正倉院宝物、再現模造にみる天平の技展へ
奈良国立博物館では、開催がコロナ禍のため遅れていましたが、「正倉院宝物、再現宝物に見る天平の技」の特別展が始まりましたので行ってきました。9月6日まで。
正倉院宝物とは、奈良・東大寺の倉であった正倉院正倉に伝えられた約9000件におよぶ宝物です。聖武天皇ゆかりの品をはじめ、その多くが奈良時代の作で、調度品、楽器、遊戯具、武器・武具、文房具、仏具、文書、染織品など、多彩な内容をもちます。中には、西域や唐からもたらされた、国際色豊かな品々も含まれます。
正倉院宝物の本格的な模造製作は、明治時代に奈良で開催された博覧会を機に始まりました。当初、模造製作は修理と一体の事業として取り組まれ、昭和47年(1972)からは、宝物の材料や技法、構造の忠実な再現に重点をおいた模造製作がおこなわれるようになります。以来、人間国宝ら伝統技術保持者の熟練の技と、最新の調査・研究成果との融合により、芸術性・学術性の高い優れた作品が数多く生み出されてきました。
本展は、これまでに製作された数百点におよぶ正倉院宝物の再現模造作品の中から、選りすぐりの逸品を一堂に公開するものです。再現された天平の美と技に触れていただくとともに、日本の伝統技術を継承することの意義も感じていただけますと幸いです。
今まで単に模造と言われて違和感がありましたが、「再現模造」という新しい言葉で表現されるようになり、美術品として表現されていると思います。
今まで正倉院展で実物を見たことがある宝物が明治から平成までの間の人間国宝や素晴らしい技術をもった方によって、再現されています。
第一章 楽器・伎楽
第二章、仏具・箱と几・儀式具
第三章、染織
第四章、鏡・調度・装身具
第五章、刀・武具
第六章、筆墨
に分けられ128点が展示されていました。
螺鈿紫檀五絃琵琶など再現工程がくわしく映像でも見ることが出来ました。存じている奈良の坂本曲齋(三代)さん、北村昭斎さんらの手によるものです。
筆で書かれた巻物などが便利堂によりコロタイプ印刷で再現されている様子がビデオでも放映されていました。コロタイプ印刷はなかなか素晴らしいということがよくわかりました。
上皇、上皇后による、染織への貢献も紹介されていました。蚕や染める植物など。
刀の作る工程、漆の工程なども紹介されていて、とても手の込んだものあることがわかりました。
ラスター彩で有名な陶芸家、加藤卓男さんの陶器の再現。
明治の名匠の森川杜園、吉田包春らの再現模造も素晴らしいものでした。
明治時代の奈良博覧会社の刀子など・・・・。
また、手描きでかつての絵の再現も素晴らしい技術であり根気がいるものだと思いました。
正倉院の建物の組みあげられる工程もビデオで上映されていました。
平日の午後でしたが、コロナ対策もきちんされていて、見る人のほど良い人数でした。
特別展のHPです→https://www.narahaku.go.jp/exhibition/2020toku/homotsu/homotsu_index.html
同じチケットでなら仏像館も見ることが出来ました。
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