フォト
無料ブログはココログ

« 餅飯殿弁財天まつり 点描 | トップページ | 15日からもちいどの 夏の大売出し! »

2016年7月 9日 (土)

美ビット見て歩き 私の美術ノート *42 

いつも楽しみにしている奈良新聞に連載の川嶌一穂さんの美ビッド見て歩きは、滋賀県「石山寺」です。奈良から天ヶ瀬ダムを通って琵琶湖に行くときによく通りかかる、有名なお寺です。
Img416
Img417


美ビット見て歩き 私の美術ノート *42 川嶌一穂
滋賀「石山寺」本尊如意輪観世音菩薩特別開扉
写真 巨石群の上にたたずむ多宝塔=著者撮影
 観音を本尊とする長谷寺や東大寺二月堂、京都の清水寺や滋賀の石山寺は、みな山の中腹に本堂を構え、高い柱で床を支える懸造(かけづくり)という構造をしている。参拝者は麓から参道を上がって行き、お堂を見上げては感嘆し、またその舞台から下界を見下ろして、こんなに高く昇って来たのかと驚くことになる。
 クレーンもない時代に…、と現代人は思うが、観音様が補陀落(ふだらく)山上に住んでいることを忠実に再現しているのだ。
 なかでも石山寺は、その名の通り石の山の上に建っている。東大門から入り、導かれるように石段を昇ると、白っぽく輝く大理石や珪灰石からなる奇岩群にまず目を奪われる。「珪灰石」とは耳慣れない言葉だが、地中から吹き出ようとするマグマの熱で石灰岩が変成する過程で、その成分の違いにより大理石になったり珪灰石になったりするらしい。「ブラタモリ」ではないが、地学好きには必見の国の天然記念物である。
 木立が茂っていて本堂の全体を見渡すことがなかなかできないが、桧皮ぶきの屋根が優美な曲線を描いている。 実は先月、知らずに訪れたのだが、33年に一度の本尊の、今年がその開扉の年だという。これも奈良との浅からぬご縁のお陰と、有難く拝観した。
 左脚を下ろした半跏丈六の如意輪観音像だが、驚いたのは岩座が自然の珪灰石であることだ。薄暗くて確認できなかったが、おそらく岩の上に本堂を建てたのだろう。童顔で、ふっくらとした量感ある平安仏である。33年後、私はもうこの世にいないと思うと、逆にいま観音様に対峙できているのがとても不思議なことに思える。
 奈良とのご縁というのはこうだ。鎌倉時代に書かれた「石山寺縁起絵巻」詞書によれば「聖武天皇が東大寺に大仏を鋳造しようとしたが、日本には黄金が出ないので、良弁僧正に勅して吉野金峯山に祈願された。すると、我が山の黄金は弥勒菩薩がこの世に現われた時に大地に敷くためのものであるから、近江国志賀に行って祈るように、という蔵王権現の夢のお告げがあった。僧正がその通りに琵琶湖南岸の石山で秘法を修めると、陸奥の国から砂金が掘り出された。そこで東大寺建立に先立って、僧正を開基として建立した、それが石山寺」というものである。石山での霊験あってはじめて東大寺大仏が完成したのである。
 なお多宝塔内の大日如来像は若き日の快慶作であるが、遠くて暗いので、快慶ファンはぜひ双眼鏡をお忘れなく。帰りに門前の石餅を食し、水量もたっぷりと流れる瀬田川に沿ってご機嫌で家路についた。
 
 =次回は8月12日付(第2金曜日掲載)=
・ ・・・・・・・・・・・・・・・
かわしま・かずほ
元大阪芸術大学短期大学部教授。
メモ 石山寺 滋賀県大津市石山寺1丁目1−1。電話077(537)0013。JR京都駅から東海道本線石山駅まで新快速で13分。京阪バス約10分乗車「石山寺山門前」停留所下車すぐ。本尊如意輪観世音菩薩特別開扉は12月4日(日)まで。http://www.ishiyamadera.or.jp/

« 餅飯殿弁財天まつり 点描 | トップページ | 15日からもちいどの 夏の大売出し! »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« 餅飯殿弁財天まつり 点描 | トップページ | 15日からもちいどの 夏の大売出し! »

2017年8月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31