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2010年11月 9日 (火)

三橋先生から

春に奈良に来られた NPO法人まちづくり協会理事長の三橋先生のメルマガの以下の記事が届きました。なるほど、と思います。三橋先生から転載のご了解をいただきましたので、紹介します

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皆様:

  構想日本の発信するメルマガ【JI.メールニュースNo.476】で、西郷さんの論説が 出ていましたので、ご紹介方々、私の考えも展開させていただきました。


 【1】 コンパクトシティは中小企業を振興する  都市計画家(コミュニティデザイナー)西郷真理子   ~数字のマジックを見抜く発想の転換~

 高松市の丸亀町商店街で、食に係る連続イベントを行った際、「未来の食卓」を見た。
 小学校の給食をすべてオーガニックにしていくことに取り組んでいる南仏の村を舞台にしたドキュメンタリーで、本国では思わぬ大ヒットを記録したということだ。
 葡萄に農薬を散布する農民が、散布後は鼻血がとまらなくなると語るシーンがあるが、一緒に参加していた、地産地消レストランを成功させた「葡萄の樹」の小役丸さんも、かつて同じ経験をしたそうだ。

 沢山の印象に遺るカットの中で、私が気になったのは、専門家が無農薬でない野菜は本当に安いのだろうかと問いかける場面である。 農薬や土地に対する被害、流通にかかるエネルギーの消費などを勘案すれば、実は有機野菜より高価なのではないかいうことだ。 環境などへの外部不経済が価格に内部化されていないという問題は、ズッと前から指摘されていて別段新しいことではないが、ツイそんなことは忘れざるを得ないほど日常化しており、思い出さされるとハッとするのである。

 私が取り組んでいる中心商店街の再生にも、同じようなことがたくさんある。商店街は、郊外大型店に比べて、品揃えが少なく、価格が高く、サービスが悪いと言われる。
 そしてしばしば従業員一人当たりの売上げが比較される。 実際、大型店では従業員ひとりあたりの年間売り上額は4000~5000万円で、 商店街の1000万円程度に比べれば遥かに大きい。

 これをもって効率あるいは生産性が比較されるわけだが、ちょっと待って欲しい。
これを雇用問題と捉えれば、同じ売り上げで、商店街の方は何倍もの雇用を生み出すことができるということだ。

 郊外の大型店は、その維持に、中心市街地の商店の何倍ものコストがかかっているのである。利益も大きいが、それは現地には残らない。 中小企業は集積してこそ効果があがる。 中小企業ががんばることによって地域社会は活性化し、雇用も生み出される。
 コンパクトシティ(※)を実現する中心市街地は、そのような場としてきわめて重要だ。

 もっとも、こんな数字のマジックをいくら説いたところで、中心市街地商店街の魅力が顧客となる市民の目線とズレていては意味がない。 中心市街地商店街はどのような役割を果たすべきなのか、私はここでも大きな錯覚があったと思っている。

  つまり、商店街が大型店と同じ品物で競おうとしてきたことである。 言い換えれば、中小企業の育成目標を大企業に置いたところに間違いがある。 商売の醍醐味は、 「どんなに優れた製品も、売る人、使う人がいなければ、成り立たない」 ということである。
 この原点に立つと、商店街には大型店では出来ないビジネスの領域が一気に広がる。  
  中心市街地商店街の逆襲はこれからが本番である。

(※)コンパクトシティ:従来の都市計画を見直し持続可能な都市開発を目指す
都市・まちづくりの政策。 具体的には「住」を含めた様々な諸活動(「職」・「学」・「遊」「憩」など)を都市の中心部にコンパクトに集積することで、中心市街地活性化等の相乗効果を生もうとするもの。

西郷さんの  ~数字のマジックを見抜く発想の転換~ を興味深く拝見しました。
 何年か前に、「エコマネー」を巡って、この分野の先駆者加藤敏春さんとさわやか財団の堀田力さんが対談しているのを聞きました。 両者期せずして、新ライフスタイル論となりました。 モノの効率より、心の充実が重要となる時代となったという認識です。

    『モノの効率』  =仕事量 ÷ 時間 
    『心の充実度』 =時間 ÷ 仕事量

例えば、車5台を1時間で作ると、『モノの効率』は、5
     5時間かけて車を1台作るとすれば、『心の充実度』は、5

  幼児が、積み木の車をすばやく1時間で5台作るのと 考えながら5時間かかって車1台を作るのを比べると、『心の充実度』は考えながら5時間かかって車1台を作る幼児  の方が、はるかに高い、ということ。

 これからの日本は、『モノの効率』を上げるように、努力すること、これも大事だが 、『心の充実度』を上げるような、ライフスタイルに転換することが大事、 ということだ。

  大体、小売業が、一人当たりの生産性や、店舗面積当り生産性を言い出してから、日本の小売業はおかしくなった。 これは、1975年くらいから始まった。

 工場のベルトコンベアと同じように、客扱いを始めたからだ。 工場のベルトコンベアのスピードを上げれば生産性は上がる。 しかし、顧客の扱いで、生産性向上を目指すことが、果たして消費者満足につながっているか。
 小売業は、一つ一つの商品に責任を持ち、一人ひとりのお客さんの心の満足を追求すべきであり、無闇に生産性を上げるだけでいいはずはない。

 これは飲食業でも当てはまるものだろう。
 
 西郷さんの  ~数字のマジックを見抜く発想の転換~
  から、広く展開した話になってしまいましたが、
  私が思っていることを引き出していただき感謝しています。


 2010年11月4日

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三橋 重昭(S.Mitsuhashi)
clc@d3.dion.ne.jp
    NPO法人まちづくり協会 http://news.tmaj.jp/
  理事長(事務局)  
〒112-0002  東京都文京区小石川2-3-26小石川ビル403
             TEL 03-3812-4158  FAX 03-3812-4159

☆ 三橋重昭著 『よみがえる商店街』 ↓ 「学芸出版社」より刊行

http://www.gakugei-pub.jp/mokuroku/book/ISBN978-4-7615-1262-0.htm
☆ 三橋重昭著 『地域小売店のカード戦略』 」(1997年ダイヤモンド社刊)
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