上野誠 著 『万葉集講義 最古の歌集の素顔』
つい最近、上野誠先生は『万葉学者、墓をしまい母を送る』を発刊され、第68回日本エッセイスト・クラブ賞を受賞されたばかりと思っていたら、
この9月、奈良大学の万葉学者 上野誠著の『万葉集講義 最古の歌集の素顔』という本が出版されたことを啓林堂書店のメール情報で知りましたので早速買い求めて読みました。
中公新書 本体880円+税。
奥付には2020年9月25日発行とあります。
目次は
はじめに
第1章 東アジアの漢字文化圏の文学
第2章 宮廷の文学
第3章 律令官人の文学
第4章 京と地方をつなぐ文学
第5章 『万葉集』のかたちと成り立ち
第6章 『万葉集』の本質は何か
終章 偉大なる文化遺産のゆくえ
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万葉集講義とあるように、それぞれの章の最初に、前の章のまとめが書かれ、前回の復習を前置きに次の章を進めておられますので、連続した万葉集講義を聴いているような気持ちになりました。
第1章はタイトルからして、少し難しかったのですが、第2章以降はわりあい読みやすい講義です。
よく上野先生が言われるように、「難しいことを わかりやすく。 わかりやすいことを 楽しく。楽しいことを 深く」
上野誠先生、奈良市観光協会のページより拝借。
終章では、つぎのように書かれています。
日本の歌の二つの源流
「一つの淵源は、日本語の歌である。私たちが未来永劫に知り得ない、五世紀以前の人びとが、口から耳、耳から口へ歌い継いでいた日本語の歌々である。」
「もう一つの源は、中国の『文選(もんぜん)』という書物である。『文選』は昭明太子(501~531)の撰による詩文集」である。」
「『文選』なくして『万葉集』なし」
「今、私が、本書を世に問う理由は次の一言に尽きる。
それは『万葉集』そのものが、東アジア漢字文化圏の同調重圧のなかで、もがき苦しんだ先祖の文学であったということを、少しでも多くの人びとに知ってほしかったからである。」
ホームページ「上野誠の万葉エッセイ」→ http://www.manyou.jp/
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