jp/?pid=157046346
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(追記)
第2刷ができあがり、小西通りの啓林堂・奈良店の奈良コーナーに並べられました。光栄にも私の歌集「大和まほろば」も一緒です。
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