「下流同盟」ー格差社会とファスト風土
友人から紹介された本です。本の帯には、「美しくない日本へ。負のスパイラル。どこまでもアメリカに追随する国の行き着く先ー」と書かれています。
「日本全国のアメリカ化ははなはだ疑問だ!郊外ロードサイドに増殖する大型商業施設、空洞化する中心市街地と駅前商店街、不可解な犯罪、崩壊する家族、増大するワーキング・プア、そして青少年の非行化・・・・。」
「下流社会」の著者が、アメリカ現地取材やフランスの現状を踏まえつつ、日本の将来を問う!!
アメリカで地域社会をを破壊するということで「嫌われているウォルマート」と同じような日本のウォルマート的なスーパーが、全国各地に出店し、それぞれの地域社会を破壊していると指摘しています。それは、単に、中心市街地の商業と、郊外の大型店の利益の衝突ということではなく、「食事のファストフード」とおなじく風土の「ファスト風土」化、をもたらすと指摘しています。
その一節を以下に引用します。「政治家や官僚や御用学者らは、『美しい日本』とか『庭園の島』といった美辞麗句によって日本を語る一方で、日本中にみっともない高速道路を建設して昔ながらの自然景観を破壊し、馬鹿馬鹿しいほど巨大で殺風景なショッピングモールが歴史ある街並みを破壊することを自由競争の名において放任してきた。なのにその矛盾に彼らは目をつぶる。
なぜなら、そうやって日本の自然を破壊し、地域社会を破壊することが、地域社会を空洞化させ、国民の地域へのアイデンティティを危機に陥れ、結果、国家への帰属意識を高めるからである。本来美しかった日本を壊すことで、新しい美しい日本へのナショナリズムを昂揚させるのだ。それが戦略であるとすれば、かなり巧妙な戦略である。」
三浦 展(あつし)編著、朝日新書 720円+税
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