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2020年11月17日 (火)

美ビット見て歩き 89

いつも楽しみにしている、川嶌一穂さんの美ビット見て歩きが奈良新聞に掲載されていました。

京都の泉屋博古館センオクハクコカン   https://www.sen-oku.or.jp/

の特別展覧会です。蹴上駅から南禅寺境内を歩いて行く道がおすすめとのこと、今の時期はさぞかし良いだろうと想像することです。

 Img322_20201113135501

新聞はクリックすると拡大します

Img323

ポスターです→

美ビット見て歩き 私の美術ノート *89 川嶌一穂

「開館60周年記念名品展II 泉屋博古#住友コレクションの原点」

写真 天皇の鳳輦(ほうれん)『二条城行幸図屏風』(部分) 紙本金地着色 六曲一双 江戸時代・17世紀(泉屋博古館提供)

 6年前の野村美術館の回でもご紹介したが、泉屋博古館へもぜひ京都市営地下鉄東西線の蹴上駅で降りて、レンガ造りの小さなトンネルを潜り、南禅寺の境内を歩いて行きたい。これからちょうど紅葉も見頃となるだろう。
 住友は四百年以上前に「南蛮吹き」と呼ばれる銅の精錬技術を開発し、別子銅山を中心として、「世界有数の銅産出国」(石油天然ガス・金属鉱物資源機構HP)だった江戸期日本の銅の生産・輸出を支えた。
 住友家伝来の美術品を収蔵・公開する泉屋博古館は、古代中国の青銅器を中心とする素晴らしいコレクションで知られているが、意外にもそのほとんどが十五代当主・春翠住友吉左衛門(一八六五〜一九二六)によって収集されたものだという。明治維新の混乱期に事業が逼迫したためだ。
 春翠に限らず、数寄者と言われた明治の実業家の多くが中国古銅器を集めた。それは主に煎茶の茶会の折に、茶席や展観席で飾られた。とりわけ中国趣味の西園寺公望の実弟でもある春翠は「煎茶の総大将」と称された。今回の「開館60周年記念名品展」でも、紀元前14世紀の道具から、19世紀清朝の壺まで青銅器が数多く展示されている。
 本展で私が一番楽しみにしているのが『二条城行幸図屏風』だ。泉屋博古館の収蔵品の中では珍しく、江戸期から住友家に伝来したもので、江戸前期の制作だとすると、その保存状態のよさは驚くばかりだ。写真は、そのごく一部で、屋根の上に鳳凰の飾りを載せた鳳輦(ほうれん・天皇の乗り物)である。
六曲一双屏風は、六扇(六枚折り)の屏風を二隻(せき)並べて一組として鑑賞するものだが、とくに本作は合計十二扇の絵柄が一続きに連続する。  
右隻左隻とも、真ん中に棚引くすやり霞(金色の霞)が、上下二段に画面を分けている。行列は上段が右向きに、下段が左向きに進む。洛中洛外図屏風だったら、最初に清水寺の舞台を見つけて、それから徐々に三十三間堂、鴨川と探していくのだが、これはどうにも場所が特定できない。
泉屋博古館編『二条城行幸図屏風の世界』(サビア刊)によると、上段は堀川通りを西側から見て、中立売から二条城へ進む天皇の行幸を、下段は中立売通りを北側から見て、堀川から御所へ参内する将軍の行列を描いているという。実際には、朝に将軍が天皇奉迎のために二条城から参内し、その後に行幸となる。先頭は中宮和子(まさこ)である。
 描かれる天皇は後水尾天皇、将軍は徳川三代将軍家光。時は寛永三(1626)年、元和偃武(げんなえんぶ)からまだ11年しか経っていない。
家康は、早くも大坂夏の陣の終結直後に、禁中并公家中諸法度を二条城において発布している。後水尾帝は二代将軍秀忠の娘・和子の入内を拒否したいがために譲位しようとしたが、容れられなかった(熊倉功夫『後水尾天皇』中公文庫)。しかし、この行幸の3年後に突然譲位を決行し、その後50年にわたり院政をしく。本阿弥光悦ら文化人を庇護して一大サロンを築き、修学院離宮の造営も指示した洗練された趣味の持ち主だった。
 着々と天皇の実質的な権威を奪っていくが、しかしその権威を自らの権威付けに利用する幕府と、財政的には幕府に頼らざるを得ない天皇、両者それぞれの思惑を内に秘めて、豪華な道具立ての中で行列は粛々と進む。それを知ってか知らずか、熱狂する群衆。まことに「見れどあかぬかも」、実物を拝見するのが楽しみだ。
 ・・・・・・・・・・・・・・・
かわしま・かずほ
元大阪芸術大学短期大学部教授。

=次回は12月11日付(第2金曜日掲載)=

メモ
泉屋博古館 京都市左京区鹿ヶ谷下宮ノ前町24。電話075(771)6411。https://www.sen-oku.or.jp/kyoto
バスなら、京都駅前から市バス100系統に30分乗車、「宮ノ前町」下車すぐ。お勧めは、地下鉄東西線「蹴上」駅下車、1番出口より北へ徒歩20分。会期は12月6日(日)まで。「二条城行幸図屏風」の展示期間は、11月17日(火)〜12月6日(日)まで。

 

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