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2016年10月28日 (金)

『香薬師像の右手~失われたみほとけの行方』  新薬師寺へ参拝

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新薬師寺の香薬師像が昭和18年に3回目の盗難にあっていまだ行方知れずの国宝像として文部科学省が発表した、と新聞報道されていました。 

その右手の発見にいたるまで追求した元産経新聞記者と新薬師寺の中田定観住職のドキュメンタリーです。

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クリックすると拡大します。

最近、小西通りの啓林堂書店でこの本を見つけました。興味深い内容で一気に読み終えました。

目次は

第1章 香薬師の面影

第2章 香薬師盗難事件

第3章 香薬師像をしのぶ

第4章 香薬師の複製制作

第5章 香薬師騒動を追う

第6章 香薬師の右手
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平成28年10月12日 講談社発行
「香薬師像の右手」貴田正子著。

242ページ。1600円税別。

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この本で、この香薬師像は光明皇后の念持仏であったこと、かつての本尊の胎内仏であり焼かれたことなど初めて知ることが書かれていました。


翌日早速、新薬師寺にお参りにいってきました。
うまい具合にちょうど東大寺二月堂に出かけられる前の中田定観住職にお会いすることが出来ました。


「わたしは香薬師像を探す旅をしています。多くの人に知ってもらい、お寺や骨董店などで、香薬師像の贋物でも良い、情報をお寺に連絡して欲しい。贋物から本物につながるかもしれませんから。とにかく多くの人に広めていただきたい」とのことでした。
そして、読売新聞の記事など資料と本をいただきました。

Img607(読売新聞10月12日付より)

産経新聞の記事→http://gendai.ismedia.jp/articles/-/49935

現代ビジネスの記事→http://gendai.ismedia.jp/articles/-/49935

新薬師寺のHP→http://www.shinyakushiji.or.jp/

本の第3章などで、会津八一がいかにこの香薬師像を酷愛していたか、十首あまりの歌でくわしく紹介されています。

奈良で最初に建てられた、新薬師寺の歌碑にも歌われています。
会津八一の研究家、素空氏のHPから。

ちかづきて あふぎ みれども みほとけ の                 みそなはす とも あらぬ さびしさ

(近づきて仰ぎ見れどもみ仏のみそなはすともあらぬ淋しさ)

歌意
 (うっとりとした眼の)香薬師に近づいて仰ぎ見るのだが、はるか彼方を見られているようで、私をご覧になっているようには思えないこの寂しさよ。

 

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香薬師堂
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Img608



そして、素空氏は以下のように教えてくれました。

 
この右手のことを八一はこう言っている。

  八一は自註に「この像はさきに盗難にかかること二回なれども、多少の損傷はともかくも、二回ともにめでたく寺中に戻りたまえり」と書いている。盗んだ犯人はこの銅造の香薬師仏を金で作られていると勘違いしたらしく、確認のため右手首を切り落としたと言う。その時は数日して畑の中から出てきている。


 八一は亀井勝一郎の対談でこんな話をしている。

『・・・何時も私の行った後で盗まれた。それが三度もあった。私も連累ではないかと怪しまれやしないか。』 会津

 
『あの仏像を見ていると盗みたくなりますね。』 亀井

『そうなんです。盗難にあった後、・・・吉井勇が「香薬師もとの御堂に還れよと秋艸道人歌よみたまえ」などと書いている。私は失くなられる度に因縁が深い。』 会津

 

 

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