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2018年3月10日 (土)

美ビット見て歩き 私の美術ノート *60

毎月楽しみにしている川嶌一穂さんの今月の美ビット見て歩き 私の美術ノートは京都・本法寺 長谷川等伯・大涅槃図開帳です。釈迦が入滅した日は旧暦では満月とのことです。
先日聞いた東大寺修二会もかつては旧暦の2月であったので、新月の1日に始まり満行の15日は満月であったということでした。
お釈迦様の入滅の日が修二会の満行の日であったということになります。月の満ち欠けの旧暦をあらためて知ることです。

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美ビット見て歩き 私の美術ノート *60 川嶌一穂

 

京都・本法寺 長谷川等伯・大涅槃図開帳

 

写真 長谷川等伯筆「仏涅槃図」紙本着色 慶長4年(1599)=「本法寺・平成30年春季特別寺宝展」チラシより許可を得て複製

 

 旧暦2月15日はお釈迦様が涅槃に入られた、つまり亡くなった日である。奈良では2月の15日に、京都では3月の15日に涅槃会(ねはんえ)の法要が行われる寺が多い。涅槃会で懸けられる涅槃図は、だいたい共通の約束事に沿って描かれるが、細部が少しずつ違うので、比べてみるととても興味深い。ちなみに、本欄第25回(26年12月)で取上げた法隆寺五重塔初層北面の涅槃塑像群は、涅槃を題材にした作として日本最古である。

最期を悟った釈迦はクシナガラ近くの川岸に赴いて、弟子に「サーラ―の双樹の間に、頭を北に向けて床を敷いてくれ。アーナンダよ。私は疲れた。横になりたい」と言って、入滅された(中村元著『釈尊の生涯』)。その日、旧暦の2月15日は、必ず満月である。

 写真の長谷川等伯(1539-1610)の筆による本法寺(ほんぽうじ)の「仏涅槃図」(重要文化財)は、画中高く満月が上り、天まで届かんとする4対の沙羅双樹が釈迦を囲んでいる。沙羅の木の間に、跋提河(ばつだいが)という川の荒波が見え隠れしている。釈迦最後の説法が終ると、足元の沙羅の木はたちまちに枯れ、あとの4本は栄えた。

 たいていの涅槃図に描かれる、急いで天上から下りて来る摩耶夫人(まやぶにん)が、本図にはない。おそらく本図が余りにも巨大であることに因るのだろう。ぜひ実物でその大きさを味わって頂きたい。

 60歳の等伯がこの涅槃図を描いた6年前、跡取りの久蔵を26歳という若さで失った。天下が誰のものになるのか、狩野派も海北派も生き残りに必死だった時である。頼りにしていた久蔵の七回忌に際し、菩提寺の本山である本法寺にこの涅槃図を奉納したのだ。画中では、菩薩たちでさえ悲しみを隠そうとしない。まるで画家自身が、この絵の中で思い切り泣いているかのようだ。

 今回展示されている訳ではないが、等伯に「千利休像」がある。一筋縄では行かない利休の人となりを余す所なく描いた名作である。当然2人に交流があっただろうが、実際に本法寺は東側の小川通で表千家、裏千家と隣り合っている。400年間変わっていないような界隈に、目の保養にも、目の毒にもなりそうな、趣味のいい道具屋さんがあり、お茶のできる美味しい和菓子屋さんがある。

今年は寒い冬だったが、日の光はもうすっかり春だ。涅槃会が終わると、来月は花祭り。

 

=次回は平成30年4月13日付(第2金曜日掲載)=

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かわしま・かずほ

元大阪芸術大学短期大学部教授。

 

メモ 叡昌山本法寺 京都市上京区小川通寺之内上ル本法寺前町617。電話075(441)7997。京都市営地下鉄「鞍馬口」駅から徒歩15分。または京都市営バス9系統「堀川寺ノ内」バス停から徒歩3分。涅槃図開帳は3月14日(水)から4月15日(日)まで。3月14日(水)午前10時から涅槃会。

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叡昌山本法寺のHPです→ http://eishouzan.honpouji.nichiren-shu.jp/

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