講演会「地域再生の罠」
「地域再生の罠 なぜ市民と地方は豊かになれないのか?」 (ちくま新書) 819円。
奈良市の職員と市民を対象に平日の夕方、奈良市役所で講演会がありました。講師は地域再生プランナーの久繁哲之介さんが東京から来られました。
tetsudaさんの日々ほぼ好日のブログで知りましたので申し込んで聞いて来ました。
90分間にわたる講演は、慣れた早口ではなく、ゆっくりした語り口で一語一語考えて語られているように思いました。
要旨をメモから拾いますと、
自慢、権力、金といった「誰」、ということではなく、共感、口コミなど「何」が大切であること。
有名な「誰」がいったことだからと鵜呑みにして思考しないのではなく、「何」をいっているのかというのが大切である。
誰<何
都市再生とかまちづくりとか場所にかかわる事柄が多い。
縦軸に場所、横軸に人というマトリックスを図に描いて考えてもらいたい。
私益<公益
世界遺産の町(広島、姫路、弘前)を3つ上げて、そこに住む人、そこに働く人の行為で、せっかくの世界遺産の場所であっても、観光で来る人を減らしているということを言われました。
たとえば、市町村を超えたセットで売り込むべきであるが、よそのことは知らない、自分の地方自治体だけのパンフレットや案内が多すぎる。
外から来る人の視点になっていない。
私益<公益
奈良でも、奈良市だけでなく、京都プラス奈良、奈良市プラス大和路というのが外からの人の視点であり、そういう視点のパンフレットがない。だからJTBの「るるぶ」が強いし観光の人の支持を得ている。
行政の人は座って市役所で考えることが多い。それでは生の情報を得ることはできない。現場に行くとわかることが実に多い。
→市民のライフスタイルを見てインセンティブをつけること。
まちなか、中心市街地について先のマトリックスの応用
すなわち縦軸に、まちなか、郊外、横軸に人をおいてみる。
同じ品は地価がまちなかの方が高いのだから同じ値段では売れない。
まちなかでは回転率、商品の絞込み、が必要である。それに対応できる業種はコンビニであり吉野家のような店とならざるを得ない。あるいはルイビトンのような高級店。また、プラスアルファの人的なサービスを行なう理髪店ではQBハウスに勝っている。
すなわち、効率、高級、交流が大切。3つのコウと呼んでいる。
以上のようなフレームを使って、自分の強みを何にするのか、(人の考えをそのまま考えないで使うのではなく)自分で考えること。
→それを奈良の町でやると、きっと良い町になる。
もてなしのある町というのが2年前の奈良の町で採用され、大いに共感しますが、できていますか?という質問を講師から最後に投げかけられました。
お話はもうすこしつっこんで聞きたいと思いました。同名の本も出版されています。
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