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2018年9月15日 (土)

美ビッド見て歩き *66国立民族学博物館「アーミッシュ・キルトを訪ねて

毎月楽しみにしている、川嶌一穂さんの美ビッド見て歩きは、大阪千里万博公園の国立民族学博物館の「アーミッシュ・キルトを訪ねてーーそこに暮し、そして世界に生きる人びとーー」という展覧会です。

アーミッシュというもともと16世紀、スイスやドイツでの宗教的迫害から逃れて、北米に移住したキリスト教の一派で今でもドイツ語の方言を話している、ということです。そこの人たちの暮らしぶりを伝えてくれる貴重な機会だ、ということです。

災害の頻発する日本にとって、示唆に富んだ展覧会であると。

ふと立ち止まってそういう暮らしぶり、かつて日本にもあった暮らしぶりに思いを馳せてはどうか、ということではないかと読みながら思いました。

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美ビット見て歩き 私の美術ノート *66 川嶌一穂

国立民族学博物館企画展「アーミッシュ・キルトを訪ねてーそこに暮らし、そして世界に生きる人びとー」

写真 アメリカ・ペンシルベニア州ランカスターのアーミッシュ村で買い求めたキルト(著者所蔵・撮影)

 アメリカは、つくづく面白い国だと思う。ITで世界を席捲する一方で、私たち戦後の日本人が惜し気もなく捨ててしまった信仰心とか、女の針仕事の喜びとか、村の助け合いなどを、今もって頑固に守っている「アーミッシュ」と呼ばれる宗教共同体をいくつも抱える国でもある。
 私がはじめてアーミッシュの存在を知ったのは、30年以上も前の「刑事ジョン・ブックー目撃者―」というハリソン・フォード主演の映画だった。電気も車もない村で、男は全員白いシャツに黒の釣りズボン(ベルトは「自分を飾るもの」なので禁止)、女は地味な色のワンピースを着て、髪を人に見せないように必ずゴースのキャップを被る。映画の画面にあふれる簡素な暮しの美しさに圧倒され、私は当時ずいぶんアーミッシュに憧れた。
いつかは訪れてみたいというひそかな夢が、思いがけず2004年に実現した。語学研修の学生を引率して、アメリカ東部・メリーランド州の大学に滞在した時、研修プログラムの一つにアーミッシュ村訪問があった。
 一口にアーミッシュと言っても、村によって規律が違い、それほど厳格でない村は観光客を受け入れていた。私たちの訪れた村には土産物売り場もあり、高低差のあるコースを、かなりのスピードで走る「馬車!ジェットコースター」?まであった。
近くのマクドナルドで、薄青色のワンピースを着て、キャップを被った女性が車から降りるのを見かけたが、それはメノナイトと呼ばれる、アーミッシュから派生した、規律のゆるやかなグループだということだった。
 元々アーミッシュは、16世紀のスイスやドイツでの宗教的迫害から逃れて、北米に移住したキリスト教の一派で、今でもドイツ語の方言を話している。教育は「読み書きそろばん」を中心とした独自の課程による村内の学校に限定されている。現在の総人口は約31万人で、それも増加傾向にあるという(鈴木七美「そこに暮らし、そして世界に生きる人びと」『月刊みんぱく』平成30年6月号)。
 わたし自身、今やエアコンや携帯電話、インターネットのない生活は考えられない。しかしこの便利すぎる生活が、どこか嘘くさい気がするのも確かだ。今回の展覧会は、手芸に興味のない人には向かないかもしれないが、災害の頻発する日本に、アーミッシュの暮しぶりを伝えてくれるとても貴重な機会だ。

次回は平成30年10月12日付(第2金曜日掲載)=
・ ・・・・・・・・・・・・・・・
かわしま・かずほ
元大阪芸術大学短期大学部教授。

メモ 国立民族学博物館本館企画展示場 大阪府吹田市千里万博公園10番1号。電話06(6876)2151。大阪モノレール「万博記念公園駅」より「太陽の塔」を見ながら徒歩20分(タクシーはつかまらないので、歩きやすい靴で)。会期は12月25日まで。水曜日休館。www.minpaku.ac.jp/

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