森 鴎外と東京、奈良国立博物館
森鴎外は明治の文豪として有名ですが、東京国立博物館へいくと、特別展などをよく開催される平成館の前の人工池のところに「森 鴎外総長室跡」という掲示が新しくつくられていました。
森鴎外(森 林太郎)は奈良の正倉院の鍵をあける儀式などのため何度も奈良に滞在し、短歌などをのこし、娘さんへのお葉書なども話題です。
奈良五十首を残した森鴎外の短歌
(解説は「知れば知るほど奈良はおもしろい」2014秋号による)
夢の国燃ゆるべきもの燃えぬ国木の校倉のとはに立つ国
正倉院が奇跡的に戦火をのがれ、1250年の年月を乗り越えたことに感動して詠んだ歌。
大鐘をヤンキイ衝けりその音はをかしかれども大きなる音
ヤンキイはアメリカ人。大きな外国人が東大寺の大きな鐘をつく様を楽しげに表現した歌です。
落つる日に尾花匂へりさすらへる貴人(うまびと)たちの光のごとく
秋の落日の中で、元興寺の興亡を想像した奈良時代への挽歌ともいえる歌です。
殊勝なり喇叭(らっぱ)の音に寝起する新薬師寺の古き佛等(ほとけら)
当時兵営と隣接していた新薬師寺。その起床ラッパを盛り込んだユーモラスな歌です。
奈良国立博物館の北東には、森鴎外が一時住んでいた官舎の門があり、鴎外の門、として残されています。
(画像はクリックすると拡大します)
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11月12日(火)午前、東京国立博物館「日本国宝展」に行きました。午後に港区で会議があったので、その機会を利用しました。
平日の開館直後と言う時間帯でもあり、ゆっくりと鑑賞できました。奈良国立博物館「正倉院展」で太刀を見たこともあり、特に東大寺金堂鎭壇具「金銀荘大刀(陽剣・陰剣))を興味深く拝見しました。
平成館を出た際、「森鴎外総長室跡」のパネルに気づき、私も奈良公園「鴎外の門」を連想しました。残されている門が平面的なのが残念です。
鴎外の短歌では「夢の国」が格調高くて好きです。
投稿: やいち | 2014年11月13日 (木) 11時44分
やいちさん。コメントありがとうございます。
この秋は、奈良、東京、京都とそれぞれの国立博物館充実していましたね。九州の国立博物館は行ったことはありませんが、故宮博物院展だそうですからこれは先に東京で拝見しました。
投稿: 鹿鳴人 | 2014年11月13日 (木) 11時51分