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2014年3月19日 (水)

「奈良における石造文化」 石工 左野勝司さんの講演    2

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さらに、左野勝司さんの話は熱を帯びてきました。

いま、やること。

ひとつは、春日大社の石灯篭をどう残すか?以前から岡本権宮司さんと相談している。

春日大社の石灯籠は2700基以上あり、あらゆる灯篭がある。先日、撤去した燈籠は柳沢家寄進で砂岩(弱い石)で出来ておりいま修理している。

モノは劣化し、やがて風化する。しかし劣化や風化を、30年でも50年でも遅らせられないか、少しでも遅らせられたら、のちの世で技術が進歩してさらに延ばせるかもしれない、と思うから、そのつもりでやっている。

私(鹿鳴人)は早速16日、春日大社の灯篭を一の鳥居から参道、本殿、若宮神社あたりまで見てきました。

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とてもすべては見ることは出来ませんが、参道を歩き、はじめて右に左に灯篭だけをみて写真に撮ってみました。それぞれに形があり、彫り方に違いがあり、寄進する講や同業者の集まり、そして時代もいろいろのようです。

二つ目は、奈良文化財研究所に本部を置いてもらい、世界の学者に集まってもらい、石を研究してもらうことを始めている。

そもそも地球のマグマはひとつであり、噴火であちこちに出てきている。世界のどこであれ、同じことであるから。

三つ目、日本では石屋はいてもなかなか石工(いしく)は育たない。こんなたいへんな仕事を現代の日本人はしない。だからわたしはカンボジアで若い人を育てている。いつか彼らが日本の(石造物の保護、復元などに)お世話してくれるだろうと期待している。

石を見つめること、意味のないこと。しかし意味のないところに良さがある。

石造物も石なら、そこらに転がっているものも石である、どうか石に注目していただきたい・・・と90分にわたる講演を結ばれました。

そして質疑の中で、以下のようなお話もされていました。

○彫られた石を見ていると、どんな種類でいつごろというのが、長年の経験でわかる。そうやっていろいろな石を見ている。

○以前、どこかで五輪塔の丸いところを、樹脂で包まれたことがあった。わたしはやめておきなさいとアドバイスしたのだが、樹脂で包み込まれた。すると数ヵ月後、案の定その丸い石が割れてしまった。

石は自然に水を吸収し、水を排出する、それを樹脂で包みこんでしまうと、それが出来なくなるから当然のことだ。

→石はそんな水を吸収したり排出したりするとは思いませんでした。いわば石も呼吸しているのでしょうか。(鹿鳴人)

○つくった石造物には、自分の名前を書く人もいるが、わたしは書かない(唯一西大寺に奉納したものだけには名前が書いてある)。書かなくても昭和から平成にかけてこういう仕事をしているのは私しかいないからだ。

○皆さん、あちこちで道標を見てください、文字や形を見るとなかなかおもしろいと思います。写真に撮って集めると楽しいと思います。

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左野さんは、そもそも石工は細かい砂を長年吸って50才くらいで死ぬ人が多かった、長生きはいなかった、といわれていました。ご自身もあちこち病気を克服されて、いま又すこし体調不良ということでした。どうか健康に留意していただき、さらに良い仕事をしていただきたいと思います。(おしまい)

 

 

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