フォト
無料ブログはココログ

« 大福稲荷 初午祭 | トップページ | 盆梅展2つ »

2020年2月10日 (月)

「商工とやま」に掲載いただきました

2019年10月に富山県の商店街振興会にお招きいただき、90分間お話をさせていただきました。このほど、「商工とやま」2・3月にうまく要約して掲載いただきました。アップします。
大変お世話になり、ありがとうございました。

Img807

Img808

 

Img809

Img811  

 

<誌上講演会「まちづくりセミナー」

 

ピンチはチャンス!!
  ~奈良もちいどのセンター街・夢CUBEの実践~

 

奈良もちいどのセンター街 理事長 松森 重博氏

 

■もちいどのセンター街の概要

 

 「もちいどの」という名前は漢字で「餅飯殿」と書きます。全長約250mの商店街で、近鉄奈良駅から歩いて約5分。近くには奈良公園や世界遺産の興福寺、東大寺、春日大社などがあります。このような立地ですが、かつては観光客よりも地元の方を相手にし
た商店街でした。

 

 昔は大型スーパーや百貨店がなかったので、この商店街が買い回り品を買う場所として非常に繁盛しており、1970年代は過多ではないかというぐらい装飾が賑やかでした。しかし、商店街の近くにあった奈良市役所が1977年に新大宮に引っ越すと、徐々に商店街を歩く人が減っていき、商工会議所が行っている通行量調査では30年間で50%も減少しました。80店舗あったうち10店舗以上が閉店し、このままだとシャッター商店街になるのではないかと商店街の皆さんが心配しました。

 

 2004年に商店街の中のパチンコ店が倒産しました。ここは金属加工の本業が不振で、1億円で競売に出ていたところでした。買い手がつかないうちにだんだん価格が下がり、2656万円になり、裁判所から、申し出があればその中で抽選することという公示が出ました。それを私が新聞で見つけて、商店街の皆さんと、ここを購入してまちを活性化しようという話になりました。すぐに理事会、その翌週には総会を開き、全体議論もした結果、商店街の9割以上が賛成してくれました。

 

 

■新工法の夢CUBE

 

 いろいろ研究して起業家の施設にし普通の建物ではなく、直方体のコンテナのようなものを10個並べた建物にして、「夢CUBE」と名付けました。建築確認はきちんと取ってあり県の表彰も受けました。完成してから12年半たちますが、テナントが出ていくたびにメンテナンスしているので、あと10年は持つだろうと期待しています。

 

 建築費は約4600万円。近畿経済産業局の大阪事務所に何度か出向いて補助金をお願いし、国から2300万円、奈良市から1100万円出してもらい、残りの1150万円を商店街が出し、2007年に完成しました。工事に着手する前には、起業家の施設にはどんなものがあるか、あちこちの商店街や富山市にも視察に行きました。

 

 起業家は本当に来てくれるだろうかと心配でしたが、新聞が記事を載せてくれて40件もの応募がありました。中小企業診断士に入っていただき、その中から10件を選びました。

 

 夢CUBEができたことで、商店街で廃業して空き店舗を持っていた方々がそれを人に貸すようになり、新しいお店がたくさん出店するようになりました。人にテナントとして貸すことに元は消極的だった方々も、夢CUBEに若い人が入ったのを見て気持を変えてくれたのです。

 

 もちいどのセンター街は、経済産業省の「新・がんばる商店街77選」に選ばれました。それが国の冊子に載ったことで、視察に来る方が増えました。

 

 夢CUBEのオープニングセレモニーを行った広場前のスーパーマーケットは長年閉店したままでしたが、夢CUBEをオープンした翌年、奈良市中心市街地活性化基本計画の実践例の一つとして、フレッシュマート・オーケストというスーパーマーケットがオープンしました。生鮮の食料品店が入ったことで、毎日の食材の買い出しに来るお客さんが増えました。

 

 夢CUBEにはクッキー屋や雑貨店、作家のクラフト商品を扱う店などが入りました。一店わずか3~4坪なので、殆どの皆さんが1人で切り盛りしています。現在の卒業生は
41人ですが、男女比は女性の方が多いです。30代ぐらいで、今までも何か作っていてそれを店としてやりたいという方々です。夢CUBEを出たあと、近隣の商店街に店を構える人も多いです。利用期限の3年が経つ前でも、良い物件を見つければどんどん独立されていきます。

 

■その他の取り組み

 

 もう一つの起業家支援施設として、奈良市の建物に「きらっ都・奈良」という施設をオープンしました。つい最近までは私達で運営していましたが、今度の改装を機に若い人に担ってもらうことになりました。

 

 起業家からすると、夢CUBEから独立するために適当な店舗が見つからないまま期限の3年がたったらどうしようという心配があります。夢CUBEの斜め向かいにあった約120坪の空き地の持ち主が商店街の方で、夢CUBEの卒業生が独立したときに利用できるようにと、そこに夢長屋をオープンしてくれました。4~5坪あって家賃も夢CUBEより少し高いですが、ここは3年で出ていく制約はありません。

 

 初めは80店舗中10店舗以上が空き店舗だった商店街が、夢CUBEができ、さらにスーパーや「きらっ都・奈良」、夢長屋ができたことで、今や百店舗以上になっています。しかもここにしかないユニークな店がいくつもあります。

 

 2017年に夢CUBEは10周年を迎えました。41人の卒業生が生まれ、多くの人が独立しました。3年間やってみて、自宅やインターネットでやる方を選んだ人やサラリーマンに戻った人もいます。3年間というのは、独立するかしないかの結論が割と出やすいようです。

 

■商店街の賑わい

 

 近くの神社のお祭りに合わせるなどして、商店街では年間を通していくつものイベントを行っています。また、奈良国立博物館で毎年行われる正倉院展に訪れる多くの方々にもっとまちを歩いてもらおうと、奈良の八つの商店街でスタンプラリーを実施しており、今年で14回目になります。奈良の商店街、ひいては奈良のまちは面白いと思ってもらえるイベントです。

 

 さらに、私達の商店街をはじめ、中心市街地の商店街、その周辺の飲食店で、まちなかバルというイベントも行っています。

 

■もいちど夜市

 

 観光地にある商店街なのに7時~8時には多くの店が閉まってしまいます。観光関係の方や旅館の方の希望を受け、昨年、「第1回もいちど夜市」を開催しました。閉まった店の前に、商店街以外の方に夜店を出してもらう催しです。お客さんがよく「もちいどの」を「もう一度」のニュアンスで言われるので、それを逆手にとって「もいちど」と名付けました。5000人のお客さんが来て、NHKの全国ニュースにもなりました。今年はさらに7000人に増え、近くに泊まっている外国人もたくさん訪れて非常に賑やかでした。観光客に向けたイベントでしたが、地元の人もたくさん来ましたし、マスコミも取材に来ました。

 

 今年4月には隣の小西さくら通り商店街でも同日開催して、2日間で両商店街に合わせると2万3000人が訪れました。他の商店街からも参加したいという声が出ているので、奈良市全体に広がるイベントになるのではないかと期待しています。

 

 このような取り組みは地価に反映して、2018年は餅飯殿町の地価が10%アップしました。地価上昇率は4年連続県内トップで、地価上昇率が2桁となるのはバブル以来だと新聞に書かれました。地価が上がると賃貸料も上がるはずですが、それでも物件があったら借りたいという人が多いです。

 

 

■夢CUBEの効果

 

 最近の夢CUBEは6倍ぐらいの競争率です。「次はいつ空きますか」という問い合わせも事務所によく来るそうです。夢CUBE以外の似た施設を紹介しても、「ここが空くのを待つ」と言われるそうです。

 

 このような起業家支援の取り組みをすると、若い人が商店街に入ってきてくれます。私達の商店街の100店舗のうち10店舗ぐらいは夢CUBEを卒業した方が出した店です。夏のイベントや夜市、年末売り出しなどでも彼らは積極的にアイデアを出してくれます。

 

 私達はもちいどの商店街だけが良くなればいいとは思っていません。ずっと昔は商店街同士で張り合うこともありましたが、今は、他の商店街と協力しなければまち全体が落ち目になるという考えから、営業が終わったあとなどに商店街を超えた親睦を重ねています。だからこそ、正倉院展のときも、奈良の八つの商店街でスタンプラリーのイベントができるわけです。地域が良くなるためには、商店街を越えた活動が大事ではないかと思います。

 

 

■おわりに

 

 下り坂になっているところから上がっていくときが一番エネルギーが要ります。ピンチのときこそ力を合わせなければいけません。パチンコ店がなくなったとき、商店街が暗くなってお客さんが来なくなるのではないかという危機感を商店街のみんなが持ち、それがバネになりました。パチンコ店舗を買うときも、誰か一人ではなくみんなで買おうという雰囲気がありました。施設を造ったり空き店舗を利用するときに、アイデアを出すのはただです。みんなでアイデアを出し、話し合うことが大事だと思います。

 

 まず賑わいを起こし、この商店街は何だか面白いということをアピールすれば、市民が注目してくれますし、マスコミも応援してくれます。行政もお金は出さなくても協力してくれます。アイデアを出して、やれることからやっていくことが大切です。他の商店街でもお金がなくて苦労しているところは多いですが、お金がなければ知恵を絞らなければ仕方がありません。

 

 冒頭に買い回り品の話をしましたが、買い回り品というのは、時代の変化とともにどうしても購買頻度が下がっていきます。一方、私達の商店街では、例えば30坪の店を半分に割って15坪ずつ貸すなどしています。そうすることで店舗の数を増やし、それぞれが個性的な商品を売ります。あちこちに売っているものよりも、そこにしかないものの方が、時代の変化には強いものです。

 

 夢CUBEで地下足袋を販売した人がいます。そんなものが商売になるのかと思っていましたが、カラフルな地下足袋や子ども用の地下足袋などが評判になり、奈良で独立して今は神奈川県の鎌倉にも展開しています。また、夏の食べものとばかり思っていたかき氷を年中出す店を出した人は洋装店を半分借りて独立しました。テレビにもよく出ています。SNSで話題になり、外国の方もたくさん訪れるようです。

 

 新しい商売を始める人たちが来ると、商店街に非常に変わったものがあふれます。既成概念で「そんなものが売れるのか」と首をかしげるような品物やサービスが、しっかりと商売になっています。夢CUBEを始めたことで、新しいアイデアを持った若い人たちが集まり、さまざまな商売をしてくれています。

 

 今日の話が皆さんの所でそのまま参考になるわけではないと思いますが、ピンチをチャンスと思ってそれぞれの商店街で頑張っていただけたらと思います。

 

※本稿は令和元年10月16日に富山県商店街振興組合連合会が主催したまちづくりセミナー(於/富山国際会議場)の講演内容を要約したものです。

 

http://www.ccis-toyama.or.jp/toyama/magazine/index.html

« 大福稲荷 初午祭 | トップページ | 盆梅展2つ »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« 大福稲荷 初午祭 | トップページ | 盆梅展2つ »

2020年3月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31