平川克美氏の2冊の本
1冊目。もう1年以上前になるのですが、東日本大震災前に読みました。
本屋でふと目にとまり読んだ本です。平川克美著「移行期的混乱~経済成長神話の終わり」(筑摩書房・本体1600円)では、「2006年をピークに日本は有史以来の人口減少時代を迎えた」と書かれていました。
そして「総人口の減少を食い止める方策はさらなる経済成長ではない。あるいは経済成長を続けるための方策は、総人口の再増加でもない。
むしろ、それとは反対の経済成長なしでもやっていける社会を考想することである。その考想がひとびとに共有されたとき、人口動態もまた平衡を取り戻すはずである。
しかし、当分の間は、経済成長待望論者による生産性向上と富の収奪のための様々な試行錯誤と行き過ぎた金銭信仰のために破壊された労働倫理、そして拡大を続ける格差などによる移行期的な混乱が続くだろう」、
「問題なのは成長戦略がないことではない。成長しなくてもやっていけるための戦略がないことが問題なのだ」と書かれていました。
たいへんな時代をどのように乗り越えていくのか、大きな課題です。東日本大震災前に読んだ本ですが参考になるような気がします。そしてこの本で、すこし頭の体操をしたような気分になりました。
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2冊目。平成24年2月に近鉄奈良駅近くの啓林堂ビブレ店でふと見つけた同じ著者の本です。
『小商いのすすめー「経済成長」から「縮小均衡」の時代へ。』というこの2月に出版されたばかりの本です。本体1600円。
本の帯には、「日本よ、今年こそ大人になろう」。
東日本大震災、「移行期的混乱」以降の個人・社会のあり方は?政治家も経済学者も口にしない「国民経済」復興論。
扉には、前書で指摘した社会のあり方として「小商いの哲学」を提示する。
「身の回りの人間的なちいさな問題を、自らの責任において引き受けることだけが、この苦境を乗り越える第一歩になる」
「短期的ではなく長期的な視点での復興策を、血の通った言葉で書きつづった感動的な論考!」
とあります。
著者は、この本を2009年書きはじめ、2011年東日本大震災を経て、書き直したということです。
こちらの本が読みやすく思いました。
今回はじめて読んだ出版社のミシマ社です。新しい注目の出版社のようです→http://www.mishimasha.com/
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