フォト
無料ブログはココログ

« 15日いよいよ今日からおんまつりです | トップページ | 15日、春日若宮おん祭の大宿所祭に参列しました »

2019年12月16日 (月)

美ビット見て歩き*80

毎月楽しみにしている川嶌一穂さんの美ビット見て歩きは80回を迎えられました。今回はすぐ近くの杉岡華邨書道美術館の「成田山書道美術館コレクション―明治150年の書道」展です。もちいどの通りを南へさらに5分あるくと杉岡華邨書道美術館があります。

病床の正岡子規が板に貼り付けた紙に書いたという書もあったそうです。その分の会期は終わりになったとのこと、見逃し残念でした。

と思っていたところ、川嶌一穂さんからコメントいただきました。

 

松森先輩
いつも奈良新聞の連載「美ビット見て歩きー私の美術ノート」を載せて下さって有難うございます。
今回写真に揚げた正岡子規の「五月雨五句」は、杉岡華邨書道美術館で、令和2年2月9日まで展示されています。
今期は他に、田中親美(しんび)の「平家納経」法華経見宝塔品(けんほうとうほん)複製本、會津八一「ちかつきて あふきみれとも みほとけの みそなはすとも あらぬさひしさ」、若山牧水の「いまをかも 露のおくらむ 夜あかりに 長くたれたる 黍の葉の見ゆ」など楽しみな作品がいっぱいです。
ナナマルカードがあれば、入館料無料です。奈良町には、新しいカフェも沢山できているので、何度も出たり入ったりして、1日楽しめると思います。ぜひお出かけ下さい!

 

明治の教育の素晴らしさ、書道に関する産業があり、古代からの書作品も多い奈良市に書道美術館が存在する意義が大きいと結ばれています。なるほどと私も思います。

Img732

Img733

 

美ビット見て歩き 私の美術ノート *80 川嶌一穂

 

奈良市杉岡華邨書道美術館 「成田山書道美術館コレクションー明治150年の書道」展

 

写真 正岡子規『五月雨五句』明治34年。成田山書道美術館蔵。

 

千葉県の成田山新勝寺は歌舞伎の名門成田屋の信仰が厚い。来年の海老蔵による「十三代目市川團十郎」襲名披露公演の折にも、きっとお練りがあるだろう。その成田山に書道美術館があり、コレクションも素晴らしいと聞いていたが、これまで訪れる機会がなかった。
ところが先月奈良に帰省した時、奈良町の杉岡華邨書道美術館で、そのコレクションを3期に分けて展示していると知って、いそいそと出掛けた。
わたしが拝見したのは第I期<明治>の書で、意外と俗臭がなく、堂々たる気概を感じる政治家の書が印象的だった。
現在公開中の第II期は、正岡子規、夏目漱石、河東碧梧桐、与謝野晶子ら文学者や、中村不折、熊谷守一、岸田劉生ら画家の書が多く、楽しみだ。
写真は、正岡子規書くところの「五月雨五句」。目録に、明治34年(1901)7月に詠まれたとあるので、寝たきり生活も二年になる頃の俳句である。
明治32年の年末に、俳人高浜虚子が病室の障子戸を当時まだ贅沢品だったガラス戸に換えるという大きな贈り物をした。寝たまま外の景色が見えるようになった子規は、「朝な夕なガラスの窓によこたはる上野の森は見れど飽かぬかも」と詠んで喜びを表現した。
それから一年経って、子規の病はいよいよ進み、写真の「五月雨や上野の山も見あきたり」の句になる。痛ましいとしか言いようがない。
翌年9月の有名な辞世の句、「糸瓜咲て痰のつまりし仏かな」はじめ3句は、板に紙を貼り付けて仰向けで書いたことが俳人河東碧梧桐の残した文章に詳しい。が、既にこの五月雨五句も同じようにして書かれたものだという。
しかしここにはそんな病の苦痛は見えない。古筆を習った上で、近代的にすっきりとまとめた書だ。「五月雨」という字句を五句それぞれに変化させた工夫も面白い。
さほど広くない会場は、一人一作を淡々と並べてあるだけだが、釈文(しゃくもん・読み易い文字に書き直したもの)が充実しているので有難い。じっと睨んでいると、たまに釈文を見ずに読めたりして、全く見飽きない。
帰りに突然、半世紀以上も前のことを思い出した。古文書と格闘していた亡父が、どうしても読めない字があるので、思い余って東大寺の堀池春峰先生宅を訪ねた。先生も判らず、二人でうーんと唸っているところへ、おばあちゃん(先生の母上)がお茶を持って入って来て、さっとその字を読まれた。偉大な学者に偉大な母あり!
そう言えば、実科女学校しか出ていない私の祖母も実にいい字を書いた。明治の教育は大したものだった。
書に関する産業があり、古代からの書作品も多い奈良市に書道美術館が存在する意義は大きい。

 

=次回は令和2年2月14日付(第2金曜日掲載)=
・ ・・・・・・・・・・・・・・・
かわしま・かずほ
元大阪芸術大学短期大学部教授。

 

メモ 奈良市杉岡華邨書道美術館 奈良市脇戸町3番地。近鉄奈良駅から徒歩10分。東向き通りを南へ、そのまま餅飯殿通りを突き抜けて左側。電話0742(24)4111。 II期 書壇の確立<大正・昭和前期>は、令和2年2月9日まで。III期 新生と爛熟、これから。<昭和後期・平成>は、同2月11日から4月12日まで。原則として月曜日、祝日の翌日、および12月26日から1月5日まで休館。

 

 

« 15日いよいよ今日からおんまつりです | トップページ | 15日、春日若宮おん祭の大宿所祭に参列しました »

コメント

松森先輩
いつも奈良新聞の連載「美ビット見て歩きー私の美術ノート」を載せて下さって有難うございます。
今回写真に揚げた正岡子規の「五月雨五句」は、杉岡華邨書道美術館で、令和2年2月9日まで展示されています。
今期は他に、田中親美(しんび)の「平家納経」法華経見宝塔品(けんほうとうほん)複製本、會津八一「ちかつきて あふきみれとも みほとけの みそなはすとも あらぬさひしさ」、若山牧水の「いまをかも 露のおくらむ 夜あかりに 長くたれたる 黍の葉の見ゆ」など楽しみな作品がいっぱいです。
ナナマルカードがあれば、入館料無料です。奈良町には、新しいカフェも沢山できているので、何度も出たり入ったりして、1日楽しめると思います。ぜひお出かけ下さい!

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« 15日いよいよ今日からおんまつりです | トップページ | 15日、春日若宮おん祭の大宿所祭に参列しました »

2024年2月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29