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2016年2月13日 (土)

美ビット見て歩き 私の美術ノート *37 川嶌一穂さん

いつも楽しみにしている、大阪芸術大学短期大学部教授の川嶌一穂さんの美ビット見て歩き 私の美術ノート *37 が、奈良新聞に掲載されましたので紹介します。
今月は、東大寺お水取りです。
近頃、練行衆に戒を授けられる和上として筒井寛昭東大寺別当が30回目の参篭されることになったと報じられています。
 

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美ビット見て歩き 私の美術ノート *37 川嶌一穂

 

東大寺二月堂お水取り

 

写真=お水取りを待つ閼伽井屋の屋根の鵜=著者撮影

 

 幼いころは父の肩車で、少し大きくなってからは親の手にしっかり捕まって、学生時代はデートで、毎年のようにお水取りのお松明(たいまつ)に出かけた。
 夕暮れ時、人混みの中で寒さを我慢して待っていると、いよいよ大きな松明が登廊を上がってゆく。二月堂の舞台に到着すると、担ぎ手は松明を欄干に預けてから、ぐいと押し出す。火の粉が舞い落ちると、下の群衆からどうと歓声があがる。大松明がしなりながら、回廊を威勢よく走り抜けて、炎と煙と、パチパチと生の杉の葉の爆ぜる音が五感に響く。火の粉を浴び、燃えさしを頂いて帰ると、一年間息災にすごせると信じられている。
 知りあいのお坊様が参籠の年は、父がお見舞いに行き、すべてがすむと、牛玉(ごおう)の札と壇供(だんく・お供えの餅)のお下がりを戴いた。母が餅の厚いカビをていねいに削って、小さく割って油で揚げてくれたのも懐かしい思い出だ。体格のいい方だが、いつもごそっと痩せて戻られた。
もうお松明に行かなくなって久しいが、最近はよく2月の昼間に足を運ぶ。どこかお水取りを控えた華やぎが感じられて楽しい。
 先日も、大仏殿北側の道をたどって、二月堂界隈を歩いた。松明こそまだなかったが、立てかける木組みはできていた。登廊の入口にある鬼子母神には、いつも欠かさずお参りするが、じつはこのお堂が、お水取りの参籠所と食堂(じきどう)である。鬼子母神の前のザクロの木も、今はすっかり葉を落としている。四月堂の基壇から遠望する開山堂の名椿・糊こぼしも満開だった。
 お腹がすくと、二月堂の辰巳(東南)にある龍美堂さんで、夏はわらび餅、今ならぜんざいを食べる。中にでんと構える茶釜に「寛政六年」と刻まれているのも、奈良の街の奥深さだろう。
 写真は、後方が二月堂、真ん中はすっかり大きくなった良弁杉。その右が興成(こうじょう)神社で、東大寺の地主神。左手前が若狭井のある閼伽井屋(あかいや)で、屋根の上に鵜がいる。黒白二羽の鵜が岩から飛び出した後に甘泉が湧き出たという故事による(現在、奈良国立博物館で開催中の「お水取り」展に出品されている『二月堂縁起』(室町時代)に、その場面が色彩豊かに描かれている。3月14日まで)。
 終るとようやく奈良に春が来ると親しまれているお水取りは正式には「修二会(しゅにえ)」といい、奈良時代からじつに千二百六十年以上、一度も絶えることなく行われている。3月12日深夜に若狭井から香水(こうずい)を汲む行事がそのハイライトで、お水取りと呼ばれる由縁である。
 1月休載で、今回が今年の第1回。本年もどうぞよろしくお願いいたします。 
 
=次回は3月11日付(第2金曜日掲載)=
・ ・・・・・・・・・・・・・・・
かわしま・かずほ
大阪芸術大学短期大学部教授。
メモ 奈良東大寺二月堂修二会お松明 3月1日から11日までと13日は、午後7時から。12日は、7時半から(入場規制あり)。14日は、6時半から。

http://www.todaiji.or.jp/contents/function/02-03syunie1.htmlより。

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