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2006年9月 6日 (水)

「高熱ずい道」

Scimg1534 黒四発電所をでて、中島みゆきさんが紅白で「地上の星」を歌ったところをすぎて、くろべのトンネルの中をバッテリーカー(耐熱の輸送車)はせまいトンネルをくぐっていきました。仙人谷といわれるあたり、トンネルのなかは熱く、かべは硫黄のような黄色があちこちに残っていました。

高熱ずい道と地図にも書かれていました。泊まったホテルの売店で、名前だけ聞いていた「高熱ずい道」という先日亡くなられた、吉村昭さんの文庫本(新潮文庫、400円)を手にいれ、帰ってから読みました。昭和11年から15年にかけて、黒三発電所建設のための、国策のために難工事をした様子がするどい筆致で書かれていました。ダイナマイト事故、坑内の高熱による事故、ほう雪崩というとてつもない大きな、なだれによる事故などで、300人以上が、工事で亡くなられたということです。

映画「くろべの太陽」でも水による難工事が描かれ、ダムのそばには、慰霊の彫刻の碑がありました。多くの人の人柱のうえに、多くのダムや、水路、トンネル、発電所など一連の工事は完成を見たようです。

吉村昭さんのすばらしい描写力によって描かれた小説と、あの地下で歌われた「地上の星」が交錯し、簡単に乗り物によってくぐりぬけた、黒部の峡谷を単に美しさで見ることはできないと、ふと思うことでした。

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