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2016年4月 9日 (土)

美ビット見て歩き 私の美術ノート *39 「東大寺花祭り」 川嶌一穂さん

毎月楽しみにしている 川嶌一穂さんの美ビット見て歩きは、4月8日、お釈迦さまの花祭りを取り上げておられます。国宝の東大寺の誕生仏は有名です。そしていろいろなエピソードがあるそうです。

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美ビット見て歩き 私の美術ノート *39 川嶌一穂

東大寺花祭り
写真=誕生釈迦仏立像および灌仏盤(国宝・銅造鍍金・8世紀)=奈良国立博物館提供

 きょう4月8日は花祭り、お釈迦様の誕生日である。奈良でもあちこちの寺で行事が行われるが、一番のおすすめは東大寺だ。朝8時から法要が行われ、午後3時頃まで、大仏殿正面に置かれた誕生釈迦仏に甘茶を灌(そそ)ぎ、また甘茶をいただくことができる。
 ずいぶん前のことだが、青々とした杉の葉と、馬酔木と椿の花で美しく荘厳された花御堂の中に、幼児そのものの体型をして微笑みをたたえて立つ像を拝見して、たちまちに魅せられてしまった。ぷっくりとした腕にくびれの輪まで表現されているのは、仏師がきっと自分の子や孫を観察したことだろうと勝手な想像を巡らせている。
 花祭りは一体いつ頃から行われているのだろう。東大寺の大仏開眼供養は、天平勝宝4(752)年4月9日に行われたが、当初の予定では前日の8日、つまり釈迦生誕の日に執り行うことになっていた。実際日本で最初の本格的仏教寺院である飛鳥寺の釈迦像は、造像開始も開眼も4月8日であったという(『東大寺ー美術史研究のあゆみ』里文出版、平成十五年)。
 ということは、東大寺に伝わるこの誕生釈迦仏と灌仏盤(かんぶつばん)は、まさに1264年前の大仏開眼供養会でおまつりされた可能性が高い。
 大陸周辺に位置する日本を、統一国家として安定させるために取り入れた仏教の総本山として東大寺を創建し、本尊である大仏の開眼供養を釈迦生誕の日に行なう。勤める導師は、釈迦生誕の地であるインドの僧・菩提遷那(ぼだいせんな)。何とも壮大な国家プロジェクトではないか。
 誕生釈迦仏と灌仏盤は、うれしいことに現在東大寺南大門の北西に隣接する東大寺ミュージアムに展示されている。甘茶を受けるための盤は堂々とした張りを持つ深皿で、表面に飛雲、草花、蝶、鳥、霊獣、鶴に乗る仙人など様々な模様が線刻されている。釈迦仏と同じ初々しく楽しげなデザインが、時代の息吹を今に伝えている。やはり大仏開眼にあわせて造立された八角灯籠火袋羽目板の音声菩薩浮彫りも展示中。
 甘茶は本来漢方薬である。もう何十年も、東大寺にほど近い後藤町の北村薬局が奉納されている。すべて国内産を揃えているが、最近は集めるのが難しくなって来たというお話だ。
 私事ですが、この3月で退職し奈良を離れて東(あずま)に下ります。これから関東の情報などもお伝えできると思いますので、引続きご愛読のほど、お願い申し上げます。
 
=次回は5月13日付(第2金曜日掲載)=
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かわしま・かずほ
元大阪芸術大学短期大学部教授。

メモ 東大寺 奈良市雑司町406−1。電話0742(22)5511。東大寺ミュージアム 奈良市水門町100番地。電話0742(20)5511。「誕生釈迦仏立像および灌仏盤」の展示は5月16日まで。

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本文中にも書かれていますが、長らくの奈良市住まいから東京に移られるそうです。また奈良にもお越しになり取材されるでしょうし、関東の情報なども伝えていただくことを期待したいと思います。そしてお元気でますますのご活躍を祈念申し上げます。

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