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2017年3月10日 (金)

美ビット見て歩き 私の美術ノート *49

毎月楽しみにしている、奈良新聞掲載の川嶌一穂さんの「美ビット見て歩き 私の美術ノート」は東京での展覧会です。
エレオノーラ・マッツァ+奈良市出身で奈良市在住の坂口紀代美さんの展覧会です。

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美ビット見て歩き 私の美術ノート *49 川嶌一穂

 

東京・始弘画廊 エレオノーラ・マッツァ+坂口紀代美「―INFERNO―ダンテ『神曲』にいざなわれ」展

 

写真 坂口紀代美さんと作品。始弘画廊にて=著者撮影

 

 本紙117日付の「世界遺産に作品設置」という記事を読んで、東京・南青山の画廊で開かれている展覧会にお邪魔した。奈良市出身の彫刻家・坂口紀代美とサンマリノ共和国出身の画家・エレオノーラ・マッツァの二人展だ。

 記事は、坂口が制作したモニュメントの除幕式の様子を紹介したもので、写真に写ったサンマリノの美しい山並みが印象的だった。

 サンマリノはイタリアの領土内、長靴のふくらはぎのあたりにポツンと存在する小さな国だ。マリノという石工がローマ皇帝の迫害から逃れてキリスト教徒の共同体を作ったのが国の始まりで、西暦301年に成立した世界最古の共和国だという。これは日本で言うと、倭の卑弥呼が死去してから数十年経った頃のことだ。

 今回の二人展はダンテの『神曲』がテーマになっている。ラテン語ではなくトスカナ方言で書かれた『神曲』は、イタリア人ばかりかサンマリノ人にとっても、イタリア語の原典であり、イタリア人としての誇りの源泉である。学校の国語の時間に熱心に暗唱するらしい。

 マッツァは、一人ひとりがバラバラにされて、『神曲』の中の「地獄」をさまよっているような現代人の混沌を油絵で描き、坂口は「地獄」にもなお存在する自然の姿をブロンズやワックスで表現している。

 現代美術というと無国籍で根のない作品が多いが、坂口の作品にはどこか和の伝統を感じさせる柔らかさがある。奈良に生まれ奈良で育ったことが大きく影響しているのではないだろうか。

年齢も文化的背景も違う坂口とマッツァは、ベルリンで開かれた展覧会に出品した時に知りあった。それ以来家族ぐるみの付き合いが始まり、前回はサンマリノで、そして今回東京で二人展が実現した。

先日たまたま「おばあちゃんの原宿」として親しまれる東京・巣鴨のお地蔵さんにお詣りに行き、歩道に置かれた「MADAMADA」と「KOREKARA」という石の作品を見て、「おーほんとにね!」と思った。その時は作家の名前を見ずに通り過ぎたが、何とそれが坂口の作品だったことが今回判明した。街中に置かれた作品ならではの幸せな出逢いだった。

21トンもある坂口の代表作「石舞台」は東京・練馬区の公園にあって、設置から20年経った今もその上で子どもたちの遊ぶ声が絶えないそうだ。東京やヨーロッパで活躍する坂口だが、ふるさとの奈良でももっと多くの作品を見たいものだ。

 

 =次回は4月14日付(第2金曜日掲載)=

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かわしま・かずほ

元大阪芸術大学短期大学部教授。

 

メモ 始弘画廊 東京都港区南青山5−7−23 始弘ビルB1。電話03(3400)0875。地下鉄表参道駅B3出口より徒歩3分。会期は3月6日(月)―3月18日(土)。日曜休廊。午前11時から午後7時まで(最終日は午後5時まで)。

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奈良新聞3月8日付も伝えています。




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