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2014年8月 9日 (土)

美ビット見て歩き 私の美術ノート*21 

いつも楽しみにしている、大阪芸術大学短期学部の川嶌 一穂さんの8月の美ビット見て歩きは、いま奈良国立博物館で開かれている「国宝 醍醐寺のすべてー密教のほとけと聖教」展をとりあげられています。また私どもの奈良もちいどのセンター街の「餅飯殿町財団」のことにも触れられています。もう一度拝観したくなる解説です。

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(クリックすると拡大します)


美ビット見て歩き 私の美術ノート*21 川嶌 一穂

 

奈良国立博物館 特別展「国宝 醍醐寺のすべてー密教とほとけと聖教」展  

写真 重要文化財 舞楽図 俵屋宗達筆(左隻)(京都・醍醐寺)=奈良国立博物館提供(8月17日まで展示) 

 
 京都山科(やましな)の醍醐寺(だいごじ)と言えば、平安の名塔、五重塔や、桃山の威光、三宝院と、奥村土牛筆の「醍醐」でも描かれた桜の名所というイメージが強い。
 

 なぜ奈良の地で醍醐寺展なのだろう?と思いながら、奈良国立博物館を訪れた。前庭の池で、涼しげな蓮の花が出迎えてくれた。 

 大切に守られて来た7万点もの文書、聖教(しょうぎょう。経典や、密教儀礼に関する記録)が、昨年国宝に指定されたのを記念して行われた特別展だが、醍醐寺がこれほど南都と縁のある寺院であることは、不勉強で知らなかった。考えてみれば、その昔、南都と醍醐寺は奈良街道一本で結ばれていたのだ。 

 開山の理源大師聖宝(しょうぼう)は、9世紀、東大寺で二十年間修学し、その間吉野でも山岳修行を行った。醍醐寺を開いてからも、聖宝は東大寺の境内に子院を設け、その後、醍醐寺の僧がその院主を務めたり、東大寺の別当に就任したこともあったという(展覧会図録)。鎌倉の南都復興に晩年を捧げた重源も、醍醐寺出身の僧だった。寺院や宗派の枠を越えた交流が、今よりずっと盛んだったのだ。 

 密教修法の中心的存在として発展した醍醐寺の、数多くの寺宝の中でも、今回「密教の祈り」と題された展示室は圧巻だ。明王諸像はあくまでも恐ろしく、「文殊渡海図」などの菩薩像は、うっとりするほど美しい。熱心に拝見しすぎたのか、少しぐったりしてしまった。五感に訴えかける密教の密教たる所以だろう。 

 最後の「秀吉と〈醍醐の花見〉」の展示室で、思いがけず、俵屋宗達の「舞楽図」に再会した。金色の中に浮遊する楽人と、左上隅で根元だけ描かれた松にからむ満開の桜。装飾的だが、とても知的に構成された空間だ。 

 「醍醐寺と修験道」の展示室では、「吉野曼荼羅図」と「大峰山上講縁起」を拝見。「餅飯殿(もちいどの)町財団」所蔵とある。「もちいどの」は、興福寺の南に位置する、アーケードのある商店街。聖宝が大峰山参詣道を再興した際に、餅飯を用意したのが町名の始まりと伝えられる。町では今も大峰山参詣が続けられ、町内にある大師堂では、毎年七月七日に法要が行われているという。恐るべし、歴史に生きる奈良の町。 

 今回、たまたま日曜日に拝観したので、午後3時から五大明王像前で法要が行われた。「美術品の展示」ではなく、「仏像の出開帳」であることを思い出させてくれた。 
 
 =次回は9月12日付=
・ ・・・・・・・・・・・・・・・
かわしま・かずほ
大阪芸術大学短期大学部教授。

 

メモ 奈良国立博物館 奈良市登大路町50 ハローダイヤル050−5542−8600 ▼展覧会公式ホームページ http://daigoji.exhn.jp  ▼会期は9月15日まで。途中展示替えあり。

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コメント

 私は初日の7月19日(土)午前中に行きました。私は、音声ガイドに案内があるものを中心に拝見したのですが、それでも充実した内容にどっと疲れてしまい、最後の「秀吉と〈醍醐の花見〉」を見る気力は残っていませんでした。惜しいことをしました。
 午後は、もちいどのセンター街で大紙芝居「餅飯殿 箱屋勘兵衛縁起」を鑑賞しました。紙芝居では餅飯は理源大師による大蛇退治と絡められていましたが、この方が話としては面白いからでしょう。
 8月7日(木)には、天川村洞川の龍泉寺を参拝する機会がありました。真言宗醍醐寺派のお寺で、ご本尊は弥勒菩薩さんですが、理源大師像も安置してありました。
 奈良の歴史は、本当に奥が深いと思います。

やいちさん。コメントありがとうございます。
醍醐寺展はほんとうにすばらしい展覧会ですね。わたしも醍醐寺はどこにあるのかも良くは知りませんでした。幸い下醍醐だけ訪ねることができましたが、ぜひ上醍醐も訪ねたいと思っています。餅飯殿の大紙芝居もご覧いただきありがとうございます。そして天川村龍泉寺へも。あの水行される池の龍口からの水、いつもほんとうに冷たいですね。わたしも奈良は実に深いと思います。
姫路から熱心に何十年も奈良通い、そして研究に敬意を表したいと思います。

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