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2017年6月11日 (日)

美ビット見て歩き 私の美術ノート *52

いつも楽しみにしている、川嶌一穂さんの美ビット見て歩き 私の美術ノート *52 が奈良新聞に載っています。今月はわたしも滋賀県の信楽の陶器の産地にいったときなど見学に訪れるミホ・ミュージアムなどのことを書かれています。

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美ビット見て歩き 私の美術ノート *52 川嶌一穂

 

滋賀県ミホ・ミュージアム「和ガラスの美を求めてー瓶泥舎コレクションー」展

 

写真 ミホ・ミュージアム本館へのアプローチ=著者撮影

 

 滋賀県信楽町の山道をくねくねと進み、ほんとうにこんな所に美術館があるのだろうかと思い始める頃に、ようやくバスは美術館の入口に到着する。しかし本館まではまだまだ。トンネルと橋を渡る長いアプローチは、電気自動車に乗るか、10分ほど歩くことになる。その間、次第に体が木々の緑に染まっていく心地がする。

 遠くからはそれほど大きいと見えなかった本館も、前の階段を登り始めると、起伏のある地形をうまく生かした大きな空間であることが分かる。あのルーヴル・ピラミッドを設計したイオ・ミン・ペイの作品。この建築を見るためだけに訪れる人も多いと聞く。

 ここは宗教団体の創始者の名前を冠した美術館で、充実した展示で知られている。今回の特別展「瓶泥舎(びんでいしゃ)コレクション」展も、江戸時代に対する私たちのイメージを塗り替えるような素晴らしい企画だった。

 「瓶泥舎」、詳しくは「瓶泥舎びいどろ・ぎやまん・ガラス美術館」は、本展準備中に亡くなった大藤範里(だいとうのりさと)さんの集めた和ガラスのコレクションを公開する、愛媛県松山市道後にある小さな美術館である。正岡子規と道後温泉が好きな私は何度となく松山を訪れているのに、寡聞にしてその存在を知らなかった。

 「びいどろ」は、薄い吹きガラスを指すポルトガル語の「ヴィードロ」が、「ぎやまん」は、ダイヤモンドを意味するポルトガル語の「ディアマンテ」あるいはオランダ語の「ディアマント」がなまったもの。つまりびいどろは和製ガラスを、ぎやまんは輸入品か、それに匹敵する上質の和製ガラスを指すものとして使われた。

 これまた不勉強で江戸時代のガラスと言えば、薩摩切子(きりこ)や江戸切子くらいしか知らなかった。がそれは19世紀になってから製造されるようになったもので、順序としては17世紀後半から長崎でびいどろの製作が始まり、18世紀後半から徐々に庶民の暮らしに浸透していったという(本展『図録』)。だとすれば、喜多川歌麿(1753-1806)の「ビードロを吹く娘」に描かれているガラス製玩具・ぽっぺんは、舶来品ではなく和製だったかもしれない。

 今回の展示作品は、日常の暮らしを美しくするために作られ、使われたものだ。江戸の工業技術の高さと、人々の趣味のよさに驚くばかりである。江戸の洗練が明治維新で途切れずに、現代の私たちにちゃんと継承されているのだろうか。何やら心もとない気がする。

 硬質なのに壊れやすいという矛盾を孕んだガラスの美を堪能した初夏の一日だった。

 

 =次回は7月14日付(第2金曜日掲載)=

 ・・・・・・・・・・・・・・・

かわしま・かずほ

元大阪芸術大学短期大学部教授。

 

メモ ミホ・ミュージアム 滋賀県甲賀市信楽町田代桃谷300。JR石山駅発「ミホ・ミュージアム」行き帝産バス(50分)乗車(9時10分から13時10分まで1時間に1本)。電話0748(82)3411。会期は6月18日(日)まで。会期が残り少ないのでご注意下さい。

HPは→http://www.miho.or.jp/

瓶泥舎びいどろ・ぎやまん・ガラス美術館 愛媛県松山市道後緑台7‐21。電話089(922)3771。予約制。

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