上野誠先生『萬葉学者、墓をしまい母を送る』
コロナウィルスによる外出自粛の時期、こういう時期は、読書が一番です。
奈良大学教授で萬葉学者の上野誠先生の最新作です。
はじめに。
死の手触り 祖父の死
墓じまい前後 こげな立派な墓はなかばい
死にたまふ母 福岡から奈良への引っ越し大作戦
われもまた逝く 大伴旅人 万葉集「生ける者 遂にも死ぬる ものにあれば この世にある間は 楽しくをあらな」
おわりに
あとがき
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一気に一晩で読み終えました。率直な打ち明けた文でよくわかりました。
江戸時代からの旧家。おじいさんが家とも見まがう立派なお墓を建てられたこと、
一方呉服から洋装店への転換、船場の仕入れを近県を取りまとめた大きな卸小売のご商売、スーパーなどの大型店の影響で小売一店舗への集中、おばあさんの死去に続くお父さんの死去。墓じまい。お母さんは福岡を代表する俳人であったこと
お母さんと上野先生の会話。海援隊の武田鉄矢の母子の会話を思い出す博多弁の率直な会話でした。
長男であるお兄さんの死去。お母さんを奈良へ引き取り七年間にわたる介護と別れ。
古事記、万葉集やいろいろな書物、儒教や西欧のことなどを紹介され、生きることと死ぬことを哲学されているように受け止めました。
本は啓林堂書店の奈良店にありました。講談社発行。1400円+税
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