「原子炉時限爆弾ー大地震におびえる日本列島」
つづいて広瀬隆著「原子炉時限爆弾ー大地震におびえる日本列島」を読みました。ダイヤモンド社発行。税別1500円。
この本の第1刷の発行は昨年2010年8月26日です。今回の東日本大震災の前にすでに書かれているのですが、今回の大震災の心配をすでに的確に指摘されていました。
この本の目次は
序章 原発震災が日本を襲う
第1章 浜岡原発を揺るがす東海大地震
第2章 地震と地球の基礎知識
第3章 地震列島になぜ原発が林立したか
第4章 原子力発電の断末魔
本文から「科学的・論理的に考えれば、周期的に到来する東海大地震は間違いなく起こることであり、これを否定する人間は、電力会社にも一人もいない。その時に、浜岡原発が破壊され、取り返しのつかない末期的な大事故が起こる可能性は、ほぼ百パーセントと言ってよい。これは時限爆弾の爆発を待っている、ということになる。私たちに分らないのは、その時限爆弾が、いつ爆発するようにセットされているか、その時刻だけなのである。」と本の帯にあります。
地球の成り立ちからも解き明かされている点でたいへん説得力があるように思います。
とくに「地球は生きている」こと、日本の列島はヨーロッパなどにくらべ若く、隆起などによってつくられていること、富士山など休火山とかつて習いましたがいまやすべて活火山であること、日本の原発は地盤が固いところにつくられているというつくる時の説明であったがそうではなく地盤の弱いところにつくられていること、活断層などの上であったり近くに走っていたり。
地震の周期性、いろいろな地震のつながり、1995年阪神大震災、2004年中越沖大地震など・・・。中越大地震でも、東京電力の原発はたいへんな被害を受けた、そしてそのことにあまり注意を払わず、原発は再開されている。
津波にも言及されていますが、その前に地震でたいへんな長さの原発のパイプは壊されて放射能漏れなどを引き起こす。原発の使用済燃料の行方、影響は100万年という単位、原発は廃炉の行く末までまだ明らかになっていない・・・などのフレーズが印象に残っています。
ちょうど読んでいるさなか、中部電力へ浜岡原発の休止を政府は要請しました。中部電力の早急な休止を期待します。津波防波堤ができるまでというのではなく、原発を廃止すれば中部電力は原子力発電なしで発電する一番進んだ電力会社になるチャンスです。
今回ずいぶん遅い判断のようにも思いますが、それでも大きな判断です。法律的な裏づけがない要請だそうですが、それなら、原発廃止法案まで検討すべきではないでしょうか。
3.11以降、あの大震災の様子を皆見聞しました。そしてなお原発の影響はまだまだ続いています。この本などを読んでみて、あらためて3・11以降原発問題そしてエネルギーのあり方、日本のあり方は大きく舵をきられていく必要があると思われます。
5月9日追記。
中部電力、浜岡原発の全面停止を決定、との報道。
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