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2020年9月13日 (日)

美ビット見て歩き*87

毎月楽しみにしている奈良新聞の川嶌一穂さんの九月の美ビット見て歩きは、京都市京セラ美術館です。今回大幅なリニューアルを終えてコロナ禍を越えて、美術館は公開されたそうです。相当大規模に改修されたようです。平安神宮あたりはよく行きますが、わたしもコロナ禍の今年になってから、京都へ出かけていません。一度出かけたいものだと思います。

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 美ビット見て歩き 私の美術ノート *87 川嶌一穂

 

京都市京セラ美術館開館記念展「杉本博司 瑠璃の浄土」。「コレクションルーム 夏期」。

 

写真 リニューアルなった館の入り口を南側から望む。左は平安神宮の大鳥居。(著者撮影)

 

 来月で8年になる本欄で、京都市美術館は今まで紹介の機会がなかった。振り返れば、昭和39(1964)年の「ミロのヴィーナス特別公開」、昭和40年の「ツタンカーメン展」には家族と、その翌年だったか、「ロダン展」には一人で出かけた。まだ地下鉄もなかったので、奈良から京都市美は遠かった。
 今回大幅なリニューアルを終え、いよいよ公開というときにコロナウイルス禍が襲った。館は様々な変更を余儀なくされるも無事開館に漕ぎ着け、私もトンボ返りだったが春以来はじめて箱根の山を越えた。
 昭和3(1928)年、京都御所で行われた昭和天皇即位の礼を記念して開館した「大礼記念京都美術館」が前身で、そのためか、建築はきわめて荘重。不思議なことにその建物は、前衛的な現代美術の展示をも悠々と受け入れてぴたりと収めていた。はたしてこの建築がどのようにリニューアルされたのか、とても楽しみだった。
 写真は、平安神宮大鳥居の手前から北を向いて入り口を撮ったもの。館の西側を広く緩やかなスロープにして、1階分を掘り下げて作った、地下1階にあたる入り口に誘導する。写真の右から3分の1あたりの地面に小さな三角形の影が見えるが、そこが入り口である。
 新しく出来た地下1階に、入場券売り場、カフェ、ミュージアムショップがあり、大きな階段を上って地上1階の展示室へと進む。地下の活用ということでは、ルーブル美術館中庭のピラミッドが有名だが、今回はそれよりずっと合理的で美しい再生だと思う。さらに東側を開けて、「布団着て寝たる姿」の東山を借景にした庭園を眺められるようになったのは素晴らしい。気が晴々とした。
 新設されたコレクションルームで、館のコレクションの中から四季に合わせて作品が展示される予定で、今は「夏期」展が開かれている。
近代の日本画では美術院系の東京の日本画よりも、大和絵の伝統を継ぐ色彩豊かな京都の日本画に心惹かれることが最近は多くなった。時代で言うと大正期から昭和10年代半ば頃の、伸び伸びとしてしかも凛とした女性を描いた作品が好きだ。「夏期」展にも、勝田哲、秋野不矩、三谷十糸子、堂本印象らの優品が並んだ。
 同時に開館記念展として、北東部に突き出した新館「東山キューブ」で、「杉本博司 瑠璃の浄土」が開かれている。作品以外に杉本のコレクションが数点展示されているが、その中に「法勝寺瓦」(平安時代)があった。法勝寺は11世紀、まさに美術館のある地・岡崎に白河天皇が造営し、応仁の乱以後廃絶した巨大寺院である。東寺の五重塔よりはるかに高い八角九重塔が、市美に隣接する動物園のいま観覧車のある地点に聳え立っていたという。
 今回、京セラが市と50年間の命名権契約を結んで、館は通称「京都市京セラ美術館」となったが、命名権と言えば思い出すエピソードがある。6年前、鎌倉市が海水浴場として親しまれていた由比ガ浜、材木座、腰越の3海岸の命名権を売り出した際、「鳩サブレー」で有名な豊島屋がそれを購入したが、自社の名前を入れずに結局もとの海岸名のままとした。「粋だねぇ」という声が多かった。
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かわしま・かずほ
元大阪芸術大学短期大学部教授。

 

=次回は10月9日付(第2金曜日掲載)=

 

メモ
 京都市京セラ美術館 京都市左京区岡崎円勝寺町124。京都市営地下鉄東西線「東山駅」より白川沿いに北へ徒歩8分。電話075(771)4334。https://kyotocity-kyocera.museum 「コレクションルーム夏期」は、9月22日(火・祝)まで。「杉本博司 瑠璃の浄土」は、10月4日(日)まで。月曜日休館(祝日の場合は開館)。ウェブか電話(075−761−0239)による事前予約・定員制。HPの一番下にあるYouTubeのアイコンをクリックすると、リニューアル工事中の映像が見られる。

 

京都市京セラ美術館のHPです→https://kyotocity-kyocera.museum/

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