アイデアという井戸
テレビを見ていると、阪神大震災で家具が倒れて亡くなった知り合いの死がくやしくて、家業の呉服屋さんは家族に譲り、それを防止できる品を考え続けたという社長さんの話であった。良い品ができなくてやけ酒を飲んでいると、下に敷いた皿だろうかコップ酒にくっついて離れなかったのを見て、商品を思いついたという。見た目はぺたっとした柔らかいゴムのようなものだ。家具の下に、くっつけると震度7まで家具やら、花瓶やらもろもろが倒れないと、地震体験のセットでやって見せた。開発費もたいへんかかったという。見た目はたいした代物ではないが、効果抜群のようだ。そしてとてもよく売れているとのことだ。
また景品でマウスパッドをいただいた。純皮製である。表はとてもなめらかにパッドが動きストレスがないという。裏は机にぴったりつくざらざらの皮だ。2枚張り合わせてあるという。知り合いの苦心の作だ。
何気ない、日常の中からの発明。ともに伝統産業に携わっている人のアイデアというところにもひかれる話だ。
井戸は毎日くみ上げないと、きれいな井戸にはならないと、田舎育ちの知人から聞いた。アイデアの井戸も尽きぬことはないのであろうと思う。
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