20日奈良ビブレは閉店
1月20日付の毎日新聞奈良版に大きく取り上げられています。
「奈良ビブレきょう閉店。ホテル建設景観の壁、高さ制限緩和論争も」と。
奈良ビブレ:きょう閉店 ホテル建設、景観の壁 高さ制限、緩和論争も /奈良
毎日新聞 1月20日(日)
奈良市民に親しまれてきた商業施設「奈良ビブレ」(同市小西町)が20日、閉店する。その跡地活用として、建物と土地を所有する不動産賃貸会社が、ホテル建設を目指していることが分かった。近鉄奈良駅の南約100メートルで、奈良公園や東大寺にも近い市中心部の好位置。しかし、進出するホテル事業者が現れない状態が続く。二の足を踏ませているのが、市の建物の高さ規制。一方、景観を守るために規制は必要という声もあり、ホテル建設の計画浮上で、思わぬ景観論争に発展しそうだ。【釣田祐喜】
跡地は、市が高さ20メートルを超える建物の建設を原則認めない「20メートル高度地区」内。規制は自然、歴史の景観を守るのが狙い。今後も市都市計画課は「(景観は)まちづくりの生命線としており、緩和するつもりはない」と変更を否定する。
関係者によると、建物と土地を所有する不動産賃貸会社「浅川ハーベストビル」(同市)は、集会場などを備えた本格的なホテル整備を計画。複数のホテル事業者に打診したところ、いずれも進出には「規制の緩和が前提」との回答だった。現状の高さ規制のままでは客室数が足りず、採算割れが見込まれるためという。
県内全域を訪れる観光客数は年間約3300万人(2011年)。このうち宿泊客数は年間約243万人(同)と、全体の10分の1以下にとどまる。ホテル・旅館の客室数は9375室。東京都、北海道に次いで3番目に多い大阪府(7万4607室)や16番目の京都府(3万2045室)に遠く及ばず、全国最下位だ。
宿泊施設の少なさを巡っては、奈良商工会議所と市観光協会の会員で作る委員会も07年1月に問題提起する報告書を発表。建物の規制緩和などを通じホテルを充実させる提案をしている。地元経済界の関係者は「まちの活性化のためにも緩和があってもいいと思うのだが」と話す。
ただ、地元住民には「世界遺産の景観を守るには、規制も必要」との声もある。
ビブレは閉店後、3月中にも解体が始まる見通しだ。跡地計画が進まなければ、約6700平方メートルの敷地は更地の状態になる。
周辺の商店主で作る「小西通商店街振興組合」の井岡正浩理事長は「ビブレ前を通った時ににぎわいがあれば奈良は伸びる。しかし、観光客にさびしい印象を与えてしまえば、奈良にまた来ようと思ってもらえなくなる」と、まち全体のにぎわいに影響が及ぶことを危惧している。
………………………………………………………………………………………………………
■ことば
◇高度地区
都市計画法に基づき、奈良市が1980年に指定した地区。市西部から、大池、薬師寺、若草山などを眺める景観を重視し、建てる建物の高さを10~40メートルに制限している。JR奈良駅周辺で40メートル▽近鉄大和西大寺駅周辺など31メートル▽近鉄奈良駅周辺など20メートル--など。規制の変更には市の都市計画審議会の議決が必要。
1月20日朝刊
近鉄駅ビル、奈良県庁が高さ20メートル以上ですでに建っていることには触れられていません。(奈良県庁は南からみれば6階建てですが、北から入ると7階建てでした)
奈良市都市計画課は、「高さ制限はまちづくりの生命線としている」ということですが、それ以前に、「高さがまちの生命線を握っているなら」、奈良市はどう考えるべきでしょうか?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
また、産経新聞奈良版は2月19日付で以下のように伝えています。
奈良ビブレあす閉店 夏頃までに取り壊し 跡地にホテル構想も
2013.1.19
20年以上にわたって地元に親しまれてきた近鉄奈良駅(奈良市)近くの商業施設「奈良ビブレ」が20日、閉店する。現在の建物は夏頃までに取り壊されることが決まり、跡地にはホテル建設構想も浮上しているが、市の高さ規制などもあって具体化せず、難航している。
◇
運営する「イオンリテール」(千葉市)によると、閉店日には特別なイベントを予定しておらず、通常通り午後8時まで営業するという。一方、テナントでは閉店を見据え、早い店では昨年10月から売り尽くしセールを実施している。
閉店後、1カ月程度はテナントの店舗の撤収作業が続き、夏頃をめどに建物は解体される。
関係者によると、跡地利用では、フィットネスクラブや高級ブランド店などを兼ね備えたホテルを建設する構想が浮上している。しかし、この一帯は景観保全のため、市の都市計画で建物の高さを20メートルまでに制限しており、現状では構想実現は難しいという。
市の担当者は「規制を緩和する場合、市全体で見直す必要があり、すぐに変更することは難しい」と話している。
奈良ビブレの土地・建物を所有する不動産会社「浅川ハーベストビル」の浅川哲弥社長は産経新聞の取材に対し、「現時点で跡地について公表できることはないが、奈良の町が元気になるような施設にしたい」と話した。
跡地利用をめぐっては、地元商店街が昨年9月、「市中心部の商業集積の核となる場所で、商業施設を中心に利用を考えてほしい」などとする要望書をイオンリテールに提出している。
奈良ビブレは平成2年、スーパーの旧「ニチイ奈良店」から衣替えして開業。地上4階・地下1階で、売り場面積は約1万1800平方メートル。服飾や雑貨などの店が入り、若者らの人気を集めてきたが、近年は郊外型の大型商業施設進出などに押され、売り上げはピーク時の半分以下に落ち込でいた(以上、産経新聞の記事)
17日の高さと容積率についての当方ブログにたいへん多くのコメントいただいています。
多くのコメントありがとうございます。
春秋の季節の良いとき、奈良に宿泊しようとすれば、すでに予約でいっぱいということ多いのが現状です。基本的に絶対数は足りていません。一方、奈良市内でも思いつくだけでも修学旅行の中心の旅館ホテルは、ここ十年二十年三十年、住吉旅館など三条通の旅館、ならや、あぶらや旅館、好生館、猿沢ホテル、大文字旅館、都ホテル、魚佐旅館など、閉館しています。有名な日吉館、大和山荘、聖都、ドリームランドホテル、三笠温泉群、や高円山のうえの宿泊施設なども閉館していっています。共済会館やまと、など公営の宿泊施設も減っています。
無論、景観は大切です。奈良は景観を大切にしてきました。
あちこちの都市のような高層ビル(20階や30階というような)を建てて良いとは決して思いません。
現状、近鉄ビルや奈良県庁のような、現在の高さ20メートルというような高さ制限を何メートルか、何十メートルか越えている建物が現実にあります。その高さまでは建てられるというようにしても良いのではないかという議論がでているというわけです。
町に、2階建てや3階、4階建ての低層和風宿泊施設が多く建てられるというのも良いと思います。
あるいは既存の今まで住まわれていたが、諸般の事情で無人になった建物がうまくリニューアルされて、その古さを生かしながら快適な宿泊施設になっていくというのもとても良いと思います。
また1泊ではなく、もうすこし長い日数を奈良に住んでいるがごとく、再々利用できる宿泊施設が良いのではないと思います。
そういう「奈良らしい」宿泊施設が多く提供されるのはとても良いと思います。
ただしそれには、それぞれが採算ベースにのるようなビジネスモデルが必要ではではないかと思います。そのビジネスモデルを行政および商工会議所、民間はリードして検討すべきだと思います。
« 写真家、井上博道氏のお別れ会 | トップページ | ♪ドレミのうた »
奈良の都心から核店舗が消えるは寂しいですね。
ビブレ(全国チェーン店)の業態変更が地域のニーズに追いつかず、見切りをつけた結果と思います。
閉店後、次の計画が足止めされると、街の賑わいが失われ都心はますます衰退するのが目に見えています。
先人が築いた歴史的資産を守ることは重要ですが、それに胡坐をかいて創造停止していると、街は段々と衰退していきます。
伝統文化を守りながら、新しい都市魅力を創造する役割を地元商人が担っていると思います。
投稿: 神戸一生 | 2013年1月21日 (月) 09時20分
神戸さん。コメントありがとうございます。
おっしゃる通りだと思います。
次の有効な手を地元の買い入れた地権者の方が進めようとされていますが、現在のままでは高さ制限などで事業採算がとれないということです。
そこで、やはり事業採算のとれるようにしないと、奈良は衰退します。
奈良はとくに工場や大企業を誘致するのはむつかしい場所です。
多くの所得税や住民税を支払ってくれていた年代がリタイアの時代に入ってきています。
奈良は住宅都市の側面もありますから、これからの税収の意味でもたいへんなはずです。
そして、奈良は日本のふるさとでありその歴史的価値、文化的価値は十分にあり、その役割を他から
求められているといえます。
深い意味での観光、リフレッシュ、リゾート、癒し、文化への触発、歴史とのふれあい、そういう役割が奈良にはありますし、今までの議論のなかでもそのことの大切さが言われてきているのに、
1980年、32年前につくられた高度地区を後生大事にしているというのでは、時代に対応できません。
景観は無論大事です。守るべきです。そしてその調和点があるはずだと思います。
投稿: 鹿鳴人 | 2013年1月21日 (月) 14時01分