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2017年3月12日 (日)

3月25日田淵三菜出版記念トークイベント

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3月25日(土)午後1時から2時まで、第2回入江泰吉記念写真賞受賞記念の写真集の出版記念トークイベントがひらかれるそうです。参加無料。申込み不要。奈良ファミリー1Fらくだ広場。

入江泰吉記念奈良市写真美術館では、4月9日まで展覧会も開かれています。

先日2回目を見てきたら、今回の展覧会のみ写真撮影可能と聞きました。

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森への門がひらく

田淵三菜

森の中で一人で暮らしはじめました。
すべてはここからはじまったのです。
生まれ育った大きな街での暮らしの先にどうしても足が向かなくなって、森に一人で暮らすことを思いついたとき、自然と体が動きました。
私の暮らす森は、浅間山という活火山の北麓、標高はだいたい1200メートルの所にあります。
2012年6月、大学を卒業して急いで車の免許を取って森の家に向かいました。23歳になったばかりのことです。
 暮らしてみると想像以上にみるみる力がみなぎって、街へ出てアルバイトしながら、時々友人を招いたりして元気に暮らしました。

冬がきて、はじめて森で写真を撮りました。20歳の誕生日に父がくれたカメラで撮りました。
 それ以来、ふと思い立ったらいつでも家を飛び出して、森に入って写真を撮りました。

写真はひと月ごとに手作りの写真集にしていきました。
撮った時の気持ちが薄れないうちに、ひと月の間に撮った写真を翌月に選りすぐって、編んで、感じたままの森の1ヶ月を1冊に表現しました。

何冊かは好きな喫茶店やお店に届けに行って、何冊かはよろこんでくれる人に送りました。できたての写真集を届けることがたのしみでした。
こうして約1年間で12冊の写真集が出来上がったのです。

これはわたしの初体験の森の記録です。
カメラは私と森の間の門のような存在でした。
冬の森ではじめて門をくぐって以来、うれしくて、数え切れないほどの森の門をくぐり、その向こうにあるすばらしいものを取って帰ろうとしました。
もしも写真を撮っていなかったら、私には森の姿は見えていなかったでしょう。

「雪が降ったら実家に帰ること。」
それが両親との唯一の約束でした。私は森で写真を撮るためにその約束を破りました。
森で暮らすことを許してくれた母は、私が一人で暮らし、写真を撮っていた間は一度も会いに来ようとはしませんでした。
父がくれたカメラと心配性の母の覚悟の先に、森の門が現れました。その門の向こうはもう一つの私の帰る場所でした。



入江泰吉記念奈良市写真美術館のHPです→http://irietaikichi.jp/

写真集の案内です。

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写真集には1月から12月まで、毎月の扉に文が書かれています。その文がまたすばらしいのです。

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