なら国際映画祭の屈指の作品、映像作家の保山耕一さんの春日大社奉納上映の「映像詩・春日大社ーー私の命と春日の神様ーーは200人を越す観客を集めて満員のなか行なわれました。一番チケットが売れた上映とのことでした。
オープニング映像がはじまりました。春日の四季をフラッシュ映像で、5分ほど、春日大社ご創建1250年をあらわされました。
司会は、なら国際映画祭の理事長である中野聖子さん。8月の燈花会の実行委員長につづいて大活躍です。最初に、保山耕一さんのスピーチ、ご自分の病気のこと、ひとりの少女との出会いについてふれられました。
いよいよ映像がはじまりました。
花山院弘匡宮司の言葉。『春日大社 千年のいのり』より。
何千年も神のおられる場所。春日大社にお参りすることはその何千年もがきょう一日にあること、というふうに受けとめました。
美しい映像でつぎつぎに・・・。流れる音楽と共に。
春日大社の神山、御蓋山(みかさやま)。
風。太陽。月。星。雲の動き。
夜明け。
飛火野。
鹿。鹿の声。
鳥や蝉の声。蝉の最期。
春日大社の朱塗りの本殿。
神職の祈り。
藤の花。万葉植物園の朝の藤の咲き誇る様子。
水谷川。
御蓋山の遥拝所。
春日の森。
万燈籠。
二の鳥居。
金属の神鹿の口からの清らかな水。
山から流れ出る清らかな山水。
桜。
若宮神社。
本殿の回廊。
長年立ちつづける大きな杉の木。
風もなく散るイチョウ。水に舞うイチョウの葉。
美しい参道。
御蓋山の四季が何度も・・・・・。
映像の合間に、保山さんのメッセージが重くあらわれます。
がんの発症、手術、術後の痛みと抗がん剤治療、テレビカメラマンとしての活動の断念。御蓋山との出会い。春日の神との出会い。奈良の365の景色の撮影。撮影している時だけがんを忘れられる。・・・・・。
しわぶきひとつない68分間。
エンディングに字が流れました。
制作に協力の方々
池口さん、すみかおりさんら5人の音楽家
制作 清水真貴、保山耕一
最後に花山院彩生(さき)さんに捧ぐ、と書かれていました。
前売り券を買った人に保山さんから特別にもらった写真です。
場内から大きな拍手がおこりました。それぞれに大きな感動に包まれておられました。涙している人もたくさんおられました。
早くチケットを購入していたので早く入場できたわたしは最前列の中央のよい席で、5メートルはあるでしょうか、大きな画面で、保山耕一さんの渾身の映像を拝見することが出来ました。
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10分間の休憩のあと、保山耕一さん、花山院弘匡宮司さん、中野聖子さんのお話がありました。
それぞれにくわしい映像のお話でした。
最後の花山院彩生(さき)さんのことが耳について離れません。
宮司さんと2週間前にお話をした保山さんが花山院宮司の中に愛娘を喪われたこととご自分のがん、生かされていること、春日の神様、それらがつながったとのことでした。
花山院宮司さんは彩生さんは3才くらいのとき小児ガンを発症し入院していろいろな治療を受けて幼稚園年長から小学校に進んだが数年後、再発した。2人部屋では同室の子供を励まし、同室の子供は退院していった。彩生さんは直らず5年前11才で亡くなった。とても出来た子で痛いともいわずがんばっていた。いま、「彩生、がんばったやろ」と娘が言っているような気がすると語られました。
わたしもお葬式に参列しましたが5年になるのですね。あらためて、人の生と死と病を思うことです。
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その後、映画を見た人たちとともに南門を開けてもらい、本殿の特別参拝そして釣燈籠に献灯させていただくことができました。春日の森の空に十三夜の上弦の月が輝いていました。
開会前に、司会の中野聖子さん、春日大社神職で奈良ローターアクトクラブの吉岡毅さんと写真を撮ってもらいました。中野さん、吉岡さん、お世話になりました。お疲れさまでした。
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