なら観光シンポジウムのメモ
先日、東大寺・金鐘ホールでの奈良県立大学と奈良信用金庫主催の「なら観光シンポジウム」に出かけました。うまく再現できませんがなかなか良いシンポジウムでした。
奈良県立大学の学生×奈良信用金庫によるやまといろプロジェクト~ガイドブック「やまといろ」ができるまで~のレポートが最初にありました。
そして
ロバート・キャンベル氏の「奈良で遊び、学びたいという気持ちにつなげるために」という90分間の基調講演がありました。なめらかな日本語で語られました。以下はそのメモです。
・昨年、ニューヨークの父を日本に招待したが、沖縄と奈良が良かったと言っている。
・自然との共生を大切にしてきた日本人
・山そのものがご神体である 大神神社
・1795年 本居宣長「菅笠日記」
・「源氏物語」の玉蔓 長谷寺あたり
・1907年 高浜虚子「斑鳩物語」
・堀辰雄「大和路・信濃路」(1937-43年)
などを紹介されお話されました。
・温泉とおいしいもの→これが長年、日本人の旅行で求めるものではないだろうか
・江戸時代から明治時代にかけての旅の図会、ガイド本には絵があり漢詩があり歌があり、全体として物語になっているのではないか
・例えば「伊香保温泉志」など。
たいへん示唆に富んだお話でした。
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そのあとのパネルディスカッションのメモ。
西山厚先生(帝塚山大学教授、前奈良国立博物館学芸部長)
10人の外国人に奈良を案内する一日のルートとして、
・まず、若草山に登り、奈良の全体を見る、平城京の1300年の歴史を語る
・東大寺 南大門そして大仏様へ
・大仏様は人間のためだけではなく、あらゆる生物と植物のために建てられた。
大仏様は顔とからだが違う。焼かれて2回復活している。平和のシンボルである。古へを慕う気持ち
・そのあと二月堂 3月には修二会の行が行われ誰も見ることが出来ない観音さまに悔過する。三月堂の柱は1300年前の世界にも他にはない木造建造物であることを体感してもらう。
・依水園へ、日本の庭は借景を大事にする、先ほどの南大門、若草山を借景としている。
・そして書道体験をしてもらう。筆と墨、奈良が始まりである。自分で握って、にぎり墨をつくってもらう。
・奈良パークホテルでは天平の宴の奈良時代の料理を味わってもらう。
・さらに元気があれば、再び夕方若草山の頂上に登り、素晴らしい奈良の夜景を味わっていただく。というプランはどうか。
そして、
観光の入り口が大切
学ぶことは楽しい。
奈良のほんとうの良さを語れる人が奈良には少ない。
奈良の人が奈良のほんとうの良さを知らない。
他にもあって奈良にもある、というものではなく、「奈良にしかないもの」、これが大切である。
幕末の図会を見ていると、左手に興福寺の五重塔、右手に今はない元興寺の五重塔があるがそれをその場所に書ききれなくてすこし無理をして元興寺の五重塔は描きいれてある。そういう遊びこごろの発信も楽しい。
BOUNDは、よくインバウンドといわれるが外からではアウトバウンドである、ともかく、つながるということ、これが大切である。
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岡本健講師(奈良県立大学。観光学の中でも観光社会学がご専門)
観光には3つのことが大切である。
・事前の情報
・実際にあるもの
・実際に行って、体感すること
アニメ・漫画のため日本に来る人もいる。
実際にあるところの風景をアニメや漫画に書き入れていることが昨今多い。
「さんすくみ」は氷室神社の宮司さんを主人公のモデルにしていて作者も奈良の人。
「境界の彼方へ」や「すくってごらん」なども。
アクセスには3つのアクセスがあると考えている。
・物理的アクセス
・知的アクセス、そこを知るということ
・感性的アクセス・・・場所に対する親近感
そして物語づくりが大切である。
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