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2014年12月13日 (土)

美ビット見て歩き「法隆寺」

毎月楽しみにしている、大阪芸術大学短期大学部教授の川嶌一穂さんの、今月の美ビッド見て歩きは、聖徳宗総本山 法隆寺です。

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美ビット見て歩き 私の美術ノート *25 川嶌一穂

聖徳宗総本山 法隆寺

写真 晩秋の法隆寺ー北側から見る金堂と五重塔=著者撮影

 忙しい日々が続いて、久しぶりに法隆寺を訪れたくなった。その昔、親に連れられて行った子どもの時は、金堂の釈迦如来のお顔が怖かった。自分で行くようになった若い頃は、百済観音が好きだった。その後、百済観音より救世観音が好ましく感じられるようになった。年を経て、どんどん好みが変わるのは不思議だ。
 今回、金堂内の四隅で釈迦三尊を守護する四天王像は、「新発見」だった。今まで何度も拝見しているはずなのに、はじめて会ったような新鮮さだ。堂内は薄暗いので、金網に取り付いて、じっくりと拝見した。
 日本最古の四天王像で、白鳳時代(7世紀中頃)の作。一応武器は持っているが、ほとんど動きはなく、帯の蝶結びや裾の襞がお洒落だ。アーモンド形の切れ長の目も渋い。同じ四天王像でも、東大寺戒壇堂は奈良時代(8世紀)、興福寺北円堂の四天王は平安時代初期、興福寺南円堂は鎌倉時代の作である。これら後代の四天王像とは違った静かな姿だが、力がみなぎっている。
 踏みつけられている邪鬼の表情が、とぼけたいい味だ。今にも、ぼそっと関西弁で愚痴を言い出しそうだ。「もう1300年以上も、こんなことしてますねん」と。
 金堂を出て、飛鳥時代(8世紀初頭)に建てられた、これも日本最古の五重塔に向かう。釈迦如来を本尊とする金堂と、釈迦の遺骨を安置する塔が中心に並ぶこの配置は、初期仏教の姿を今に伝える伽藍だ。
 五重塔の内部も薄暗く、金網越しで見にくいが、東西南北の四面それぞれにある塑像群を拝見。ここでも小さな発見があった。涅槃像(北面)の釈迦の足元に、阿修羅像を見つけた。釈迦の死に直面しても、端然と細い腕を伸ばしている。
 西院伽藍を出て、平成10年に完成した大宝蔵院で、玉虫厨子、橘夫人念持仏などを拝見した後、夢殿まで足を伸ばす。秋の特別開扉は、11月22日で終っていたので、残念ながら救世観音は拝見できなかった。
 法隆寺の魅力については、とても一回では語り尽くせない。次に訪れる時は、また新しい発見があるだろう。明治初年の廃仏毀釈を乗り切った、日本一長い歴史を持つ寺院が、こんなに近くにあることの贅沢に、改めて気づかされた一日だった。
 気ぜわしい年末だが、時間を見つけて訪問されてはどうだろう。そして、どうかよいお年を。 
 
 =次回は2月13日付=
・ ・・・・・・・・・・・・・・・
かわしま・かずほ
大阪芸術大学短期大学部教授。

メモ 法隆寺 奈良県生駒郡斑鳩町法隆寺山内1番1号、電話0745(75)2555 ▼JR法隆寺駅から徒歩20分。近鉄・JR王寺駅(北口)から、奈良交通バス13分 ▼春の夢殿(救世観音像)開扉は、4月11日から5月18日まで。

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カラー写真は、2014年11月7日、鹿鳴人撮影。

西院受付そばに新しく建てられた、会津八一の歌碑もぜひご覧ください。参考、鹿鳴人のつぶやき

 

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コメント

  私も、電子版で読みました。大講堂からの撮影された五重塔と金堂の写真は新鮮です。お参りする際は、鹿鳴人さんが撮影された方向から見ます。
 川嶌先生は百済観音より救世観音を好まれるようになられた由、會津八一人も《くだらぼとけに しくものぞなき》と詠みましたが、本当は《きみ は ほほゑむ》と詠んだ救世観音の方が好きだったのかもしれません。
 五重塔の塑像群はもっと評価されるべきかと思います。私は、西面のものが特にも好きです。
 紙幅の関係でしょうが、會津八一の歌碑に関する記述がないのは少し残念でした。 
      

やいちさん。コメントありがとうございます。僭越ながら、11月7日の会津八一の歌碑の除幕の様子を付記しました。多くの人に見ていただきたいですね。素空氏も早く行きたいと言っています。

やいちさん。コメント有難うございました。會津八一の歌碑はどこに建ったのかな、と思いながら行ったのですが、金堂内諸像と、五重塔初層で感動しすぎて、慌てて大宝蔵院、夢殿、中宮寺へ行ってしまい、歌碑と、西円堂も見忘れてしまいました^^;) こちらで、松森先輩にフォローして頂いて、助かりました。
塑像群は、おっしゃる通りですね。帰ってから解説書を見ましたら、西面の上部、釈迦を安置した棺の前に舎利容器がある、とあって、それも見落としてきました。
橘夫人念持仏の美しい水面、小金銅仏群・・・まだまだいっぱい書きたいことがあったのですが、とても一回では書ききれません。
来年から、拝観料が1500円(現在1000円)に上がるらしいので、師走ですが、ぜひお時間を見つけていらして下さい!

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