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2017年8月 6日 (日)

小谷稔著 『明日香に来た歌人』

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万葉集の始まりの地といえる、奈良・明日香。万葉集にも多く歌われています。
そしてその風景は、日本の原風景ともいわれています。
明治以降多くの歌人が明日香を訪れ、歌を残しています。
そこに焦点をあてて、このたび新アララギの選者であり歌人である小谷稔先生が、『明日香に来た歌人』という本を書き表されました。
明日香に行った歌人ではなく、明日香に来た歌人というタイトルから、著者が奈良に住み、何度となく明日香を訪ねていることがよくわかります。

文芸社発行。700円+税。文庫本サイズ、292ページ。

行政区分としての明日香ではなく、現在の橿原市、桜井市、高取町の一部をも含む「明日香」を中心とされています。

明治以来の長塚節、島木赤彦、中村憲吉、斎藤茂吉、土屋文明、上村孫作、落合京太郎、柴生田稔、釈 超空、川田順、佐佐木信綱、會津八一、尾上柴舟、窪田空穂、佐藤佐太郎、小暮政次、前川佐美雄、岡野弘彦、前 登志夫、大塚布見子、宮地伸一、雁部貞夫、猪股静弥、倉林美千子、三宅奈緒子という25人の歌人の短歌と飛鳥の歴史、文化などが書かれています。

最後に明日香のご自分の歌も披露されています。


細峠の若草藉(し)きてただに向ふ山の彼方に山霞みたり     (昭和43年)

山田寺回廊跡の草生には干瓢の種二筵(むしろ)干す  (昭和63年) 

飛鳥川の水みな引きて浄御原の早苗の田原光みなぎる (平成2年) 


斉明紀の石の工事の跡見れば赤兄思ふ欺かれし有間皇子思ふ (平成12年) 

飛鳥川の源流の穿つ森ふかく女(め)滝ありさらに登りて男(お)滝 (平成18年) 

文明先生の歌あれば葉を裏返し紫背(しはい)すみれを友に示しぬ (平成19年) 

この古墳に母恋ふる幼きまぼろしの二人を置きて峡に下らむ (平成22年) 

故里のごと奥明日香親しきにここにも子ども一人だに見ず

   (平成27年)

また明日香の歴史や見どころ、南渕請安、中大兄皇子や藤原鎌足の話、大海人皇子のたどった道や、稲渕、栢森、飛鳥川などの明日香、飛鳥寺、岡寺、橘寺、石舞台、甘樫丘、雷丘、酒船石。

畝傍山、耳成山、天の香久山、藤原宮・・・・。

 
読んでいると、明日香を時を超えて歩いているような写実的な描写です。 
読んでいるうちに、歌の解説のみならず、明日香の歴史、意味、関わり合い、まるで実際に、明日香を歩いて訪れているような展開でした。早速読み終えました。おすすめの一冊です。

 

 

 

 

 

 

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