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2015年1月28日 (水)

堀辰雄 「大和路・信濃路」

先日の東大大学院教授のロバート・キャンベルさんの講演にでていた堀辰雄の「大和路・信濃路」も青空文庫で公開されていました。

「十月二十六日、斑鳩の里にて
 きょうはめずらしくのんびりした気もちで、汽車に乗り、大和平をはすに横ぎって、佐保川に沿ったり、西の京のあたりの森だの、その中ほどにくっきりと見える薬師寺の塔だのをなつかしげに眺めたがら、法隆寺駅についた。僕は法隆寺へゆく松並木の途中から、村のほうへはいって、道に迷ったように、わざと民家の裏などを抜けたりしているうちに、夢殿の南門のところへ出た。そこでちょっと立ち止まって、まんまえの例の古い宿屋をしげしげと眺め、それから夢殿のほうへ向った。
 夢殿を中心として、いくつかの古代の建物がある。ここいらは厩戸皇子うまやどのおうじの御住居のあとであり、向うの金堂こんどうや塔などが立ち並んでおのずから厳粛な感じのするあたりとは打って変って、大いになごやかな雰囲気を漂わせていてしかるべき一廓いっかく。――だが、この二三年、いつ来てみても、何処か修理中であって、まだ一度もこのあたりを落ちついた気もちになって立ちもとおったことがない。
 いまだにそのまわりの伝法堂などは板がこいがされているが、このまえ来たとき無慙むざんにも解体されていた夢殿だけは、もうすっかり修理ができあがっていた。……
 そこで僕はときどきその品のいい八角形をした屋根を見あげ見あげ、そこの小ぢんまりとした庭を往ったり来たりしながら、
 

ゆめどのはしづかなるかなものもひにこもりていまもましますがごと
義疏ぎそのふでたまたまおきてゆふかげにおりたたしけむこれのふるには

 そんな「鹿鳴集」の歌などを口ずさんでは、自分の心のうちに、そういった古代びとの物静かな生活を蘇よみがえらせてみたりしていた。
 僕は漸ようやく心がしずかになってから夢殿のなかへはいり、秘仏を拝し、そこを出ると、再び板がこいの傍をとおって、いかにも虔つつましげに、中宮寺の観音を拝しにいった。――

青空文庫→http://www.aozora.gr.jp/cards/001030/files/4806_14952.html

それから、堀辰雄の「大和路」の中に、何ヶ所も会津八一の歌の影響を感じていたのですが、会津八一研究家の素空氏は、そのことについて、すでにしらべてくれていました。やはり関連がありました。

素空氏の研究、「大和路」(堀辰雄)と會津八一 に掲載されていますので 、 

以下も参照していただければと思います。
その11.

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