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2020年4月19日 (日)

猪股静彌先生の第五歌集『玄』

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10年ほど前まで、毎日新聞やまと歌壇の選者をされていた猪股静彌先生の第五歌集『玄』です。ずいぶん前に買い求めていたのですが、このほど片付けをしていたら出てきました。外出自粛の時期、早速読みました。

後記によれば

1997年福山市から子規、一遍上人の生国、伊予に渡った旅の歌から、2001年百年祭を迎えた根岸の子規庵をたずねたおよそ2年間の詠われた歌1000首から選ばれた歌です。

歌集の中に2つの長歌。一つは沖縄の佐喜間美術館の丸木位里、俊夫妻の「沖縄戦図」を前にした感慨を詠った歌です。

そしてオーストラリアのカウラ市にある日本兵捕虜収容所跡で詠われた長歌です。

学徒兵として軍服を着、敗戦後長らえてその日まで堅持されてきた志が詠まれています。

各地の旅の歌や日常詠の連作が12の小題で編集されています。

とのことです。

日月茫茫

西国遊行 

大和路往還

北の旅

遠遊沖縄

遠遊オーストラリア

東国遊行

豊州遊行

雑事雑詠

信州遊行

大和路遠近

四季おりおりに

(遊ぶはサンズイの旧い字です)

 

詠まれた短歌です

 

・自然壕の奥くら闇に一つ蝋ともし乳ふくまする若い母あはれ   沖縄にて

・捕虜の身を恥ぢて偽名の兵の墓に捧ぐる遠くきたりて      オーストラリアにて

・のびやかに眉ひく下の目なぶたをややに見開き人間を見る    臼杵大仏

・平家谷と呼びて過ぎにし幾世代神社には赤い注連めぐらして

・つはぶきの咲きそふ小路語りつつ朝立ちいづる若草山さして

・音爆ぜて万の火の粉の散りゆきて闇の夜空は永久のオリオン   二月堂

・昭和十八年入会したるアララギの心とこよりをひねる暁闇

・まなこ開き何も見えねば永劫の世のくら闇の色かこの色

・石楠花のふくらむつぼみ見えながら金堂さしてのぼる石段

・この山に竜在峠見放けたるみ心をしのぶ佐紀終刊の秋

・空に鳴る風にくづほれ思へればすでに逝きにしよき友よき師よ

・「大仏の足もと寝る夜寒かな」奈良の子規の句ここに口ずさむ

 

あらためて素晴らしいお歌だと思います。

猪股静彌先生

1924年(大正13年)8月12日、大分県香々地町に生まれる。18歳の頃にアララギに入会し、土屋文明に師事する。1951年(昭和26年)に法政大学文学部国文学科を卒業し、奈良市立一条高校に勤務する。その後、愛知女子短期大学講師を経て、帝塚山短期大学教授に就任し、退職後、名誉教授となる。2009年(平成21年)9月8日に死去、85歳

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