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2015年4月13日 (月)

美ビット見て歩き 私の美術ノート *28 

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いつも楽しみにしている大阪芸術大学短期学部の教授である、川嶌一穂さんの美ビット見て歩き 私の美術ノート が奈良新聞にのっています。

銀行の頭取であり、陶芸家として有名です。私は以前、三重県立美術館で特別展を拝見したことを思い出します。

以下は新聞記事から。

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美ビット見て歩き 私の美術ノート *28 川嶌一穂

あべのハルカス美術館『川喜田半泥子物語ーその芸術的生涯』

写真 川喜田半泥子『自画像』個人蔵=あべのハルカス美術館提供
 
 江戸の日本橋にも大店を構えた三重県津市の豪商・川喜田家第十六代の当主・半泥子(はんでいし)は、家業のかたわら、作陶、絵、俳句など趣味の世界を自在に楽しんだ。
 写真の『自画像』は、亡くなる4年ほど前(1959年)に描いた墨画。眼鏡の縁だけが淡い赤土色で描かれ、それが全体をぴりっと引き締めている。
 わりと大きな字で「冴えかへるろくろの土のひきのこり」という自賛句が添えられている。「冴え返る」は春の季語で、一度暖かくなりかけたのに、また寒さが戻って来ることを言う。引き終えた茶碗を糸で切って取り上げた後に轆轤(ろくろ)に残った土も、右手前の桶の水もまだまだ冷たい季節の句だ。寒中は棒状の「投込みヒーター」を入れて水を温かくすることもある、という陶芸家の友人・相川晶子の話だ。
 「部田六郎」(へたのろくろう=下手の轆轤!)という号も持つ半泥子には、「秋晴れやおれはろくろのまわるまま」という俳句もある。とても愉快な句だが、技術がいくら上達しても、なお結果はろくろに任せるしかないという半泥子が到達した境地を表しているのだろう。
 『千歳山の蟇(ひき)図』と題された禅画が同じ頃に描かれているが、そこには「まかり出てたるハ千歳山のひきにて候」(千歳山は、登窯を築いた地名)という賛がある。ヒキガエルの姿をした自画像である。そう言えば「冴えかへる」の句には、五七五の中に「かえる」と「ひき」が入っている。絵の中で土と格闘する半泥子が、蛙に見えるから面白い。
 半泥子の茶碗を、これだけまとまって見ることができたのは今回がはじめてだった。「実業家の余技」と言うにはあまりに完成度が高く、す枯れた中にも色気のある独特な茶碗の数々だ。
 この展覧会は、「ほめられるな」という祖母・政子の遺訓を生涯胸に抱きつつ、後半生を作陶に捧げた明治生まれの一人の男の人生と、その趣味を育んだ川喜田家の江戸以来の物語を読むことができる興味深い企画だ。 
 会場で、広重の浮世絵、木綿縞帳(切れ見本)、光悦の書状などに心ひかれつつ、文化の伝承と創造に地方の旧家が果たしてきた役割にあらためて気付かされた。
 ゆっくり作品の世界に浸った後、上のカフェで夜景を見ながら一服するのも、この美術館ならではの楽しみ。
 ゆかりの地、三重県津市に開館した石水博物館もぜひ一度訪れたい。川喜田家代々のコレクションと、半泥子作品が収蔵、展示されているそうだ。 
 =次回は5月8日付=
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かわしま・かずほ
大阪芸術大学短期大学部教授。

メモ あべのハルカス美術館 大阪市阿倍野区阿倍野筋1−1−43 あべのハルカス16階(エレベータ乗り場は地下1階)、電話06(4399)9050。月曜日休館、平日は夜8時まで。会期は5月10日まで。

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