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2020年7月12日 (日)

美ビット見て歩き*85

毎月、奈良新聞で楽しみにしている川嶌一穂さんの美ビット見て歩きは、東京国立博物館の特別展「きもの KIMONO」5ヶ月ぶりの感動というタイトルです。2月以来久しぶりの展覧会は事前予約制などいろいろコロナへの対策をこらしつつ、再開されたとのことです。

奈良県立美術館からも展示品の出品があったとのこと。奈良県立美術館でも7月25日から9月22日まで、「みやびの色と意匠ー公家服飾から見る日本美」という特別展が行われます。

 

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美ビット見て歩き 私の美術ノート *85 川嶌一穂

 

東京国立博物館特別展「きもの KIMONO」

 

写真 重要文化財「小袖 黒綸子地波鴛鴦模様(くろりんずじなみおしどりもよう)」江戸時代・17世紀 東京国立博物館蔵(特別展「着物 KIMONO」提供)

 

 今年2月、日本橋高島屋の「=風=小品展」に行ったのが最後だった。その翌週、東博の、日本書紀成立1300年特別展「出雲と大和」に行く友人との約束を、怖がりの私から言って取りやめた。それも政府の要請で2月26日に予定より早く閉幕し、見る機会を失ってしまった。
 安倍首相が移動自粛の全面的解除を発表した6月18日以降、美術館再開の情報を探した。すると、4月から6月にかけて開催の予定だった東博の特別展「きもの」が、6月30日からに変わっている。行きたい!
事前に名前、住所、電話番号を記入して、入場の日と時間を指定した「日時指定券」を、スマホやインターネットで予約しておく。クラスターが発生した場合に必要なのだろう。
 マスクの着用が求められ、体温チェックのカメラの前を通って入り、会場入り口で手のアルコール消毒をする。スタッフも全員マスク着用。それでも5か月ぶりの実物を見る美術展は、素直に嬉しかった。
 本展は、後白河法皇が鎌倉の鶴岡八幡宮に奉納したと伝えられる表着(うわぎ)で幕が開く。鳳凰模様の色彩もよく残っている。これだけ高温多湿のわが国で、800年も守り継がれてきた貴重な神服だ。
 その400年ほど後の桃山・慶長期の小袖は、色が多彩に、デザインは大胆に、技法も洗練されて、一気に会場が華やかになる。屏風の中で、庶民が飛びきりお洒落な着物を着ている。長く続いた戦乱の戦費がすべて衣装代に代わったかのような着道楽ぶりだ。
 写真は、17世紀後半の寛文(かんぶん)年間に流行した、動きのある模様が特徴の寛文小袖。黒地に、刺繍のオシドリや絞りの大波、豪華な金糸の波頭がとても斬新で、かつ下品ではない。
 展示はその後も時代に沿ったデザインの変遷を丁寧に追って、驚くような今風のキモノに引き継がれる。奈良県立美術館からも素晴らしい帯と着物が出ていた。
 海外の浮世絵の里帰り展に行くと、初刷りに近い作品が並んでいて、何故こんな素晴らしいものを手放してしまったのかとため息が出る。幕末から明治初期と、敗戦後の二度にわたる大変革期を経験したとは言え、結局は当たり前すぎて日本人がその価値に気づいていなかったのだ。
 東大のキャンベル先生が買い始めてから高値になったと言われる江戸の木版絵入り本や、昭和の着物で同じことが起きていないだろうか?たいてい「もう職人さんもいないので、今はこんないいものは作れません」とアンティーク着物の店の人は言う。
昭和の女子なら覚えている、着物を着るときの特別な心の華やぎ。もっと着物を着て、何とか若い人に繋げて行きたい。着物は、芭蕉の句をもじって言えば「さまざまのこと思い出す着物かな」なのである。
 何年も前からこれだけの作品を展示する準備をし、会期と観覧の手順の変更のためにどれだけの努力をされたか計り知れない。感謝します。

 

=次回は8月14日付(第2金曜日掲載)=
・ ・・・・・・・・・・・・・・・
かわしま・かずほ
元大阪芸術大学短期大学部教授。

 

メモ
 東京国立博物館平成館 東京都台東区上野公園13−9。JR上野駅公園口より徒歩10分。電話03(5777)8600。展覧会公式サイトhttps://kimonoten2020.exhibit.jp/ 会期は、6月30日(火)〜8月23日(日)。展示替えあり。月曜日休館(8月10日開館、11日閉館)。事前予約制(日時指定券のオンライン予約が必要)。

 

 

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