西山厚先生著『仏像に会う~53の仏像の写真と物語』
元奈良国立博物館学芸部長で、現在、帝塚山大学客員教授、半蔵門ミュージアム館長の西山厚先生がこの10月、『仏像に会う~53の仏像の写真と物語』という本を発刊されました。ウエッジ発行。2200円+税。
まえがきに
「縁あって、仏像の本をつくることになったので、仏像史の本ではなくて、私が出会った好きな仏像、大切に思う仏像に関する、歴史エッセイ的な文章+α(学術性)でつくってみようと考えた」
「重要なのは写真だ。気に入った写真しか使いたくない、その仏像のよさが一番でている(と私が思う)写真を使いたい」
と書かれています。
たしかにどの仏像の写真もとても素晴らしい写真です。カメラの角度や高さなども大切ということです。
目次
はじめに
〇飛鳥・白鳳時代 6点
興福寺の仏頭
薬師寺の薬師三尊像、
聖観音立像など。
〇奈良時代 13点
興福寺 八部衆
東大寺 盧舎那仏座像
唐招提寺の鑑真和上像、
聖林寺の十一面観音立像
(画像をクリックすると拡大します)西山先生は聖林寺の十一面観音立像の収蔵庫の改修のお世話をされています。
大安寺 楊柳観音立像
2003年(アメリカによるイラク空爆があった頃)のニューヨークの特別展には大安寺の河野良文さんのメッセージが日本語と英語で記されていた。
「この仏像の忿怒の表情は、大義がいかなるものであれ、愚かしい戦争を怒るものである。その悲劇を憤り、嘆くものである。仏の怒りと悲しみをあえてお伝えするべく、開陳を認めた。大安寺住職 河野良文」
〇平安時代 17点
法華寺の十一面観音立像 後ろ姿の写真は初めて拝観しました。
勝常寺(福島)の薬師如来坐像
清涼寺の釈迦如来立像
平等院の阿弥陀如来坐像
浄瑠璃寺の阿弥陀如来坐像
〇鎌倉時代 17点
円成寺の大日如来坐像
浄土寺の阿弥陀三尊立像
伝香寺の地蔵菩薩立像
福智院の地蔵像菩薩坐像
五劫院の五劫思惟阿弥陀如来坐像
など合計53点の仏像を丁寧に解説されています。
仏像の種類
おわりに
4年前から出版の話があったが、多用の中のびのびになっていた。コロナ禍で講演会など中止や延期となり、その分、家にいる時間が増えて、この本の執筆に力を注いだといったことも書かれています。
何度も拝見している仏像も西山先生の解説を読むと、仏様を浅く見がちなことがよくわかり、なるほど、と新しい知見を得ることができました。
この本はとても読みやすく書かれています。一気に読み終えてしまいました。何度も読みかえしたい本だと思います。
封筒には達筆な字でサインを書かれています。西山先生ありがとうございました。
西山先生にはこの二十年あまり、講演会や勉強会でお話を伺うだけでなく、細い路地にあったダイニングバーの「樹樹」でよくご一緒になりました。樹樹が閉店したら、みなどこで飲むのだろうかと西山先生もいっておられましたが、最近はご一緒できていません。またどこかでご一緒したいものです。
もう3年になるのですね、「樹樹、最終日」の鹿鳴人のつぶやきに西山先生のことも書いていました。→☆
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