映画 少年H
誘われて、近鉄高の原駅前で映画「少年H」を見てきました。同名の原作の妹尾河童さんの本は見かけたことは何度もありますが読んだことはありませんでした。
今回、水谷豊、伊藤蘭さん夫妻の共演ということで、新聞テレビなどでとりあげられていました。
少年Hとは、はじめというな名の主人公。映画は昭和15年くらいの開戦前の神戸の様子が見事に復元された町並みの中からはじまりました。
少年Hのお父さんはオーダーメードの仕立て屋さん、お母さんは敬虔なクリスチャン。居留地の外国人などを相手に上手に仕立ての洋服を商いしています。そんな父や母について歩いて主人公Hは、小学生の時代から、世の中を見ています。
とくに教会で知ったアメリカ人女性の先生は開戦前に帰国し、ニューヨークの103階建てのエンパイヤステートビルの描かれた絵葉書が少年Hに届き、自動車の多さ、都市間の飛行機の運行など巨大なアメリカを知ります。
やがて、開戦。そんな巨大なアメリカを相手に開戦、勝てるのか少年Hは懐疑的です。市井の仕立て職人の父にいつも尋ねます。父は精一杯このことをしっかりと見ておきなさい、がまんして潜り抜けなさいと静かに答えていました。
外国人相手の仕立て屋ということで警察に嫌疑をかけられ1泊やや拷問ともいえる取調べを受けて父は帰ってきました。職人の命である右の手が傷つけられていました。そのときも父は冷静に、少年Hに対して一個の人間として話していました。やがて、昭和20年3月の神戸の大空襲で、神戸の町は焼夷弾で焼き尽くされました。
そして終戦(敗戦)。その後の、大人の急激な世の中への順応(軍事教練でお国のためと厳しかった教官の軍人の変化など)に懐疑的な少年H。
そして15才で独立して自分の道を歩く少年H。
映画は軍国下、一言多く本音をかたりつづけた少年Hと市井の家族、町の人々などを描いていました。
この夏、ならシネマテークで野坂昭如さん原作の映画「火垂(ほた)るの墓」も見ました。神戸の町が焼け出されて、もとの防空壕に住む少年と幼い妹をアニメで描いていました。
吉永小百合さん主演の「母べえ」も、戦争のもと、思想犯として捕られた夫とその家族を描いた映画でした。
戦争が終わって68年。戦争のあとに生まれたわれわれですが、こうした映画は戦争の悲惨さと愚かさを忘れずに、見たいものだと思います。
映画 「少年H」オフィシャルHPは→http://www.shonen-h.com/
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